175 / 673
157
しおりを挟む「誰が、そのようなことを……」
さっきよりも血の気の引いた蒼白な顔で二人を見やるライアンさん。なんだか、今にも倒れそうな風情なんだけど……大丈夫でしょうか?
「ハウウェル夫人が言っていたそうだ」
「兄の健康を奪って生まれたクセに、成績の良くない、女みたいな顔の出来損ない。だから、祖父母にも疎まれて、目障りだと隣国に追いやられた弟なんだと」
「へぇ……」
ハウウェル夫人、か……成る程。
わたしが家族に疎まれているという情報を流したのは、母でしたか。ということは、この人達は母と付き合いのある家の子弟、または縁者と見て間違いないでしょうねぇ。
まぁ、確かにわたしは両親には疎まれていますね。セディーや祖父母にまで疎まれていたとは、初耳な話ですが……
所詮は母経由の情報ですし。存分に妄想込みの話と言ったところでしょうか。
あれだけわたしを心配してくれるお祖父様とおばあ様、セディーがわたしを嫌っていたとしたら、舞台俳優顔負けの物凄い演技力だと思いますね。
それに、おばあ様が見切りを付けた母と未だに……かはわかりませんが、兎も角、お付き合いをしているような性質のよくない人達の縁者ですし。その品性は推して知るべし、ですか。
仕方ありませんねぇ。相手をするつもりは無かったんですけどね。全く・・・
「……先輩方はご存知ないかもしませんが……実はわたし、ハウウェル侯爵の孫なんですよ?」
にっこりと、口元だけで薄い笑みを作る。使用させて頂きましょう。ハウウェル侯爵の七光りを。
「は?」
「っ……」
なに言ってんだコイツ? 的な視線がわたしへ向けられ、次いで先輩達の頬が赤く染まる。
「まぁ、確かに。わたしは両親に疎まれているでしょうね。ですが、それがなにか? 貴族間では家族の不和、不仲だなんて、よくある話でしょう? 大して特筆すべき話題でもないのに。そんなに大声ではしゃいで、得意げに触れ回らなくてもいいじゃないですか。ああ、それとも、先輩方のご家族は他人様に自慢できるくらいに、とても仲が宜しいのですか? それは結構なことですね」
「……ネイサン様……」
わたしの言葉に、なんともいえない悲しそうな顔をするライアンさん。いや、ある程度は当て擦りやイヤミ混じりなので、そんな顔はしなくてもいいんですけどね。
「それに、二つ程訂正をさせて頂きます。わたし、家族でいうと祖母似なんですよ」
「はあ?」
「それがなんの関係がある!」
__________
ネイサンのおかんの、性質悪い茶飲み友達?の、息子的な先輩達ですね。
20
お気に入りに追加
745
あなたにおすすめの小説

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜
真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。
しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。
これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。
数年後に彼女が語る真実とは……?
前中後編の三部構成です。
❇︎ざまぁはありません。
❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。


これは一周目です。二周目はありません。
基本二度寝
恋愛
壇上から王太子と側近子息達、伯爵令嬢がこちらを見下した。
もう必要ないのにイベントは達成したいようだった。
そこまでストーリーに沿わなくてももう結果は出ているのに。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

最後に報われるのは誰でしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
散々婚約者に罵倒され侮辱されてきたリリアは、いい加減我慢の限界を迎える。
「もう限界だ、きみとは婚約破棄をさせてもらう!」と婚約者に突きつけられたリリアはそれを聞いてラッキーだと思った。
限界なのはリリアの方だったからだ。
なので彼女は、ある提案をする。
「婚約者を取り替えっこしませんか?」と。
リリアの婚約者、ホシュアは婚約者のいる令嬢に手を出していたのだ。その令嬢とリリア、ホシュアと令嬢の婚約者を取り替えようとリリアは提案する。
「別にどちらでも私は構わないのです。どちらにせよ、私は痛くも痒くもないですから」
リリアには考えがある。どっちに転ぼうが、リリアにはどうだっていいのだ。
だけど、提案したリリアにこれからどう物事が進むか理解していないホシュアは一も二もなく頷く。
そうして婚約者を取り替えてからしばらくして、辺境の街で聖女が現れたと報告が入った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる