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番外。セディー視点11
しおりを挟む夜に来て――――
お喋りをしたり、チェスやカードゲーム、ボードゲームを教えて一緒に遊んだりした。
僕の方が年上なんだから、ネイトの方が弱い。負けると剥れた顔をするのも可愛かった。そんなネイトを言い包めて、機嫌を直すのも面白かった。
ベッドの上でネイトが寝ちゃったときには、凄く焦った。ネイトの乳母が廊下にいて、ネイトを抱っこして連れていってくれて安心した。
おねむになったネイトの手を引いて、初めて部屋まで連れて行ったときにはワクワクした。
僕の具合が悪いときには、手を握ってくれたり、汗を拭いてくれたり、水を飲ませてくれたり、
「はやくよくなってあそぼうね、セディー」
と言って励ましてくれたりした。
ネイトは本当に優しくて――――
僕の弟は、天使なんじゃないかなっ!?
ちょっと本気でそう思って、ネイトの背中に羽がないか探してみた。
「くすぐったいよ、セディー」
きゃっきゃっと笑うネイトが大変可愛かった。ちなみに、羽はみつからなかった。どうやらネイトは天使じゃなかったらしい。安心したような、ちょっと残念なような・・・
優しくて可愛いネイトといるといつも凄く楽しくて、嬉しくなって――――
けれど同時に、ネイトに酷く申し訳なくなる。
楽しいのに、嬉しいのに、いつもどこかでネイトに対する罪悪感があった。
僕のせいで、ネイトは・・・
そう思うと、酷く胸が痛んだ。
**********
そして、忘れもしないあの日――――
父が休みで、僕の体調が良かった。
母が、家族でピクニックに行こうと言い出した。
母が言ったからだろう。父が了承した。
お弁当を用意して、荷物と使用人達も何名か連れて、馬車は三台。
花畑に行くまで、着いたときまでは楽しかった。
ネイトとお出掛けするのなんて初めてだったから、馬車の中ではしゃいで、お喋りをして、一緒に軽食を食べて・・・
白とピンクの一面の芝桜の花畑も、凄く綺麗だった。
そして、ネイトが芝桜の咲き誇る花畑に飛び出して行ってしまった。
僕はこのとき、ネイトを追い掛けなかったことをとても後悔している。
体力って、本当に大事だよね。凄く・・・
僕は――――花畑に着いた時点で既にちょっと疲れてしまって、ネイトに付いててあげられなかった。
椅子とテーブルが設置されるのを待って、休憩がてらのお茶で一服しているときだった。
晴れているのに、ぱらぱらと雨が降って来た。
太陽の光に反射してきらきらと銀色に光る雨粒は、とても幻想的で綺麗だった。
けれど、雨に濡れたら風邪をひいてしまうと、大騒ぎした母に慌てて馬車に乗せられた。
使用人達も、慌てて設置した椅子やテーブルを馬車に積み込んでいた。
ざわざわとみんなが動いている中、僕はネイトがいないと何度も言ったのに、
「きっと他の馬車に乗っているから心配要らないわ。早く帰りましょう」
と言って、馬車が動き出してしまった。
家に着いてもネイトの姿が見当たらなくて。ネイトを探そうとしたら、濡れたんだからお風呂の方が先だと、風呂に入れられた。
その後にも、ネイトのことを何度も聞いた。
なのに……っ!?
「拗ねているだけでしょう。ネイトにも困ったものね。セディーは気にしなくていいのよ」
そういわれて・・・
ネイトが夕食にも現れないと聞いて、さっと血の気が引いた。
__________
花畑置き去り事件。
セディーが9歳くらい。
ネイサンが6歳くらい。
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