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 なんで弱いわたしに、コイツが執着するのかマジでワケわからん。

 鍔迫つばぜり合いにならないよう、上から押さえ込まれないよう、引き腰気味にレザンの打ち込みをかわしたり、往なしたり、肘や蹴り、拳を入れて離れたりと、どうにか微々たる反撃をする。

 ちなみにレザンは、剣以外は使わない。相変わらず、正々堂々とした剣で・・・

 わたしの足蹴りや素手での攻撃が汚いだとか、そんなことはどうでもいい!!

 こちとら、奴の攻撃を凌ぐのに必死だ。若干命の危機を感じるような気もするし、怪我とかも怖いというのに、正々堂々だなんてそんな綺麗事言ってられるかっ!?

「フハハハハハっ!? 楽しいな、ハウウェルっ!!」
「はあっ!? 全っ然楽しくねぇんだよっ!?」

 何度も言うようだが、わたしは必死だ。

 こんな、弱い奴を相手に楽しいと言って笑う奴の神経がわからない。

「フッ、そろそろだな。行くぞっ!!」

 ニヤリと、獰猛に笑うレザン。瞬間――――

「っ!?」

 背筋がぞわりと粟立つと同時に、

「破ぁっ!」

 裂帛れっぱくの気合と強烈な打ち込み。

「ぅ、ぐっ!?」

 その直撃を食らう前に、反射的に木剣の腹に木剣の刃を当て、辛うじて衝撃を往なした。木剣は飛ばされずに済んだが、手に、腕に、肩に、骨にまで響く重たい一撃だった。

「やはりなっ!? こうでなくては面白くないっ!!」

 爛々と輝く瞳。楽しげな声。

「はあっ!? なにが面白いだよこの脳筋野郎がっ!? 手加減しろっつってンだろっ!! 今の手ぇとか肩までめっちゃ痛かったじゃねぇかよっ!?」

 人が、痛い思いをしているというのにっ・・・

「俺の本気を止めるとはやるじゃないかハウウェル!」
「手前ぇ、殺気飛ばすなっ!?!? 本気出すとかマジやめろって言ってんだろっ!? 手加減を要求するっつってンだろうがっ!!」
「手加減など要らんだろうっ、さあもっと楽しもうではないかっ!!」

 そんなやり取りをした後からの記憶が曖昧で――――

 ――――気が付けばわたしは、地面にぶっ倒れていた。ドクドクと煩い鼓動。全身が熱くて怠い。息が切れている。

「大丈夫か? 水飲めるか? ハウウェル」

 心配そうに上から覗き込むテッド。

「み、ず……」

 怠い身体を起こし、差し出された水を飲む。

「……はぁ、はぁっ……ありが、とう……」

 水を飲んで礼を言い、

「で、どうだった? わたしがボッコボコにされてるところを見学しているのは?」

 これまでを見学していたテッドに尋ねる。

「いや、なんつーかその・・・えっぐいわ! ハウウェル十分強いとか思ってたけど、レザンがなんか動きえげつない。あそこまでハウウェルボコる必要あんの?」

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