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「ぷっ、ハハハハハハっ!? 言うじゃないかハウウェル!! 確かに、学園は交友関係を広げる絶好の場だからなっ!? それを、この年になってまで家の言い付けを律儀に守って、その機会をふいにするのは勿体無いからなっ!? いい子でいるにも程があるっ!!」

 吹き出して笑うレザンにつられたのか、あちこちで吹き出す音やクスクスと笑う声が聞こえて来る。

「ええ。その年で自分で友人も選んだことがないとか、可哀想……あ、いえ。勿体無いですよねぇ?」

 駄目押しに、更に増える笑い声。

「なっ!?」
「……おっ、覚えてろっ!?」

 と、自分で友人を選んだことのない、いい子の先輩・・達(笑)は学食でこの騒動を見守っていた生徒達に笑顔を振り撒きながら退散して行った。

 ハッ、おととい来やがれ!  馬鹿共を晒し者にしてやったぜ! なんて……すご~く思っているけど、顔にも口にも出さない。

「……言うっ、じゃないか、ハウウェルっ……クッ、ハハハハハハハハハっ!?!?」

 ぷるぷると震えながら、堪え切れず、とうとうテーブルをバシバシ叩きながら爆笑するテッド。

 まぁ、爆笑しているのはテッドだけじゃないけど。笑い声と共に戻って来た喧騒。さっきまでのピリピリしていた空気が霧消している。

 なんというか、こないだから浮かれた雰囲気の中にもどこはかとなく不穏さを孕んでギスギスした雰囲気を、図らずも変えてしまったようだ。ある意味、貴族子女達に不満を持っていた平民生徒達のガス抜きになったのかも。

 きっとこれから、貴族子女が平民を馬鹿にする度、『友達も自分で決められないんだ、可哀想に……』という同情的、もしくは若干馬鹿にするような目で平民側から見られることになるだろう。そうじゃなければ、笑い飛ばされるとか?

 貴族というのは兎角とかく面子に拘る習性がありますからねぇ。そういう目で見られたくなければ、迂闊な言動をする人は自重することでしょう。愚か者については、なんとも言えませんが。

 まぁ、平民、貴族、他国の王族(辛うじて王位継承権持ち)にも知り合いがいるわたしが言ってもそんなに説得力は無さそうですが、概ね事実ですし。

 貴族の子達って、実は結構素直な性格の人が多いんですよねぇ。

 素直だから、言われたことを頑張る。
 素直だから、言い付けを守る。
 素直だから、周囲の人間の言動を真に受けて悪意にも染まり易い。
 素直だから、人を見下す人を見てそれにならう。
 素直だから、疑いなさいと言われたモノを疑う。
 素直だから、上に従うことに対して疑問を抱かない。

 本当に、染まり易いいい子・・・達が多い。

 まぁ、両親に育てられず、ほぼ使用人達に育てられて、あちこち転々とした一捻くれ者の持論ではありますけど。

 とりあえず・・・彼らは在学中、クスクスと笑われるか、なまあたたかい視線を浴び続けることになるでしょう。

 セディーのことを侮った馬鹿共の面子をぶっ潰してやったぜ!

 わたしの勝ちだ!

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