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眠かった午後の授業が終わって放課後。
久々に乗馬クラブへ顔を出すと、
「お久し振りですね、ハウウェル様」
セルビア嬢がいました。
「はい、お久し振りです」
休暇中にお茶会で会って以来ですね。
「リヒャルト君はお元気でしょうか?」
「ええ。リヒャルトは元気なのですが……その節は、大変申し訳ありませんでした」
申し訳なさそうな顔で謝るセルビア嬢。
その節というのは……リヒャルト君に、セルビア嬢のお友達の『おねえさま』扱いされたことですか。
「ああ……いえ、気にしていませんので。というか、こちらこそ。セディ……兄が、失礼をして……」
うん。アレは無いよねぇ。
挨拶もそこそこに、いきなり弟の自慢をし始めるとか・・・どんな羞恥プレイだか?
リヒャルト君は、セルビア嬢とセディーの勢いに喧嘩かと不安がっていたけど。彼がもう少し大きくなったら、きっとセルビア嬢の誉め殺しに羞恥を覚えることだろう。
しかも、やめてって言ったのに、セディーってばまだあの不毛な言い合いに決着を付ける気みたいだし・・・セルビア嬢もセルビア嬢で、決着を付けることに異論は無さそうなんですよねぇ。
ちなみに、セディーはリヒャルト君に『おにいさま』と呼ばれてめろめろな感じになっていたけど。そして、そんなセディーを見て、セルビア嬢は勝ち誇った顔をしていましたけど・・・
とりあえず、二人があの不毛な論争をするときには、わたしがいないところでやってほしいです。
セディーがわたしを誉めちぎるのを、真剣な顔で肯定して悔しそうな表情をするセルビア嬢とか、ホントやめてほしいです。
「いえ、その……わたしの方こそ……」
と、恥ずかしそうに頬を染めるセルビア嬢。セディーにリヒャルト君を自慢する為に、ヒートアップして取り乱したという自覚はあるようです。
「副部長、お久し振りです」
「お元気そうでなによりです」
と、そこへやって来たテッドとレザン。
「お久し振りです。メルンさんもクロフト様も、お元気そうでなによりです」
「ところで、副部長。ハウウェルがなにかしたんでしょうか?」
「え? いえ。ご挨拶をしていただけです。なんでもありませんよ。それより、皆様にご報告があるのですが、少し宜しいでしょうか?」
赤くなった頬を誤魔化すように首を振り、話を変えるセルビア嬢。
「報告、ですか?」
「ええ。その、交流会で絡んで来た彼のことです」
「ああ、確か……場所を弁えずに交流会でセルビア副部長に絡んで来て、ハウウェルに自虐趣味だか露悪癖を暴露された、悪趣味で迷惑極まりない輩がいましたね」
嫌そうに顔を顰めるレザン。どうやら、あの自己陶酔男が相当不快だったようだ。
「あー、あのヘンタイ先輩」
まぁ……あの自己陶酔男がムカついたから恥を掻かせようと思って、自分でそういう風な扱いになるように仕向けておいてなんだけど、他人の口から改めて聞くと、変態というワードは凄いな。
「ふふっ……失礼。その、彼のことです」
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