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22※この話からまたシリアスになります。
しおりを挟む数日間馬車に揺られて進み、国境を越え、実家に着いた。
馬車を降りると、期待していなかった出迎えに兄上と……その後ろに母がいたことに、驚いた。
「お帰りっ、ネイト!」
と、笑顔で抱き締めてくれた兄上は……四年振りだから当たり前なんだけど、わたしがクロシェン家に行く前よりも大きくなっていて、わたしよりも背の高い、少年になっていた。
以前は線の細さと少し長めの栗色の髪の毛で、女の子に見られることもあったのに、今は健康そうで、ちゃんと少年に見える。
「・・・背が、伸びたね。セディーは」
ぽかんとしたようなわたしの声に、
「ははっ、ネイトこそ、大きくなったね。でも、帰って来て一言目がそれなの?」
クスクスと笑う声。
「ぁ、その・・・ただいま、です。兄上」
兄上とはずっと手紙ではやり取りしていたけど、直に会うのはかなり久々で、なんだかちょっと照れる。
「うん、お帰りなさい。久し振りだね」
ぽんぽんと頭が撫でられ、イタズラっぽく見下ろすブラウンの瞳がにこりと微笑む。と、
「ネイト。あなた、向こうの学校に行きたいと我儘を言ったそうね? 幾ら遠縁だからって、向こうの家にそんな風に迷惑を掛けるんじゃありませんよ。全く」
冷たい声が降って来た。
「恥ずかしいじゃない」
「え?」
確かに、実家に帰って来たくないとは思った。
けれど、さすがに向こうの学校へ通いたいと言った覚えはない。そこまで厚かましくはない。
というか、四年振りに顔を合わせての第一声がそれですか……
あ、荷物を降ろしてくれてる使用人が、お気の毒にって視線でこっち見てる。大丈夫だよ~という意味を込めて、後ろ手でこっそりと手を小さく振ってみる。見えるかわからないけど。
そして、通り過ぎるときに苦労してますね、的な苦笑を向けられた。う~ん、使用人達に労られる久々なこの感じ。
今ので、帰って来たなぁと実感してしまった。
「母上!」
兄上の制止するような声が上がるが、
「学校はこちらで通わせるに決まっているでしょ」
冷たい声は一方的に言い募る。
「いいですか、向こうの学校に通ったとして、将来困るのはあなたなのよ。そんなこともわからないの? これだからネイトは」
責めるようなブラウンの瞳が見下ろしている。
「なにを言ってるんですか母上!」
「セディー、なにって。ネイトが我儘を言ったから叱っているだけですよ」
兄上へと視線が移り、険の抜けたブラウンがぱちぱちと瞬く。相変わらず、兄上とわたしとでは、向ける表情が違いますね。
「だから、それはネイトが言ったことじゃないでしょう! そろそろ学校に通う頃になりますけど、どうしますか? こちらの学校に通わせてもいいですよ、ってお世話になった向こうのクロシェン家から手紙で聞かれただけでっ」
兄上が苦い顔で声を上げる。
成る程、実家とクロシェン家とでそんなやり取りがあったワケか。それで・・・
__________
問題のおかん登場。
兄弟で明らかに態度を変える親って、いますよね。しかも、自分が差別している自覚が無いという・・・
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