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 ※チートはありません。

__________

 爽やかな青空の下。

 兄上から「道中でおやつにして」と持たされた焼き菓子を摘みながら、何日も馬車に揺られ――――

 はるばるやって来た隣国。

 辿り着いた屋敷の玄関前。祖父母が用意してくれた荷物を降ろしてもらっている間。

「お前さ、自分ン家でなにやらかしたんだよ? なんでわざわざうちに預けられたんだ?」

 留学というていでわたしを預かる家の子が、挨拶するよりも先にわたしへ言った。

 同い年だという彼は、良くも悪くも男の子らしい男の子のようで、わたしのことを見定める為に、一発ガツンとかましに来たのだろう。

 まぁ、初対面の男同士なら、よくあることだ。

 家にいたときにも、家同士の付き合いというやつでそれなりにあったこと。兄上が虚弱なので、その弟であるわたしはどうなんだ? と、窺うような言動には慣れている。中には、少々失礼なことをして来るような子供もいたし。

 いつもなら適当に、けれど舐められない程度には流してあしらっている。

 けれど、今のわたしは長旅に少々疲れていて、いつもより気が立ってもいた。

 だから――――

「わたしの家はね、兄上を中心に回っているんだ。ああ、いや。正確に言うと、兄上を中心にしたい母が回している、という感じかな?」

 にっこりと微笑んで、彼に説明してあげることにした。

「は? なんだそりゃ」

 わたしが、彼の…わざわざ隣国の親戚である、この家へと預けられた理由というのを。

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