虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
149 / 673

131

しおりを挟む


✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽

 翌朝。金曜日。

 いつもより十分早く食堂に来てみた。

 そこそこな混み具合。

 そして眠い。早く食べよう。

 がやがやとした喧騒に、ゆるゆると落ちそうになるまぶた欠伸あくびを堪えながら朝食。

 ある程度の喧騒って、なぜか眠気が誘われる気がする。なんでだろ?

 食べているうちに、段々と目が覚めて来た。

 顔を上げて食堂を見渡すと――――

 楽しそう、嬉しそうな顔が大半。戸惑うような顔があり、はっきりとしかめられている顔もあり、不機嫌そうな顔、苛立っている顔もところどころ見られる。

 不快そうな顔が……単なる機嫌の良し悪しや体調、わたしみたいに朝が苦手、そうじゃなければ、仏頂面がデフォルト。という人ばかりだといいんですけどねぇ。

 とりあえず、今日なにもなければ、明日明後日が土日だから、月曜日には寮全体の雰囲気が少しは変わっている……ことを期待したいところではある。

 そう、思っていた。

✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐

 午前中の授業が終わり、ランチタイム。

「よう、ハウウェル。こっち空いてるぞー」
「ああ、君か」

 ひらりと手を振るのはテッド。

「それじゃあ、お隣失礼する」
「おー、座れ座れ」

 席に着いて食べ始めると、

「昨日はレザンの野郎が悪かったよなー。あと、俺も茶化して悪かった」

 テッドが謝った。

「昨日? ああ、別にもう怒ってないよ」
「え? マジ? 昨日は結構怒ってなかった? ハウウェル」
「昨日は、って言うか……まぁ、レザンの無神経さは別に今に始まったことじゃないし。今更だよ、ホントさ。アレはああいう無神経な生き物なんだ。気に障る度、一々引き摺ってたら身がたない。他にも、人の話を全く聞かないような人っているし……」

 うん。あの無神経さには若干イラッとさせられるけど、レザンは全然マシな方。誰か・・みたいに、相手するだけでメンタルが削られて行くような、疲労感や徒労感だけがどんどん募る感じはしないし。悪い奴でもない。無神経な脳筋だけど。
 むしろ、こっちも奴を雑に扱おうと思えるから、ある意味気を使わないでいい相手だとも言える。

「ほら見ろ、ハウウェルはあんなことを一々気にするような器の小さい男じゃないと言っただろう?」

しおりを挟む
感想 175

あなたにおすすめの小説

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。  しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

これは一周目です。二周目はありません。

基本二度寝
恋愛
壇上から王太子と側近子息達、伯爵令嬢がこちらを見下した。 もう必要ないのにイベントは達成したいようだった。 そこまでストーリーに沿わなくてももう結果は出ているのに。

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

処理中です...