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しおりを挟む「? あんなの一々気にしてられないでしょ」
「うむ。ハウウェルくらいに絡まれ捲っていると、あの程度の連中は覚える価値も無いだろうな」
同意して頷くレザン。
「というか、わたしは君があの先輩達の顔を覚えていたことの方が驚きだよ。レザン」
わたしだってすっかり忘れていたのに。
「うん? 俺は別に、あの連中の顔を覚えていたワケではないぞ?」
「え? そうなの? じゃあ、どうして……?」
「顔じゃなくて、ハウウェルにあしらわれた二人組の先輩男子生徒達のことを覚えていただけだ」
「成る程」
「ぅわ、全く覚えてもらえてないとか、ある意味不憫な先輩達ー。ってか、ハウウェルのおにーさんが挨拶したいっつったら、即行逃げたけど、なに? やっぱハウウェルのおにーさんて怖い人なん?」
「やだな。そんなことないよ? 兄上は生徒達に顔が広いみたいで、わたしに対して優しくて、ちょっと心配性なだけだよ」
そして、次期侯爵なだけだ。
「いや、ハウウェルにだけ優しくて心配性っつーか、ありゃ明確なブラコンだろ。ちょっと暴走しそうな……って、ハウウェルもおにーさん大好きっ子なブラコンだったな?」
「まぁ、その言い方は兎も角、わたしとセディーの仲が良いことは否定しないよ」
「珍しいくらいに仲の良さそうな兄弟ではあったな」
「そりゃどうも」
「おにーさんのあの猫っ可愛がりっ振りに、ハウウェルがめっちゃ懐いたと見た!」
どうだ? とばかりの視線を向けるテッド。
「ぁ~……まぁ、ざっくり言うとそんな感じ?」
確かに、わたしはセディーに可愛がられている。猫っ可愛がりとまでは言えないだろうけど。
「おお、正解か」
「……詳しくは?」
ぼそりと聞くリール。
「なにげにぐいぐい来るよね? 君は。ま、別にいいんだけどさ」
「ハウウェルの兄君は、いずれ侯爵を継ぐ身だそうだからな。できれば、あまり睨まれたくはない相手だろう。まぁ、彼らはもう遅いと思うが……」
「「へ?」」
レザンの言葉に、ぽかんとした顔でわたしを見やるテッドとリール。
「・・・ぇ~と? ハウウェルは、子爵令息じゃなかったのか? 確か、自分でそう言ってたよな? 話違くね?」
「ああ、父は子爵だからね。わたしが子爵令息なのは、間違ってないよ?」
「じゃ、じゃあ、なんでおにーさんがこーしゃくになるんだよ?」
「お祖父様が侯爵だからね」
「と、言うことは・・・ハウウェルん家って、かなり偉かったり?」
「いやいや。偉いのは父なんかじゃなくて、あくまでも、お祖父様の方だからね。父は偉くないよ?」
__________
タイトルをマイナーチェンジ。
『虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い』にしました。
隣国へ~の部分を抜きました。
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