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しおりを挟む「ふむ。あれは、ハウウェルの兄君ではなかろうか?」
「げっ、レザンまで・・・」
「え? マジ? あれ、ハウウェルの兄貴? 見た目あんま似てねーのな?」
「兄の方は普通の顔なんだな。ハウウェルよりも地味というか……」
ぼそりとした声で呟いたのはリール。なにげに失礼だなコイツ。
「ちょっ、なんで君達がいるのっ!?」
「あ? なんか、いそいそと歩いてくハウウェルが見えたから追い掛けてみた」
悪びれもなく言うテッド。
「フッ、大方、早く家に帰りたくて待ちきれなかったのだろう。前からそうだからな。ハウウェルは」
うんうんとワケ知り顔のレザン。ある意味間違ってはいないけど、なんかムカつくな!
「よし、では折角だからハウウェルの兄君に挨拶を」
「はあ! しなくていいっ!? むしろお前は近付くなっ!?」
セディーの方へ歩こうとするレザンの肩を強く掴んで止める。と、
「うん? ハウウェルは恥ずかしがり屋だな。なぁに、別にハウウェルの恥ずかしい失敗やらなにやらは話すつもりはないぞ。内緒にしておいてやるから安心しろ」
にかっと爽やかな笑顔。
「そういう意味じゃねぇんだよ。セディーに近寄るなこの脳筋が」
「どしたよ、ハウウェル?」
どうしたもこうしたもない! むしろこれからどうしようだよっ!?
……コイツらを振り切って馬車まで走る、のは……テッドとリールは兎も角、一番振り切りたいレザンの野郎を引き離すのが無理だよチクショー!
「うん。どうしたの、ネイト?」
思わぬ近い距離から聞こえた声。
「っ!? ・・・セディー? な、なんでここに?」
驚いたわたしへ、
「ネイトのお迎えに来ちゃった♪」
にこっと嬉しそうな笑顔。
「それで、そっちの子達はネイトのお友達かな?」
そして、セディーがレザン達の方を向く。
「うむ。俺は」
「あ-違う違う。学園で知り合った単なる通りすがりの男子生徒A、B、Cだから」
頷いて自己紹介しようとしたレザンを遮り、
「さあ、帰ろうかセディー!」
セディーの背中を押して促す。
「え? ちょっ、ネイト? 僕、ネイトのお友達に挨拶がまだ」
「わたしは早く帰りたい!」
「まあ、待てよハウウェル」
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