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31※両親が色々酷い。
しおりを挟む※両親がなかなかの酷さです。
※いつもより長めですが、この話は読み飛ばしてもOKです。
__________
お祖父様から教育を受けることが決定して――――
わたしとセディーは、おばあ様に連れられてあちこちのお茶会に参加している。
まぁ、社交なんかも、本当は貴族夫人としての母の仕事なのだそうだけど……ね?
そして、知ったのは……
なんとも驚愕の事実の数々だったっ!!
驚愕の事実その他諸々に関しての事柄は……その昔、母がハウウェル家に嫁いで間もない頃に始まった。
おばあ様が自分の交友関係を母へ引き継がせようと、お茶会を開いたり、あちこちの家へと連れて行ったりしたらしい。
けれど、母はお茶会が苦手だからと、全く乗り気じゃなかったという。
母は元々子爵令嬢だったのを、息子(父のこと)がこの人がいいと選び、ハウウェル侯爵家へと嫁いで来た。だから、高位貴族夫人達とのお茶会は敷居が高いと恐縮しているのだと、おばあ様は思っていた。直に慣れて、侯爵夫人に相応しい振舞いを覚えてくれる筈、と。
それから暫くして、母は兄上を妊娠したからとおばあ様のお誘いを全て断った。おばあ様も、身重のときの無理はよくないからと、理解を示した。
それだけなら、まだよかった。けれど、兄上が生まれてからも母は――――
「セディーは身体が弱いから、わたくしが側にいてあげなくてはなりませんわ」
と、社交の全てを拒絶した。
おばあ様も、
「セディーの体調がいいときに、少しの時間だけ参加しても構わないから」
という風に説得を試みたらしいけど、それも全部無視されたとのこと。挙げ句、
「セディーが苦しんでいるときにわたくしをお茶会に誘うだなんて、お義母様は酷いわ!! 自分の子じゃないからセディーのことを心配もしないのよ!!」
と、戯けたことをのたまったのだとか。おばあ様の厚意を無碍にした上に、罵った。
父も父で、そんな母を叱ることもせず、
「母上、そんな風に嫁いびりするのはみっともないですよ。やめてください」
と、更に暴言吐いたという。
いや、もう、ね? 馬鹿でしょ。
母よ、なんであなたは侯爵家の嫁に来た? という感じだ。ちなみに、母との離縁は、父が断固拒否したのだとか。
そしておばあ様は、
「呆れ果てて、もう投げたわ」
と、晴れやかな笑顔で言っていた。
ちょ~っとその笑顔がコワかったけど、うん。おばあ様はキレてもいいと思います!
そうやっておばあ様が両親のことを見限ったときに、母がわたしを妊娠。
生まれたのが健康な男の子(わたしのこと)だと喜んだのも束の間。
「この子は健康なのでしょう? なら、わたくしはセディーに付いていてあげたいの」
と、母はわたしの育児を放り出した。
父はまたしても、母を窘めることはなく、母の好きなようにさせたそうだ。
それで、育児放棄されたわたしが可哀想だと、祖父母がわたしを引き取って育てることにしたという。
「なんだったら、セディーも引き取ろう」
と言ったそうだが、
「母親から病弱な我が子を引き離そうとするだなんて、お義父様達は酷いことをするのですね!!」
と、人目がある前で泣いて訴えたのだとか。
ネイトのことはさっさと押し付けたクセに。と思ったらしいけど、仕方なく引き下がって、ちょくちょくセディーの様子を見に行くことにしたのだという。
もう、ね・・・
アレだ。
両親、ヤバい! 駄目なやつっ!?
そりゃあね、お祖父様が父に跡を継がせないワケだよ。うん、これは無理っ!!
父を抜かして、そのままセディーを後継にで正解!!
それから、わたしが二歳になって少しした頃のこと。どこぞで誰かに聞いたのか……
「お義母様がわたくしを悪く言ったのでしょう! 次男の面倒を自分達に押し付けた、子供を見ない嫁だと! そんなことはありません! お義母様達がネイトを勝手に連れて行ってしまったのでしょう! ネイトは返してもらいますから!」
と、祖父母の家にアポ無し突撃して、祖父母が留守の間に泣いて嫌がるわたしを無理矢理連れ帰ったのだとか。
そして、無理矢理連れ帰ったクセに、自分に懐かないわたしを、祖父母の家からやって来た乳母に丸投げした、と。その上、乳母を避けるとか……
おばあ様は母にそんなことをされても、ずっとわたし達を気に掛けてくれていた。
使用人達にわたしとセディーに気を配るように言い付けて、様子を見守っていてくれた。
母とは完璧に嫌い合っていたのに、わざわざ家に自分で足を運んで、セディーは寝込むことが多い上、常に母が張り付いていたから連れ出せなかったけど、ネイトをお茶会などに連れ出していた、と。
道理で、小さい頃のわたしの思い出は、祖父母や乳母とのことばっかりなワケだ。あと、家庭教師や使用人達とか。
そんなときに、花畑置き去り事件が発生。おばあ様はわたしを預かっても、また暫くしたら母はあの家に連れ戻そうとするかもしれないから、気軽には行き来できない場所(隣国のクロシェン家)にわたしを預けることに決めたのだという。
すると、案の定わたしを四年程クロシェン家に放置した、と。ちなみに、誕生日にわたしに会いに来てくれた祖父母に、ネイサンの様子などを聞いたことは一度も無いそうで……
そして、セディーはもう、母が言う程に身体が弱くない。そこそこ健康だというのが医者の見立て。けれど母は、セディーを理由にして、未だに社交を拒否している。
とは言え、もう今更母と交友を持とうという奇特な人はほぼいないらしいけど。まぁ、一部の物好き……というか、物見高い? いや、悪趣味? な人達以外は、という感じかな。
気付かないのは本人ばかり・・・
なんかもう、両親は色々と酷過ぎじゃないかな?
おばあ様は、使えない両親の代わりにずっと社交をこなして、侯爵であるお祖父様を支えていたのですね。
セディーとわたしが割とまとも? な感じに育ったのは、お祖父様とおばあ様のお陰ですね。
本当に頭が下がります。
お祖父様。おばあ様。乳母。そしてクロシェン一家には、深々と感謝しなくてはいけません。
あと、この話知ってたら……
そりゃあ、トルナードさんもミモザさんも、うちの両親に顔を顰めるよねぇ。
__________
分けようかと思いましたが、そのまま載せました。
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