上 下
131 / 673

113

しおりを挟む

 ・・・なんて、気楽に考えていましたよ。

 わたしは別に、自分が被害者ではないつもりだった。けれど、それは考えが甘かったようです。

 ええ、砂糖菓子くらいには甘い考えだったようでした。騎士学校では、これくらいでは保護者が呼び出しされるなんてこと、ありえませんでしたからね。
 あちらは、生徒の身内と言えど、校内に外部の人間を入れることはしませんでしたし……そもそも、暴力事件なんて日常茶飯事でしたからねぇ。
 組み手や剣の訓練、試合、自主訓練から派生した殴り合い、罵り合い、怒号、喧嘩……毎日が割と殺伐としていました。
 さすがに、骨折なんかの大怪我や、仲の悪い生徒同士が殺し合いにまで発展しそうになれば、問題にもなりましたが……

 こちらはそんなこともありませんからね。至って平和です。なんて、楽観視をしていたら――――

 気付けばいつの間にか、保護者が呼び出されての三者面談という運びになっていました。

 レザンの方も、保護者が呼ばれるとのこと。

 二人して、保護者呼び出しそのことに驚きましたよ。怪我もしていないし、被害もなにも無い。だというのに、この程度のことで問題になるのか? と。

 かなり驚いて・・・

 それから、ふと思ったのですが・・・もしかして、わたし達の認識が少しおかしいんですかね?

**********

 二日後。

 本来なら授業を受けている筈の時間。ちなみに、欠課扱いはされないそうです。

 外賓応接室にて。お祖父様が怒った顔をして、学園の職員を威圧しています。

 子爵令息の、しかも次男の話だからと思って連絡をしてみれば、学園に来たのは祖父である侯爵家の当主本人ですからね。学園職員が緊張するのは当然かもしれません。

 父? あの人は来ませんよ。

 むしろ、今回のことはなにも知らないんじゃないですかね? なにせ、わたしの保護者の連絡先は、全てお祖父様とおばあ様宛にしてもらっていますからね。そして、セディーの名前も。

 わたしの保護者連絡欄にセディーの名前を書いていいかと聞いたら、大喜びされました。セディーがすご~くにこにこして上機嫌だったなぁ。

 両親へのは連絡は……お祖父様が必要だと判断すれば、するかもしれませんね。
 まぁ、あの人達に会うのは面倒なので、できれば連絡はしないでくれると嬉しいですが。

「一体どういうことでしょうか?」

 お祖父様の、威圧を含む低い問い掛けで、話し合いが始まりました。


__________


 確りと基準のおかしいネイサンとレザン。(笑)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

今更「結婚しよう」と言われましても…10年以上会っていない人の顔は覚えていません。

ゆずこしょう
恋愛
「5年で帰ってくるから待っていて欲しい。」 書き置きだけを残していなくなった婚約者のニコラウス・イグナ。 今までも何度かいなくなることがあり、今回もその延長だと思っていたが、 5年経っても帰ってくることはなかった。 そして、10年後… 「結婚しよう!」と帰ってきたニコラウスに…

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

処理中です...