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「まぁ、見ての通りだね」
「ふむ、成る程。いつも・・・のやつ・・・だなっ!?」

 ぶっ倒れている先輩達を見下ろし、あっさり納得するレザン。

「そういうこと、かな?」

 まぁ、大体いつもの通りだ。騎士学校で絡まれ捲っていた頃の……

「それにしても、ハウウェルに絡もうとするとは、見る目の無い連中だな。これだけ負けん気の強い奴もなかなかいないというのに」
「負けん気って……」
「うん? かなり強いだろう? だから、ハウウェルは、勝てな・・・くても・・・簡単に負け・・ようと・・・しない・・・じゃないか。で、それはどうするんだ?」

 わたしが数えている複数の学生証と財布とを見やるレザン。

「そうだねぇ……面倒だから、手伝ってよレザン」
「よし、では久々に付き合ってもらうぞ!」

 ぁ、ちょっとこれ早まったかも。

「・・・まぁ、程々にね」
「よし! で、どうする?」
先輩・・達が拳闘の訓練をしてやると言って因縁を付けて来た。で、そこにレザンが駆け付けて来て、自分が相手をすると言った。そして、拳闘の訓練をしている際に財布や学生証がぽろり。って感じかな?」
「こいつらをしたのはハウウェルだろうに」

 レザンが渋い顔をする。

「なんか信じてもらうまでめんどくさいから、君がやったことにしといて。で、落ちた学生証が違う人の学生証だったから寮監に届けて相談した、と」
「少々釈然としないが、概ねわかった。それで、先輩・・方はどうなる?」
「かなりよくて停学、そして被害者と示談。最悪だと、退学処分の後に逮捕とかされるんじゃない?」
「ふむ。自業自得と言ったところか」
「そういうことでよろしく」
「ハウウェルの方こそ、忘れるなよ?」

 チッ、覚えてやがったか。

「・・・じゃあ、週末の放課後。木剣で。夕食までの時間なら・・・」

 ぼそりと告げると、

「いいだろう。任せろ!」

 にかっと爽やかに笑うレザン。

「はぁ・・・」

 思わず出たのは、憂鬱ゆううつな溜め息。

「うん? どうしたハウウェル」

 レザンが面倒だから。というのもあるけど……

「・・・いや、取り調べ面倒だなって。もう部屋戻って寝るつもりだったから」

 小一時間は覚悟かな? まぁ、レザンが打ち合わせ通りに証言してくれる予定だから、わたし一人で説明するよりもかなり短時間で済むと思うけど。

 わたしが暴力沙汰に巻き込まれると、なぜか初見の大人はわたしの話をあんまり信じてくれないんだよねぇ。なんだろ? わたしはどうやら、大人しい子だと思われることが多いらしくて……「誰がやった?」と、しつこく聞かれて嫌になるんだよね。しかも、相手の記憶が無かったりする場合は特に。

 まぁ、何度もお世話になった教官達には「またハウウェルか」と渋い顔をよくされましたけど。

 ふぅ・・・こんなことなら、あと三個くらいパンを食べとけばよかったっ!!
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