164 / 673
146
しおりを挟む✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰
日曜夕方。
学園に戻って来て、男子寮食堂にて。
「よ、ハウウェル。あの後どうだった……って、なんか疲れた顔してんな? なんだ? あのブラコンでちょっと怖そうなおにーさんとなんかあったのか?」
午前中から馬車に乗り、のろのろと進まない渋滞に掛かりながら学園の校門前に横付けされた侯爵家の馬車から降りられたのが日暮れ。
なんで渋滞って、あんなに疲れるんだろう?
いや、まぁ・・・渋滞というか、実は昨日からの疲れが抜けてないんだけど。
ラウンジで剣を預けて、ごはんだー! と、食堂に飛び込んだところで、テッドに声を掛けられた。
「・・・ごはんが、先」
「お、おう」
気圧されたように頷くテッドを余所に、夕食を大盛りで注文。
空いてる席に着いてごはんを食べ、半分程食べて少し落ち着いたところで、口を開く。
「で、なに?」
「なに……っていうか、こないだはあんな感じで別れたから、ハウウェルは大丈夫だったのかな? って思って」
「・・・端的に言うと、昨日と今日は家を出るまで、めっちゃ勉強させられた」
「へ?」
「なんかわたし、セディ……兄上にアホの子だと思われたらしくて。学園の高等部に通っている子息がいる貴族家を、暗記させられた。とりあえずは、同学年の男子生徒分の家」
昨日の朝から、ひたすら暗記。そして合間に、お茶会のマナーの復習。セディーに、「せめてこれだけは覚えておこうね?」と。今日、家を出るまでずっと。
「ぅわ……」
テッドが、なんとも言えないという顔でわたしを見やる。
「・・・え~と、ハウウェルのおにーさんて、過保護そうでハウウェルには優しそうに見えたのに、実はスパルタだったり?」
「スパルタというか、兄上はわたしよりもかなり頭が良くてね・・・兄上には余裕で覚えられることでも、わたしには結構キツい」
「ぁ~、なんつーか、その、ご愁傷様」
「ホントにね・・・」
「けどさ、さすがにあれだぜ? あの絡んで来た先輩達の顔、本当に覚えてないのか?」
「覚えてないっていうか・・・ああいう有象無象ってやたら湧いて出て来るし。口だけの奴らって、覚える価値も無くない?」
「いや、むしろああいう真っ正面から絡んで来るような連中ってなかなか珍しいんじゃね? あんまり見ねぇと思うんだけど?」
「え?」
「だから、割と印象に残ると思うんだが……違ったか?」
21
お気に入りに追加
750
あなたにおすすめの小説

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。


【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

生命(きみ)を手放す
基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。
平凡な容姿の伯爵令嬢。
妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。
なぜこれが王太子の婚約者なのか。
伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。
※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。
にんにん。

踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる