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しおりを挟むどうしよう……喧嘩売って来たあのアホ先輩共より、セディーのこのひんやりした笑顔の方がなんかちょっと怖い気がするっ!?
「・・・ぇ~と、その・・・覚えて、なかったり?」
とりあえず、正直に話してみることにした。
「ネイト? ネイトが優しいのは知ってるけど、ネイトが庇う価値があるの? それとも、そいつらは厄介な家の出身だったりする? 侯爵家よりも上なの? それならそれで、やりようは幾らでもあるから心配しなくても大丈夫だよ?」
覚えていない、というわたしの言葉に、なにを勘違いしたのか、ぽんぽんと飛躍して行くセディーの思考。それにしても、侯爵家より上の家が相手でもどうにかするつもりって、危険な匂いが・・・
「ぁ~、いや、ちょっと待って? 多分、セディーは勘違いしてるから」
「? 勘違いって?」
探るようなブラウンの瞳がわたしを覗き込む。
「庇うも庇わないも……そもそもわたし、連中のことを全く知らないんだよ。あんなどうでもいい連中に興味なんて無いし。むしろ、もう連中の顔さえも朧げだから」
「え?」
「本当に、覚えてないんだよ。もしもう一度同じ連中に絡まれたとしても、どなたです? って、イヤミとかじゃなくて本気で聞くくらいには、連中に欠片の興味も無い」
絡んで来るにしても、あの程度の口だけじゃあ、記憶にも残らない。
「・・・ぇ~と、ネイト? それ本気で言ってる、の? 冗談じゃなくて?」
呆気にとられたようにぱちぱちと瞬くブラウン。
「うん。至極本気だけど? なんて言うかわたし、ああいう連中を認識するのが苦手みたいで・・・あと、四、五回くらい同じ連中に絡まれれば、個人として認識できるようになるかも? 多分……」
なんていうか、ほら? 無駄に絡んで来るような連中って、大体どれも雰囲気が似通ってるし。チンピラその一、その二的な認識になるようで、個人として認識し難いんだよねー……なんて、絡まれ慣れているようなことはセディーには言えないよね。
とりあえず、セディーのこと悪く言われたことはムカついたけど、あの場でキッチリ仕返しはしたし。連中がどこの誰とか、そんなことはマジで興味無い。また絡まれたとして、その都度仕返しをすればいいことだ。
むしろ、顔を覚えてやらないことも、相手には嫌がらせになるようだし。
「ネイトって……実は、人の顔を覚えるのが苦手だったりする?」
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