虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「ぁ~もうそれでいいよ。わたしがブラコンなのは、多分間違ってないから」

 投げやりに言って、

「だから、もう帰ろうセディー」

 セディーの背中を押して促す。

「渋滞掛かると家着くの遅くなるんだからさ」
「え~、僕。ネイトのお友達に会ったことないから、ちゃんと挨拶したいんだけどな」
「いや、あれは単なる通行人の男子生徒A、B、Cなんだってば」
「……成る程、ブラコンだからハウウェルは先程の絡んで来た先輩達をああして撃退したワケか……」

 ぼそりと呟かれた言葉に、

「・・・なぁに? どういうこと? 僕の可愛い弟に絡んで来た奴がいるの? それって何年生かな? 知ってるなら詳細を聞かせてくれる? どんな奴らだったの? 特徴は? ちょっと圧力掛けて話し合って来なきゃ」

 にっこりと笑顔を深めてリールに向き直るセディー。顔は笑顔だが、まとう空気が冷ややかなものに変わっている。

「ぇ?」

 セディーに気圧けおされたのか、リールが固まった。

「ちょっ、ハウウェル、なんかいきなりおにーさんの笑顔が怖いんだけど……?」
「ったく、余計なこと言うからだよ……」

 テッドに低く返し、

「ほら、行くよセディー。連中にはきっちり恥掻かせてやったから大丈夫。そんなことより、わたしは早く帰りたいんだってば。ここでうだうだしてたら、その分セディーと過ごせる時間がどんどん減ってくんだけどなぁ」

 と、セディーの気を逸らしてみる。

「っ! そうだよね! なにも今、ネイトと過ごせる貴重な時間を削ってまで相手することはないよね。うん、わかった。……後で調べて、どうするか決めることにしよう……」

 帰ることには同意してくれたが、なにやら不穏なことを呟くセディー。やっぱり、この程度で気は逸らせないらしい。

「やだっ、ハウウェルのおにーさんがなんかちょっと怖いこと言っている!」
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