虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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番外。ブラコン同盟結成1

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 ※ネイサン高等部入学の数年前の話です。

__________


 初めてと出会ったのは、テスト期間中のことだった。

「もう、今までのように頑張らなくていい、か……」

 そう呟いて、馬に乗っていたとき――――

 わたしの家は伯爵という爵位を持っている。

 けれど、子供が女子のわたししかいなかった。

 そういうときは大抵、婿を取って入り婿に爵位を継がせるか、親族男子を養子にしたり、娘婿にしたりして爵位を継がせるのが普通だ。

 でも、父はわたしに爵位を継がせると宣言した。

 他人に爵位を継がせるのが嫌で、かと言って親族の誰かに継がせるのは、爵位を返上よりも嫌なのだそうです。

 まぁ、うちは親世代の親族間の仲が凄く悪くて、その影響で子供同士も不仲ですからね。

 わたしだって、女というだけで馬鹿にするような連中と結婚するなど、冗談じゃない。

 そういうワケで、わたしは女だてらに爵位を継ぐ為の教育を施され、厳しく育てられて来た。

 有事の際の為にと、剣も馬も銃も習った。それだけでは不安だと、最速の武器である鞭も習った。

 剣や馬を習うときには、「ついでだから一緒に習わせてやってほしい」と、親族男子達もうちに来て同じ教師に習ったけど・・・

「ハッ、女なんかにできるかよ」
「どうせお前はハクシャクになれるワケないんだから」
「お前の代わりに俺がお前の家を継いでやるよ」
「お前がどうしてもって泣いて頼むなら、ケッコンしてやってもいいぜ」
「痛い思いをさせてやる」

 親族の男の子達に囲まれ、笑いながらそんな言葉を浴びせられたわたしは・・・

 ムカついたので、彼らをボッコボコにしてやりましたとも。実は、彼らがうちに来るよりも前から、わたしは剣を習っていたので。

 まぁ、あくまでも剣の練習の一環として、だったので、暴力ではありません。それに、一応ちゃんと手加減はしましたし。

 しかも、後から聞いた話しによると彼らは、「生意気なケイトに、怪我をさせて痛い思いをさせて泣かせてやれ」と親に言われていたのだとか。

 あわよくばわたしを傷物にして、責任を取るという形で婚約を図る。もしくは、怪我を理由に、女に当主をさせるのは無理だ。という状況を作りたかったようです。

 発想が下衆ゲスい。親の言うことに従って、わたしを怪我させたり泣かせる気だった彼らも、気持ち悪い。あんなのが親族だなんて、本当に最悪で大っ嫌いです。

 まぁ、一度ボッコボコにしてやった後は、極偶にしか剣を習いには来ませんでしたけど。無論、その度にわたしが勝ったボコったので、いつしか誰も一緒に剣を習うことはなくなりましたね。

 あの頃は若かったですね。

 剣でも馬でも、あのアホ共に負けてなるものか! と、更には、勉強も当主教育も、淑女としてのマナーも、なにもかもにガムシャラに邁進していました。

 そうして、学園に入学して、上位クラスの成績をキープして・・・


__________


 ケイトさんが中等部の頃のこと。
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