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しおりを挟む「? セディーの悔しがる顔?」
ふふんと胸を張るお祖父様。
「セディーには、貫禄と経験と人脈と場数が圧倒的に足りんからな。そんな若輩者には、まだまだ家督を譲るわけにはいかん」
「そうですか」
「そうだ。おじい様に任せておけばいいのだ」
ふん、と鼻を鳴らした後に、
「……なにも、若いのに好き好んで要らん苦労を背負わんでもいいだろうに……全く、いつの間にかあんな強情になりおって。誰に似たのやら」
不満げな呟きが落ちる。
なんだかんだ、お祖父様もセディーのことを心配しているんですよねぇ。言い方は若干……いや、あんまり? 素直じゃありませんし、セディーに妙な対抗意識もあるみたいですけど。
「ふふっ」
思わず笑ってしまうと、
「なにがおかしい?」
お祖父様が怪訝そうにわたしを見ます。
「いえ……強情なのは、お祖父様に似たのでは? と思って」
「いいや、セディーが頑固で強情なのは、絶対にネヴィラに似たのだ」
やけにきっぱりと言い切るお祖父様が面白い。
「どっちでもいいじゃないですか」
「よくないぞ。わたしよりも、ネヴィラの方が強情なんだからな」
そうですかねぇ? セディーがああ見えて、実は結構情熱的だったりするのは……一目惚れした外国のお嬢さんに突撃プロポーズをして、見事結婚したお祖父様譲りだと思うんですけどね?
「お祖父様とおばあ様の孫なんですから、両方に似てて当然でしょう?」
「・・・むぅ・・・まぁ、いい」
お祖父様、不機嫌を装っていますが、口元が嬉しそうですよ。
「そんなことより、ネイト。今週末は帰って来なさい。金曜にうちの馬車を回すから、ちゃんと校門から馬車に乗って帰って来ること。これは命令だ」
「渋滞が・・・」
「我慢しなさい。騎士学校を卒業して、多少剣が扱えるとは言え、お前はまだ子供なんだ。あまりネヴィラやセディーを心配させるな」
「はい、わかりました」
「宜しい。では、授業を頑張って来なさい」
そう言って、お祖父様は帰って行きました。
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