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番外。ブラコン同盟結成10
しおりを挟むすっかり忘れていましたが、わたしには婚約者がいたのでしたね。
この方とは、婚約が決まってから数年来の付き合いで、リヒャルトが生まれる前までは、一応仲良くしようと思っていたのですが……
当主補佐としての勉強をしにうちに通っていたのですが、あまりわたしに顔を見せには来ませんでした。勉強が終わると、疲れたとさっさと帰ってしまっていましたし。
わたしの誕生日にはプレゼントを頂いたとは思いますが、筆記用具などの消耗品だったような気がするので、特に嬉しいとも思わなかったですね。一応、わたしもプレゼントはお返ししましたが、義務的なものでした。
それに、なによりこの人は・・・リヒャルトの誕生を、祝ってはくれませんでした。
わたしがリヒャルトとよく過ごしていることを知っていても、挨拶にも来ない。そんな人の印象が薄いのも当然のような気がします。
「それで、お話とはなんでしょうか?」
「どういうことだ? 君は次期伯爵候補から下ろされたというのは? 弟が生まれても君は、変わらずに当主候補だと言ったじゃないか? 騙したのかっ?」
いきなり捲し立てられました。
「騙したワケではありません。元々、そういう婚約の条件だった筈です。セルビア伯爵家に嫡男が誕生したら、わたしは跡取りから外される。ケイト・セルビアは暫定の次期当主候補。そういう風に契約書を交わし、あなたの家と婚約したのですから」
「!」
そんな驚いた顔をされても困るのですけどね。
「わかって頂けましたか?」
婚約者の顔を見詰めると、
「……伯爵にならないなら、君のように冷徹な女とは結婚したくない。自分が上に立つことしか考えず、男を立てることを知らないからな、君は!」
始めは小さな声だったのに、言っている途中から興奮したのか、怒鳴るような言葉に変わりました。
「そうですか」
というか、始めから彼の婿入りが前提の、それも当主の伯爵はわたしという条件の婚約でしたから、わたしが彼を立てるのではなく、彼の方がわたしを立てるべきだったと思うのですが……特に支えられた覚えはないですね。学園でも、学年が違いますし。
そもそも、暫定当主候補の入婿が嫌だったのであれば、わたしとの婚約を断ればよかったのです。
「では、婚約解消ということで宜しいですね?」
「君のそういうところが嫌なんだ! 泣いて縋って見せればまだ可愛げがあるのに!」
泣けと言われても、この方のことは政略結婚のお相手としか見ていなかったので、婚約解消をしても特に悲しいとは思いませんね。
「君の弟なんか、生まれなければよかった!」
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