虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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 まさか、共学の学校で女子生徒にまで女だと思われるとはっ!!

 まぁ? わたしはそんなに背が高い方じゃないし? 一応、百六十七センチわたしくらいの身長の女性も、少なくはない。

 現に、セルビア嬢だって背が高めですし。

 リボンが~とか言われていたけど、確かに今日はリボンで髪をくくっている。でもさ、わたし以外にも長い髪をリボンで括っている男子生徒はいるよね? 腰くらいまで伸ばしている男子を見掛けたよ? わたしは肩甲骨くらいの長さだけど。

 あれか? 乗馬服なのが悪かったのかっ!?

 確かに、乗馬服は厚手で頑丈なので、体型はちょっと隠れるかもしれない。なら、男子の制服を着ていれば間違われなかったのか? でも、制服を汚すワケにはいかないじゃないか。

 一応、新学期だし? 知らない人や見慣れない人もいて? あの人達も、見慣れないわたしに挨拶でもしようとしたとか?

「その・・・どうやらハウウェル様は・・・クロフト様の婚約者だと思われていたようです」

 マジかっ!?!? よりにもよって・・・

 うん。レザンの婚約者だとか不快な勘違いをされるくらいなら、乗馬服で乗馬するのをやめよう。

 う~ん……わたしがちゃんと男だって判ってもらうには、薄着でもすればいいのかな?

「お気を悪くされましたか?」
「・・・ぁ~、いえ。この程度では・・・まぁ、一応は平気、です」

 うん。彼女達は、すぐに引き下がってくれたし。騎士学校で絡まれたときの方が、クソめんどくさかったからなぁ。そういう・・・・こと・・も、言われたことがないワケでもないし。クズ野郎共にしつこく絡まれるより、断然ましです。

「謝ってくれた方もいましたから。大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 それに・・・だから・・・わたしに、『理解の無い殿方が~』どうとか言っていたワケですか。

 微妙に納得しましたよ。わたしを女だと勘違いしていたから、明け透けに話し掛けたワケですね。男性への不満を零してましたし。

 彼女達は――――その勘違い自体は不快だけど、レザンが自分の婚約者の令嬢(わたしは男だから全然違うけどね!)に、好きなように乗馬をさせているのをうらやましいと思ったワケですか。
 そして、そんな風に自由に乗馬をさせてもらっている女性に、乗馬を教わりたかった、と。

 わたしは男だから、全くもってレザンの婚約者なんかじゃなんだけどねっ!!

 勘違いもはなはだしい彼女達ではありますが……

 これは、男のわたしが言えたことではないとは思うけど――――好きなことや、やりたいと思っていることを、婚約者がいるからと言って周囲に行動の制限をされたりするのは……不平不満を表に出せないだけで、それを苦痛に感じている女性達は案外多いのかもしれませんね。

「……わたしは、別に怒ってはいませんよ」

 少しの不快さと、ほんのちょっぴりのやるせなさを感じているだけだ。

「……ハウウェル様がそう言ってくださると、少し気が楽になります」

__________


 このとき、ネイサンは15歳で身長167㎝くらいですね。
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