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 と、男子寮の裏手に連れて来られて――――

 数分が経った。

 なにやらよくわからないけど、益体も無い上、途轍もなくしょうもない募金・・活動への協力を求められているようだ。

 財布と学生証を出せと言われている。なんでも、女子生徒を置き去りにしたという一年生を探すので資金と学生証が必要云々うんぬんだとかで・・・

 いやいや、こんなの信じるアホはそうそういないだろう。馬鹿らしい。

 要は、カツアゲだな。

 騎士学校でもあったわ。帰省から戻った大人しそうな生徒を対象にしたカツアゲが。更には、学生証を取り上げまでするとはまた、かなり悪質な部類な連中だ。

 道理で、食堂に人が少なかったワケだ。

 こんなやからとは、関わり合いになりたくないに決まっている。あと、わたしから目を逸らしながらも気の毒そうな視線を寄越した意味なんかも。

「聞いてるのかっ!?」
「? ああ、いえ。お断りします」
「なんだと?」
「それなら、少し痛い目に遭ってもらおうか」

 と、三人一斉に殴り掛かって来ました。

「では、これは正当防衛ということで……」

 ニヤリと笑い、三人のボスっぽい奴のあごを右ストレートでガツン! と打ち込む。

「へぶっ!?」

 奇声を上げ、寄り目になる名も知らぬ先輩。これは脳震盪のうしんとうまった。更に、拳を振り抜く。

「ど、うぇっ!?」

 と、浮いた脳震盪の彼の勢いは止まらず、その隣にいた先輩を巻き添えにしてぶっ倒れる。

 ふっ、これぞ一対多数戦の必勝法。巻き添えクラッシュ。主に、大人数に囲まれて、「一人一人倒して行くの面倒臭ぇ」というときや、「さっさと帰りたい」というときに使用する必殺技。
 ちなみに、相手が団子状態で群がっているときに威力が増す。※十人以上が折り重なると、下敷きになった人の圧死の危険性が高くなるから取り扱い厳重注意! 安全に配慮するなら、重ねるのはせいぜい五人まで! なんだけどね?

 あと、巻き込みクラッシュは味方がいる場合の使用にも十分注意しなくてはいけない。味方を巻き込むと、大変だし。まぁ、事故・・なら仕方ない。あくまでも、事故なら……ね?

「はあっ!?」

 残り一人。の、目をいて驚愕している先輩の鳩尾みぞおちに爪先を叩き込む。

「が、はっ!?」

 膝を着いて転がったのを見届け、

「はい、終わり」

 にっこりと微笑む。

 そして――――

「成る程」

 ぶっ倒れた先輩達を蹴り転がし、その懐を漁り、財布と学生証を抜き取っている。と、

「どうしたんだハウウェル?」

 レザンが走ってやって来た。

「どうしたってなにが?」
「いや、ハウウェルがピンチだから助けに行った方がいいと、乗馬クラブの奴がな」

 どうやら、さっきの絡まれているわたしを心配してくれた人がいたらしい。

「まぁ、見ての通りだね」
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