虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「あの、そんなに勉強に困っているのでしたら、よろしければお教えしましょうか?」

 横合いから、柔らかな声がした。

「ライアン先輩ではないですか!」

 セディーの後輩で、卒業後に自分の秘書にならないかとセディーにお誘いを受けていて、そのせいかわたしにも丁寧な態度を取る三年生の先輩、ライアンさん。
 わたしが、レザンに虐められているんじゃないかと声を掛けてくれた人でもある。長身強面なレザンに注意して、わたしを守ってくれようとした彼は、いい人だと思う。

 まぁ、それは誤解だったワケなんだけどね。

「いやあ、助かります!」

 躊躇ためらいい無く即行で頼っちゃったよコイツっ!?

「その、いいんですか? ライアンさん」
「勿論です。僕も、ハウウェル先輩……いえ、セディック様には、よく勉強を見てもらいましたから」

 と、ライアンさんに中間テストまで勉強を教わることになりました。

 毎日放課後に集まって、図書室やら男子寮のラウンジでお勉強です。

 ライアンさんは、さすがセディーに勉強を教えてもらったことがあるというか、教えるのが上手いですね。まぁ、なんというか、わたし……というよりは、主にレザンの方がライアンに教わっていたんだけどね?

 ちなみに、ライアンさん曰く、レザンは・・・ある意味、教え甲斐があったそうです。
 根気強く、基礎をみっちり教わっていたようですね。そのお陰で、レザンは補習を免れたようです。

 諦めていた補習の回避ができて、奴はかなり喜んでいましたね。喜びついでに、またわたしを誘って来たのが、ちょっとウザかったけど……勿論、丁重に断固拒否したら、レザンが折れました。

 わたしの勝ちです。

 オウムのように「わたしは家に帰ります」と、同じことを平坦な声と無表情で繰り返し続けると、「他に反応を返してくれ! お前の無表情はコワいんだ!」と奴はへこんでましたが……全くもって失礼な奴だな! 長身で三白眼、威圧感のある強面野郎にそんなこと言われたくないっての。

 でも……この手は使える! 覚えておこう。

 まぁ、そんなレザンのあれこれなんかは、割とどうでもいいんだけど。

 ライアンさんは三年の上位クラスに在籍しているそうで・・・レザンに時間を割いて、ご自分の勉強は大丈夫だったんでしょうか? 少々気になります。

 ライアンさんには、レザン共々お世話になりました。今度、なにかお礼をしなくては。

 勿論、わたしも補習は回避成功! やったね♪

 テストは・・・まぁ、悪くはない点数と言ったところでしょうか。とりあえずは、この成績から下がらないようキープ。余裕があれば、もうちょっと頑張るという感じかな?

 さて、祖父母の家へ帰る為の準備をしますか。
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