虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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番外。ブラコン同盟結成6

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「ハウウェル様の弟さん、ですか……」

 ハウウェル様の優しげな表情からすると、弟さんとの関係は良好のようです。

「どのような方なのでしょうか?」

 そう尋ねた途端、

「僕の弟はね、小さい頃からすっごく可愛くて、綺麗で、優しくて、もう本っ当に可愛いんですよっ!!」

 と、それから怒涛のごとく、弟さんの自慢をされてしまいました。

 いつもの取り澄ましたようなお顔とは違って、随分と表情が緩いですね。

 なにやら、ハウウェル様のお話によると、弟さんは随分と綺麗なお顔をしているらしいです。『可愛い』は、小さい子なら兎も角、『綺麗』は男の子を表す言葉としては、あまり聞かないと思いますが……身内の欲目というやつでしょうか?

 なんだか少し……羨ましい、かもしれません。

 弟と仲良くなれるコツなどを聞いてみたら、答えてくれるでしょうか?

「ハウウェル様」
「はい、なんでしょうか?」
「その、弟と仲良くなれるコツのようなものはあるのでしょうか? わたしも、その……自分の弟と仲良くしたいのです」

 思い切って言ってみると、

「コツ、ですか? 普通に可愛がるのでは駄目なんですか?」

 不思議そうに首を傾げられてしまいました。

「セルビアさんは、弟さんとは同じ家で一緒に住んでいるんですよね?」
「ええ。今は寮に入っていますが」

 父には、わたしがリヒャルトを嫌っていると思われたままで、家にはまだ少し帰り難いのです。

「なら、帰省したときにたくさん可愛がって、遊んであげればいいじゃないですか。うちみたいに両親が弟の育児放棄をして、遠方の親戚の家に弟を預けて何年も離れ離れというワケでもないし、今年から同じ学校に通えると思ってすっごく楽しみにしていたのに、親が勝手に要らないことして寮制の厳しい騎士学校に入れられたワケでもなくて、セルビアさんは週末に家に帰れば、弟さんとは簡単に会える距離にいるのに?」
「・・・え~と?」
「セルビアさんは、随分と勿体無いことをしていますね」

 なにやら、凄いことを聞いてしまったような気がします。ハウウェル様の口から・・・

 まぁ、ハウウェルの子爵家・・・と言えば、知る人ぞ知る問題のある家として有名な家ではありますが・・・

 なんでも、ハウウェル様の母君が少々アレだとかで、年頃の娘のいる上位貴族の間では縁談の話を忌避しているという話でしたね。
 うちは、わたしが跡取りになる予定で婿を取る前提だったので、特に関係の無い話として聞き流していましたが・・・

 実際に聞くと、なんというか・・・形容し難いですね。

「弟さんのことを可愛がりたいと思っているなら、後継がどうのこうのと誰にどう言われようとも、構わずに可愛がればいいんですよ」
「・・・わたし、ハウウェル様へ後継問題のことを話したでしょうか?」
「いえ。セルビアさんからは聞いていませんよ。ですが、それは弟さんが生まれる前から言われていたことでしょう?」

 にこりと微笑むハウウェル様。その顔は、とても貴族的な表情でした。

「そう、ですね」


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