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それから暫くは、『校門前置いてけぼり事件の男子生徒と女子生徒は、どういう行動を取るべきだったのか?』という議論があちこちで交わされているのを目撃した。
結論は、幾パターンかあるようだ。
『馬車に乗せてあげるべきだった』という人の多くは――――「女子生徒が可哀想」「困っている人を無視するなんて、人として最低」「男の風上にも置けない」……などの意見があるらしい。
『馬車に乗せるべきではない』という人の多くは――――「女子生徒の行動が淑女として有り得ない」「困っているなら、同性を頼るべき」「学園に相談すればよかったのでは?」「もしも男子生徒に下心があったらどうする?」「むしろ、未婚女性なら置いてけぼりにした件の男子生徒に感謝すべき」「もしかしたら、女子生徒の方が下心があったのでは?」……などの意見があるらしい。
「女子生徒の方が下心があったのでは?」という穿った女性からの意見が出てからは、『乗せなくてよかった』という意見の方が優勢になって来ているようだ。
更には、「助けられたことを盾に、男子生徒から変な要求とかされたら気持ち悪いじゃない」という意見が出てからは、『女子生徒を助けるべきだった』と強硬に主張する男子生徒を見なくなった気がする。
まぁ、どうでもいいんだけどね。
♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘
そして、週末の放課後には――――
「よし、やるかハウウェル!」
異様に嬉しそうな顔をしたレザンに捕まった。
「・・・ぁ~、はいはい」
まぁ、あれだ。約束があった。果たしたくない、約束が・・・
「……安請け合いするんじゃなかった……」
と、激しい後悔が襲って来る。
「うん? なにか言ったか?」
「手加減を求めるっ!?」
「フッ、遠慮することはない。お互い本気を出そうじゃないか!」
「いや、全然遠慮とかじゃなくてマジで言ってるんだけど」
「構えろ、ハウウェル!」
愚図愚図言うわたしへ、木剣を向けるレザン。仕方なく、わたしも木剣を構える。
始まったのは、嵐のような一方的な攻撃。
「っ!?」
ガツン! と、一撃一撃が重い打ち込みを、木剣の角度を変えてどうにか往なす。
「どうしたハウウェル! 暫く剣を振らないうちに腕が鈍ったんじゃないかっ!?」
「ああっ、そう、かもねっ!?」
つか、元からこんなもんだっての!
そもそもが身長、体重、リーチ、筋力、スタミナ、剣の腕。なに一つとして、わたしにはレザンに勝てるものが無い。
重い一撃を凌ぐ度、びりびりと腕が痺れる。
なんで弱いわたしに、コイツが執着するのかマジでワケわからん。
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