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翌朝。金曜日。
いつもより十分早く食堂に来てみた。
そこそこな混み具合。
そして眠い。早く食べよう。
がやがやとした喧騒に、ゆるゆると落ちそうになる瞼と欠伸を堪えながら朝食。
ある程度の喧騒って、なぜか眠気が誘われる気がする。なんでだろ?
食べているうちに、段々と目が覚めて来た。
顔を上げて食堂を見渡すと――――
楽しそう、嬉しそうな顔が大半。戸惑うような顔があり、はっきりと顰められている顔もあり、不機嫌そうな顔、苛立っている顔もところどころ見られる。
不快そうな顔が……単なる機嫌の良し悪しや体調、わたしみたいに朝が苦手、そうじゃなければ、仏頂面がデフォルト。という人ばかりだといいんですけどねぇ。
とりあえず、今日なにもなければ、明日明後日が土日だから、月曜日には寮全体の雰囲気が少しは変わっている……ことを期待したいところではある。
そう、思っていた。
✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐
午前中の授業が終わり、ランチタイム。
「よう、ハウウェル。こっち空いてるぞー」
「ああ、君か」
ひらりと手を振るのはテッド。
「それじゃあ、お隣失礼する」
「おー、座れ座れ」
席に着いて食べ始めると、
「昨日はレザンの野郎が悪かったよなー。あと、俺も茶化して悪かった」
テッドが謝った。
「昨日? ああ、別にもう怒ってないよ」
「え? マジ? 昨日は結構怒ってなかった? ハウウェル」
「昨日は、って言うか……まぁ、レザンの無神経さは別に今に始まったことじゃないし。今更だよ、ホントさ。アレはああいう無神経な生き物なんだ。気に障る度、一々引き摺ってたら身が保たない。他にも、人の話を全く聞かないような人っているし……」
うん。あの無神経さには若干イラッとさせられるけど、レザンは全然マシな方。誰かみたいに、相手するだけでメンタルが削られて行くような、疲労感や徒労感だけがどんどん募る感じはしないし。悪い奴でもない。無神経な脳筋だけど。
むしろ、こっちも奴を雑に扱おうと思えるから、ある意味気を使わないでいい相手だとも言える。
「ほら見ろ、ハウウェルはあんなことを一々気にするような器の小さい男じゃないと言っただろう?」
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