200 / 673
182
しおりを挟む「ぁ~、弟さんラブなんですね。副部長も」
そこでなぜ、ニヤニヤとわたしを見るのか・・・まぁ、ブラコンなのは否定しないけどね。
「ええ、ええ! そうなんです! わたしのリヒャルトはとても可愛くて賢くて優しくて天使のように尊くて可愛くて可愛いんですよっ!? あのほっぺのぷにぷに感なんか、余所の子供なんか目じゃありません! けーとねえさま、って舌っ足らずに呼ぶ声なんか最高に可愛らしいのです!!!!」
どうやら、セルビア嬢の弟さんはその口振りだと、まだ小さなお子さんみたいだ。
小さい子、か・・・脳裏に浮かぶのは、ふわふわとした亜麻色の髪と、目の覚めるようなコバルトブルーの瞳。
「・・・ええ。わかります。小さい子のほっぺたって、ぷにぷにもちもちしてて本当に触り心地がよくて、ずっと触っていたくなりますよねぇ。ねえさまって、可愛い声で呼ばれたらもう、どこにいてたって駆け付けて、柔らかくて小さな身体を抱き締めたくなりますよねっ! 大好きですなんて言われたらもう、すっごくすっごく幸せな気持ちになりますよね!」
確りと頷いて同意すると、感極まったようにガシっと両手を握られ、うんうんと熱く頷くセルビア嬢。
あ、手が普通の女性よりもちょっと硬い。さすが、鞭捌きに定評のあるセルビア嬢ですね。
「そうです! そうなんですよハウウェル様っ!! ああ、もう、どうしてわたしのこの身は一つしかないのでしょうか? もし、もう一つ自由になる身体があったなら、リヒャルトの側を片時も離れないでずっと見ていられるのに・・・できることなら、寝ないでずっとリヒャルトを見詰めていたいというのにっ!?」
いつもの凛とした表情ではなく、くるくるとよく変わる表情。弟さんへの熱い想いが迸っていますねぇ。
・・・羨ましいなぁ。と思った瞬間、なんだか急に・・・ちょっとだけ、寂しい気分になったかも。
「ゎー、なんかすっげーブラコン……それになに? まさかハウウェル、もしかして……子供がいたりしちゃったり?」
ぼそりとした呟きの後、いやに真剣な顔でおそるおそるという風に聞いたテッドに眉を顰める。アホな質問のお陰で、出そうになった涙が引っ込んだ。
「誰が子持ちか。わたしを幾つだと思っている」
「だよなー、幾つンときの子よ? ってめっちゃビビったし。じゃあ、弟妹でもいるん? あー、それとも親戚の子か? それにしても、ねーさま呼びってどうよ? ハウウェル、姉ちゃんだと思われてんの? 美人過ぎて? ちっさい子なら勘違いしそうだけどさ」
ほっとしたような顔で、なにやらアホなことをのたまわれた。
なにを言ってるんだか? スピカが、わたしを婚約者にと選んだというのに、全く・・・
「そんなことあるワケないでしょ。舌っ足らずでネイサンって言えなくての、ネイさま呼びだよ」
「あー、そっちな? 確かに、ネイサンのthの発音はちっさい子にはちっとむずいかもなー」
「ふむ……なにやら話が脱線し捲りだぞ? いいのか? ハウウェル」
20
お気に入りに追加
745
あなたにおすすめの小説
母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
元使用人の公爵様は、不遇の伯爵令嬢を愛してやまない。
碧野葉菜
恋愛
フランチェスカ家の伯爵令嬢、アンジェリカは、両親と妹にいない者として扱われ、地下室の部屋で一人寂しく暮らしていた。
そんな彼女の孤独を癒してくれたのは、使用人のクラウスだけ。
彼がいなくなってからというもの、アンジェリカは生きる気力すら失っていた。
そんなある日、フランチェスカ家が破綻し、借金を返すため、アンジェリカは娼館に売られそうになる。
しかし、突然現れたブリオット公爵家からの使者に、縁談を持ちかけられる。
戸惑いながらブリオット家に連れられたアンジェリカ、そこで再会したのはなんと、幼い頃離れ離れになったクラウスだった――。
8年の時を経て、立派な紳士に成長した彼は、アンジェリカを妻にすると強引に迫ってきて――!?
執着系年下美形公爵×不遇の無自覚美人令嬢の、西洋貴族溺愛ストーリー!
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
【完結】離婚しましょうね。だって貴方は貴族ですから
すだもみぢ
恋愛
伯爵のトーマスは「貴族なのだから」が口癖の夫。
伯爵家に嫁いできた、子爵家の娘のローデリアは結婚してから彼から貴族の心得なるものをみっちりと教わった。
「貴族の妻として夫を支えて、家のために働きなさい」
「貴族の妻として慎みある行動をとりなさい」
しかし俺は男だから何をしても許されると、彼自身は趣味に明け暮れ、いつしか滅多に帰ってこなくなる。
微笑んで、全てを受け入れて従ってきたローデリア。
ある日帰ってきた夫に、貞淑な妻はいつもの笑顔で切りだした。
「貴族ですから離婚しましょう。貴族ですから受け入れますよね?」
彼の望み通りに動いているはずの妻の無意識で無邪気な逆襲が始まる。
※意図的なスカッはありません。あくまでも本人は無意識でやってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる