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しおりを挟むふぅ・・・こんなことなら、あと三個くらいパンを食べとけばよかったっ!!
そして、気絶した彼らをレザンに任せ、ラウンジの職員へと学生証と財布とを出して、打ち合わせた通りの事情を話す。
と、慌ただしく他の職員達が呼ばれて来て――――
気絶した先輩方の身柄が拘束され……というより、医務室行きになったっぽい? ですね。
殴ったことに関しては、謝りませんが。誰になんと言われようと、絶対に正当防衛で通します!
それから、面倒な説明。説明。説明の繰り返し……を、二時間強経て、やっと部屋に戻って来られた。
時計の針はもう、十時を回りそうだ。
「・・・疲れた~」
これでも・・・レザンがいたから、まだスムーズに行った方なんだろうなぁ。わたし一人で証言していたら、もっと時間を食っていた筈だ。
連中を伸す(三分も掛からなかった)より、その後始末の方(二時間以上の取り調べ)に体力と気力をごっそり奪われた。
取り調べに時間が掛かるのも、何度も何度も同じことを繰り返し質問されるのも、仕方のないことだ。事実関係に間違いが無いか、矛盾が無いか、齟齬が無いか、嘘が無いかを調べ、確認する為に必要なことだから。
とりあえず、取り調べの感触からして、彼らの共犯だと思われていなかったのは、僥倖と言ったところかな? むしろ、わたしとレザンは被害者側扱いかな。
まぁ、彼らが気絶していたことに関しては、わたしの方は全く言及されませんでしたね。というか……暴力事件なんかより、学園側は複数人の学生証と財布とを彼らが所持していたことについて、大わらわしていましたからね。
一応、暴力についてレザンになにかしらの処分が下るようなら、ちゃんとわたしがやったと名乗り出る予定ではありますが……是非とも、このまま些末な暴力事件のことは忘れ去ってくれると有難いですね。
レザンの方は最初、わたしを虐めていないかと疑われていた模様だけど、クロフト家の名前と、わたしと彼とが同じ騎士学校出身だと話すと、すぐに疑いが晴れた……と、思う。多分。
むしろ、彼らを学園側へ突き出したことを納得された、かな?
軍人の家系がなぜこの学園へ? という不思議そうな顔をされてもいたけど。まぁ、別に軍人の家系の子弟が騎士学校以外に通っても構わないだろうに。レザンの奴は、お父上の命令? でここに通っているのだそうだけど。
「ぁ~、お腹空いた・・・」
お菓子でも摘みながら、明日の準備でもするか。
「はぁ・・・明日も事情聴取だ」
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