虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽

 翌朝。

 筋肉痛の重怠さと、若干の睡眠不足を感じつつ、眠さを堪えて起きる。

 ぼへ~っとしながら身支度を整え、食堂へ向かうと・・・

 なにやらざわついている気がした。

 ぼんやりしながら朝食を食べていると、

「やあ、おはようハウウェル!」

 朝も昼も、深夜や早朝でも変わらぬテンションの挨拶。ちょっとウザいと思いつつ、

「……おはよう」

 低い声で返す。と、

「ふっ、相変わらず朝が弱いなハウウェルは。そんなだと、朝に奇襲を掛けられたらあっさりやられてしまうぞ?」

 なんか言っているが、聞き流して黙って朝食に取り掛かる。

 わたしは別に、奇襲を掛けられるような殺伐とした暮らしをするつもりはさらさら無い。だから、朝がちょっとくらい得意じゃなくても大して構わない。

 でも・・・レザンが現れた途端、なんだか食堂のざわつきが大きくなったような?

「うん? どうかしたか? ハウウェル」
「・・・君、なんかした?」
「? ああ、まだ寝惚ねぼけているのか。大方、昨日の先輩方のことだろう」
「きのう、昨日、先輩……ああ、思い出した。なに? もう噂回ってるの?」

 昨日は確か、こっちに戻って来て、夕食を食べているときに面倒な輩に絡まれて、カツアゲを返り討ちにして、学園の職員に引き渡したんだったな。

 取り調べが面倒だった。そして、もう既に彼らの顔も覚えていない気がする。

「うむ。どうやら彼らの悪さはそこそこ有名だったようだな」
「そう」

 ああ、そうだ。今日も事情聴取があったんだったな。ぁ~、めんどい。

「そして、彼らの部屋が、昨夜のうちにガサ入れされたらしい」
「成る程」

 それでこの騒ぎですか。頷いていると、

「大丈夫でしたか? ハウウェル君」

 心配そうな声が掛けられた。

「おお、ライアン先輩ではないですか。おはようございます」
「あ、ああ。おはよう。そんなことより、君達は大丈夫でしたか? 下位貴族や平民を狙って金品をせびった上、学生証まで奪い取る輩がいたらしい。噂には聞いていたが、まさかこの寮の生徒だったとは・・・」

 沈痛な面持ちでわたしとレザンを見詰めるライアンさんに、

「うむ。問題ありません。後で事情聴取に協力しますが、適切に処理してくれることでしょう」

 レザンが応える。

「あ、ああ。そうですね」
「ええ。大丈夫です」
「よかった……もしネイサン様になにかあれば、セディック様に顔向けできないところでした」

 深い安堵の溜め息を吐いているところへ、少し申し訳ない気持ちになりますが・・・

 わたしがあの連中を突き出した当事者です。とは、若干言い難い雰囲気だな。まぁ、こんな誰が聞いているかわからない食堂で話すことじゃないけど。

「とりあえず、朝食食べません?」

 と、話を濁しておこう。

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