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しおりを挟む「まぁ、長期休暇には必ず帰って来るから」
「ホントに?」
「うん。約束する」
とはいえ、長期休暇の前には無論のこと。テストという難関があるワケだけど。勿論、赤点を取ると、問答無用で補習があるけどねっ!?
そして、赤点教科の補習が終わるまで帰省はできない。補習で長期休暇を潰した人が~というのは、一年生の間でもよく聞く話だ。
赤点を取るつもりは全くないんだけど、気を引き締めないとね。
セディーはきっと、赤点の心配なんかしたことないんだろうなぁ。なんせ、常に手抜きでも十番以内をキープしていたという話だし。
羨ましい限りだ。
「とりあえず、赤点回避を頑張るかなぁ」
「わかった。僕も協力する!」
と、朝食が終わった後に、お勉強タイムに突入。セディーがやたら張り切っていました。
お昼にはお祖父様が慌ただしく帰って来て、一緒にお昼を食べて、そのまま四人でお茶をしながら談笑して、二時過ぎには家を出た。
寂しそうな顔で、
「行ってらっしゃい、ネイト」
と送り出してくれた。
♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘
馬車に揺られて数時間。傾いて来た日に赤みが差して来た頃、街に入った。
学園へと向かう馬車を何台か見掛けたので、荷物と剣を確認し、コンコンと御者に合図をして馬車を停めてもらう。
「さて、また走りますか」
帯剣して、行き同様に街を走り抜ける。
暖色に染まる街。しんとした静かな早朝にはなかった、活気と人の声と雑踏。仕事帰りのような人々がどこかへと歩いて行く。家々で夕食を作っているのか、あちこちからいい匂いが漂って来る。
大通りを走る馬車。ちらほらと、学園生徒らしき少年が歩いているのも見えた。
のんびり歩いていると、夕食を食いっぱぐれるんだけど大丈夫かな?
まぁ、街中で夕食を食べてから学園に戻るという手もあるけどね。
更に強者になると、夕食どころか、街で一泊してから朝に学園に戻るという人もいるらしい。まぁ、最悪、授業開始時間までに間に合えばいいから、ギリOKなことらしいけど。
元々は、夜中に戻って来て、学園まで辿り着けなかった人がいたから街での一泊が黙認されていたのだとか。現在は……わざと学園に戻らない不良生徒がいるとかで、なるべく街で一泊はしないようにして、学園まで戻ることが推奨されているが。
お堅い校風でも、やはりはみ出し者というのは存在するのか……と、なぜか感心してしまった。まぁ、まだそのはみ出し者の生徒とやらにはお目に掛かったことはないけどね。
・・・うん? もしかしたら、レザンがはみ出し者扱いされてたり?
まさか、ね・・・?
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