虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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 わたしは、ベッドの上の友人セディーを兄だと認識していない頃から、穏やかで優しいセディーのことが好きで――――

 セディーも、わたしと過ごすことを喜んでくれた。

 夜中にセディーの部屋へ行って、セディーの体調次第ではベッドに潜り込んでひそひそと話をしたり、ランプの灯りを頼りに絵本を読んでもらったり、にらめっこをしたり、チェスをしたり、ガードゲームをしたり、ボードゲームをしたりして遊んで……多分、両親あの人達に隠れてこっそりと遊ぶということ自体が楽しかったというのもあるんだろうけど。

 セディーの体調が悪くて遊べなかったりもしたけど、そういうときはセディーの手を握ったり、背中をさすってあげたり、着替えを手伝ったり、水を飲ませたりした覚えがあるなぁ。

 多分、幼少期にそんな風にして夜を過ごしたせいでセディーもわたしも、少し朝が苦手になったのかもしれないけど……

 わたしがうとうとし出してもセディーは、「僕はまだ眠くないんだけどなぁ」と遊び足りなそうに言って、「でも、ネイトが眠いなら仕方ないか。ほら、寝るなら自分の部屋に戻らなきゃ」と、少し寂しそうにわたしの手を引いて部屋まで連れて行ってくれたっけ。
 わたしがセディーのベッドで寝てしまったときは、困って乳母を呼んで運んでもらったらしいけど。

 実は、小さい頃はわたしよりもセディーの方が寂しがり屋だったのかもしれない。……まぁ、わたしもあまり人には言えないが。
 セディーは母以外の人との接触に餓えていただとか、わたし以外の子供とは会う機会が極端に少なかったからだという可能性もあるけどね。

 今思えば、夜にセディーのところへ行くのは乳母や使用人達に見逃されていたのだと思う。夜更かししても、強く怒られたことはあまりなかったし。
 まぁ、セディーは体調を崩すことが多かった上、べったりと張り付いていた母に隠れてセディーに近付くのは、夜しかなかったからなんだろうけど。兄弟の短いふれあいの時間という感じで。
 乳母も、セディーのことを気にしていたし。母に嫌われていたから、セディーに近寄ることはできなかったみたいだけど。

 昔のことを思い出しつつ、あんなことがあった、こんなことがあったとセディーと言い合ったり、セディーの学校生活のことを聞いたりして、馬車に揺られながら二人でたくさん話して、祖父母の家に着いた。

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