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しおりを挟む「そうみたいですね。それで、兄が乗っていた子を教えて頂けますか?」
「それでしたら・・・」
と、セルビア嬢が紹介してくれたのは、おっとりした賢そうな顔の美人さん。
「この子はとても賢い子で、乗馬が初めてで、馬を怖がっているようなお嬢さんでも乗せて歩いてくれるので、初心者の方々の練習用によく選ばれるのです。けど、何度か乗って慣れて来ると皆さん、あまりこの子に乗りたがらなくなってしまって・・・」
「成る程。わかりました。では、わたしは今日はこの子にしますね。教えて頂き、ありがとうございます、セルビア嬢」
「いえ、お気になさらず」
と、今日はセディーを乗せてくれていた、おっとりな美人さんに乗ることにした。
「・・・本当に賢いんですね。あなたは」
ちょっと、驚いた。癖が無くて素直だし、指示を出す前にわかってくれている感じが凄い。
更にはのんびりゆったりした歩調で、あまり身体が揺れないよう気遣ってくれてるし。本当に、優しくてとても気立てのいい子だ。
けど、この子が乗せてあげている、ということに気付ける人がどれ程いることか・・・
「でも、わたしは初心者ではないので、今日はあなたの好きなように走ってもいいんですよ? どういう風に走りたいですか?」
と、声を掛け、手綱を緩めて彼女の好きなようにさせてみることにした。
すると、以外なことに彼女は、走るよりも跳ぶ方へと足を向けた。
「成る程、アスレチックですか。いいですよ? 一緒に跳びましょうか」
まずは小手調べと言わんばかりに、地面に半分程埋められて横たわっているいる丸太の上をぽんと軽く跨いだ彼女は、顔を上げてわたしを伺う。
アスレチック競技は、乗り手の技量は勿論だが、馬との信頼関係が非常に重要となる。
「大丈夫です。どんどん行きましょう」
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