虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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 祖父母と兄上から手紙が届いた。

 ネイトは元気にしている?
 楽しく過ごせている?
 困ったことはない?
 寂しくはない?
 ご飯はちゃんと食べてる?
 嫌いな物、残してない?
 向こうの家の子とは仲良くできている?

 そんな風に、わたしを心配する内容の手紙が。それに、わたしは――――

 同い年のロイと仲良くなったこと。
 ロイのお父様とお母様のトルナードさんとミモザさんが、わたしによくしてくれること。
 クロシェン一家と食事をしたこと。
 ロイにスピカという小さな妹がいること。
 スピカが物怖ものおじしない子で、わたしにすぐ懐いてくれて、よく抱っこをせがまれること。
 初めて抱っこしたときには、赤ちゃんの身体がふにゃふにゃしていてびっくりしたこと。
 ネイサンという発音が難しいのか、「ねーしゃ」と舌っ足らずな高い声で呼ばれること。
 ロイが妹のスピカを抱っこするのが上手なこと。
 スピカに泣かれると、どうしていいのかわからないでおろおろしてしまうこと。
 ロイと一緒に乗馬や剣術を習っていること。
 一緒に勉強して、お互いの得意分野が違うこと。
 ロイと一緒になって授業をサボって怒られてしまったこと。
 ロイと一緒にスピカから走って逃げたら、ハイハイで追いかけられたこと。
 スピカに髪を引っ張られるので、長かった髪をバッサリ切ったこと。
 ロイから貰ったセミのぬけがらを要らないと返したら、不機嫌になられたこと。
 ロイと一緒に庭にあるブラックベリーの木から実をもいで食べたこと。
 ブラックベリーをたくさんもいで、その汁で指先が紫に染まったこと。
 侍女達にジャムを作ってもらったこと。
 しばらく甘い匂いが手から離れなかったこと。
 スピカがジャムで顔をべたべたにしたこと。

 わたしは楽しく過ごせているから安心してね、と返事を返した。

✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐
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