169 / 673
151
しおりを挟む「? あんなの一々気にしてられないでしょ」
「うむ。ハウウェルくらいに絡まれ捲っていると、あの程度の連中は覚える価値も無いだろうな」
同意して頷くレザン。
「というか、わたしは君があの先輩達の顔を覚えていたことの方が驚きだよ。レザン」
わたしだってすっかり忘れていたのに。
「うん? 俺は別に、あの連中の顔を覚えていたワケではないぞ?」
「え? そうなの? じゃあ、どうして……?」
「顔じゃなくて、ハウウェルにあしらわれた二人組の先輩男子生徒達のことを覚えていただけだ」
「成る程」
「ぅわ、全く覚えてもらえてないとか、ある意味不憫な先輩達ー。ってか、ハウウェルのおにーさんが挨拶したいっつったら、即行逃げたけど、なに? やっぱハウウェルのおにーさんて怖い人なん?」
「やだな。そんなことないよ? 兄上は生徒達に顔が広いみたいで、わたしに対して優しくて、ちょっと心配性なだけだよ」
そして、次期侯爵なだけだ。
「いや、ハウウェルにだけ優しくて心配性っつーか、ありゃ明確なブラコンだろ。ちょっと暴走しそうな……って、ハウウェルもおにーさん大好きっ子なブラコンだったな?」
「まぁ、その言い方は兎も角、わたしとセディーの仲が良いことは否定しないよ」
「珍しいくらいに仲の良さそうな兄弟ではあったな」
「そりゃどうも」
「おにーさんのあの猫っ可愛がりっ振りに、ハウウェルがめっちゃ懐いたと見た!」
どうだ? とばかりの視線を向けるテッド。
「ぁ~……まぁ、ざっくり言うとそんな感じ?」
確かに、わたしはセディーに可愛がられている。猫っ可愛がりとまでは言えないだろうけど。
「おお、正解か」
「……詳しくは?」
ぼそりと聞くリール。
「なにげにぐいぐい来るよね? 君は。ま、別にいいんだけどさ」
「ハウウェルの兄君は、いずれ侯爵を継ぐ身だそうだからな。できれば、あまり睨まれたくはない相手だろう。まぁ、彼らはもう遅いと思うが……」
「「へ?」」
レザンの言葉に、ぽかんとした顔でわたしを見やるテッドとリール。
「・・・ぇ~と? ハウウェルは、子爵令息じゃなかったのか? 確か、自分でそう言ってたよな? 話違くね?」
「ああ、父は子爵だからね。わたしが子爵令息なのは、間違ってないよ?」
「じゃ、じゃあ、なんでおにーさんがこーしゃくになるんだよ?」
「お祖父様が侯爵だからね」
「と、言うことは・・・ハウウェルん家って、かなり偉かったり?」
「いやいや。偉いのは父なんかじゃなくて、あくまでも、お祖父様の方だからね。父は偉くないよ?」
__________
タイトルをマイナーチェンジ。
『虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い』にしました。
隣国へ~の部分を抜きました。
21
お気に入りに追加
749
あなたにおすすめの小説

【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。
木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。
「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」
シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。
妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。
でも、それなら側妃でいいのではありませんか?
どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

もう一度あなたと?
キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として
働くわたしに、ある日王命が下った。
かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、
ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。
「え?もう一度あなたと?」
国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への
救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。
だって魅了に掛けられなくても、
あの人はわたしになんて興味はなかったもの。
しかもわたしは聞いてしまった。
とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。
OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。
どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。
完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。
生暖かい目で見ていただけると幸いです。
小説家になろうさんの方でも投稿しています。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる