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しおりを挟む「一体、どういうことでしょうか?」
お祖父様の、威圧を含む低い問い掛けで、話し合いが始まりました。
学園側は平身低頭で謝罪。
ネイサン・ハウウェル君は件の生徒へ絡まれはしたが、別生徒の助けが入り、暴力を振るわれていないこと、怪我もしていないこと、実質的な金品の被害を受けていないことなどを、学園側がお祖父様へ必死に説明。
わたしもそれに同意し、お祖父様が重々しく納得。
むしろ、暴力はわたしの方が彼らへ振るった側だし。学生証と財布も、連中の懐を漁っての提出だし。レザンはそれらが済んだ後から来て、わたしに都合のいいように口裏を合わせてもらった協力者だ。
まぁ、言いませんけどね。色々とめんどくさいので。
しれっとした顔で、聞かれたことへ対しての受け答えをして・・・
という感じで、三者面談の話し合いが終了しました。学園職員の方、お祖父様の威圧にげっそりした顔してましたね。大丈夫でしょうか?
それから、個室となっている談話室へお祖父様と一緒に移動して――――
「お祖父様、あんなに圧を掛けなくてもよかったんじゃないですか?」
口を開きます。
お祖父様はずっと怒った顔をして、学園職員達を終始威圧していましたが……
「実は、あんまり怒っていませんでしたよね?」
わたしには判ります。だって・・・お祖父様が本気で怒ったときの圧は、もっと凄いからっ!?
お祖父様が両親のいずれかと顔を合わせると、表情では怒っていなくても、緊張感が漂い、空気が冷やっとするし・・・気配というか、怒気を発するという意味が、よく判る。まだ、彼らを許していないのだと。
だから、学園職員に対するお祖父様の態度は、怒っているというポーズなのだとすぐに判った。まぁ、だから今聞いているんですけどね。
「・・・そうはいかん。今日は、ネイトになにかあれば、ハウウェル侯爵家を敵に回すということを周知させに来たのだからな」
ああ、今日は学園側というよりは、生徒達……の後ろにいる貴族家の方への圧力でしたか。
「ただでさえ、あの愚息共のせいでうちの評判は下がっているからな」
苦虫を嚙み潰したような顔をするお祖父様。まぁ、愚息共、とは両親のことですね。
わたし、両親には軽んじられていますし。下位貴族の、それも身内に軽んじられている、嫡男ではない子だと認識されると、厄介なことが起きる可能性がある、と。
「ご迷惑をお掛けします」
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