虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「はあっ!? このケイト・セルビアがどんな女かわかっているのかっ!? この女はとんでもない暴力女なんだぞっ!?」

 もしかして、こないだの勘違い先輩(泣きながら、今後は女性が嫌がるようなことはもうしないと誓って更正済み)のように、以前に女子生徒にしつこく言い寄って、セルビア嬢にお断りを入れられた人だろうか?

「セルビア嬢は乗馬クラブの先輩ですからね。乗馬の腕前が素晴らしいことは知っていますが、それがなにか?」

 女性であそこまでの腕をしている方は、なかなか少ないでしょう。この国では、女性自体の本格的な乗馬人口が少ないようですからねぇ。

 あとは、鞭の腕も素晴らしかったですね。まぁ、女性にしつこく言い寄る行為は普通に迷惑行為だと思います。脅したり、暴力を振るうとなると、明確に犯罪ですね。正当防衛、大いに結構です。

「副部長としての権限でクラブの後輩を脅して言うことを聞かせたのか! なんて卑劣な女なんだ! やはり、お前みたいな女をまともに相手するような男なんていないということだなっ!?」

 ビシッとセルビア嬢に指を突き付ける自己陶酔男。ホント、さっきからなんなんだろう?

「ああ、なんて可哀想な後輩達なんだ」
「全く、人が折角せっかく無かったことにして差し上げようと思いましたのに。このような公衆の面前で話すようなことではないでしょう。場をわきまえなさい。そして、恥を知りなさい」

 セルビア嬢がすっと冷えた視線で自己陶酔男を見据え、低い声で言いました。

「恥を晒しているのはお前の方だろうがっ!? 当主を外されたお前に命令される謂われはないっ!!」
「次期当主としても、あなたに話を聞いてもらった覚えはないのですが?」
「次期当主? ハッ、とうに外された身でありながら、まだその座にしがみつくとは厚かましい上に浅ましい女だな!!」
「全く、これだから嫌なのですよ。話が通じない上に、程度が低い。あなた方親族男子が、軒並みそのようなていたらくだから、わたしが次期当主になることを父に望まれたというのに」

 ああ、そういうことですか。確かに、このような馬鹿……頭が残念な連中しか親族男子がいなければ、女性であるセルビア嬢が次期伯爵家当主として育てられるワケですよねぇ。こういう馬鹿には、家を継がせたくない、と。

「いい加減、自分の出来が悪いのをわたしのせいにしないでもらえませんか? 親族だからとは言え、幼少期より何度も絡まれて、心底うんざりしているのです」

 珍しく、セルビア嬢が不快感を露わにしています。余程嫌なんでしょうね。

 まぁ、話が通じない上、一方的に悪者にされるのは、精神的に疲れますからねぇ。

 ええ。それは、とてもよくわかります。

「失礼、そこの方。そんなに大声で、ご自分がセルビア嬢よりも劣っているということを主張して、楽しいのでしょうか?」

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