虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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番外。ブラコン同盟結成3

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 誰かに呼ばれたと思い顔を上げると、ぽつんとした馬場に、わたしの他にも馬に乗っている生徒がいたのです。

 見知らぬ人ではあったのですが、呼ばれたのに無視するのは失礼だと、その男子生徒の近くに並んで声を掛けました。

「呼びましたか?」

 と言った瞬間、

「え? ぅわっ!?」

 びっくりさせてしまったのか、馬の腹を蹴ったようで、パッと馬が駆け出しました。

 わたしは、彼がすぐに馬を宥めると思ったのですが、なんというか・・・ハッキリ言って、下手でした。あまりにも危なっかしく、このままでは彼が落馬してしまうと思い、パニックになっている彼へと並走して手綱を握り、

「わたしが止めますから、落ち着いてください!」

 と、焦る彼と馬へと声を掛けながら宥めて、足を止めさせました。

 止まった馬からゆっくりと降り、

「・・・びっくり、したぁ・・・」

 青い顔で胸を押さえた彼が、

「ありがとうございました。お陰で助かりました」

 わたしの方を向いてお礼を言ったのです。

 てっきり、過去に助けた男子のように「女のクセに生意気だ」とか、「出しゃばるな」などと言われてしまうと思ったのに。

「・・・ぁ、いえ。こちらこそ驚かせてしまったようで、申し訳ありませんでした」

 頭を下げると、

「えっと、僕はセディック・ハウウェルですが、あなたは? 初めまして、ですよね?」

 不思議そうな顔で自己紹介をされました。

「わたしはケイト・セルビアと申します」

 わたしを呼んだのは彼の方だと思いながら、名乗られたので名乗り返すと、

「ああ、それで、呼びましたか? だったワケですか。すみません、僕が呼んだ……というか、独り言で言ったのはケイト・・・さんのことではなくて、ネイト・・・です。音が似ているので間違えたのでしょう。紛らわしい真似をして、すみませんでした」

 謝られてしまいました。

「あ、いえ。こちらこそ、聞き間違いをしてしまいましたので……」

 しかも、危うくハウウェル様へお怪我をさせてしまうところでした。申し訳なくて恥ずかしい・・・

「そう言えば・・・確か、セルビア家は少し前にご長男がお生まれでしたよね? おめでとうございます、セルビアさん」

 にこりと微笑んで話を変えたハウウェル様。その顔には、今まで言われたお祝い・・・の言葉・・・のように、嘲りや憐れみが全く含まれていない、純粋に祝福するような表情でした。

 わたしへ弟の話題を振る人達には、悪意や憐れみが透けて見える人ばかりだったのに・・・

「……ぁ、りがとうございます」
「? どうかしましたか?」

 ハウウェル様はわたしの不自然なお礼の言葉に、首を傾げる。

「いえ。その、おそらくは学年も違うと思いますし、家同士の付き合いがあるというワケでもないのに、と思いまして。少々驚いてしまいました。わたしは中等部の二年なのですが、ハウウェル様は?」

 驚いたのは本当です。実は、祝福されたことに、なのですけど。これは内緒にしておきましょう。

「僕は高等部の一年ですね」

 二つ上の方でしたか。道理で見た覚えがない筈です。中等部と高等部では校舎が違いますからね。

「そうでしたか。ハウウェル様はきっと優秀な方なのでしょうね」


__________


 セディーがヒロインっぽいかも。(笑)

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