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……もしやと思いますが、シエロ王子も面食いなのですか? 女性は中身が大事ですよ?
しおりを挟むさてさて、今日はどうしようかしら?
サファイラちゃんとあれこれしたいけど、ちょっとやりたいことが多くて選べない……って、ハッ! そうよ、選べないなら選びに行けばいいのよ!
「というワケで、本日は町ぶらお買い物デートにしようと思います」
「あの、なにがというワケなのですか? それに第一、ネロ様はデートの意味をわかっていらっしゃるのですか?」
シュアンの呆れた顔が向けられた。
「ふっ、当然です。お互いに好意を抱いていたり、逆に好意なんか微塵も抱いていなくても、お見合いだったりお付き合いだったり、ときには利害関係なんかで、男女がお出掛けすることをデートと称するのです。仮令、どちらか……または双方共にがどんなに苦痛で、無駄で無為な時間に感じようとも、男女が一緒に同じ空間にいたという事実のみでデートと称することもできるのです」
「……ある意味間違ってはいないのですが……普通は、お互いに好意を抱き合う男女が仲を深める為に出掛けることをデートと称するのではありませんか?」
「まあ、別にわたし。今更男女の仲がどうこうということには一切幻想を抱いてませんから」
「っ!? す、すみません、余計なことを言いました」
サラッと言ったあたしの言葉に、酢でも飲んだかのような顔でぎょっとして謝るシュアン。
別に謝らなくてもいいのに~。むしろ、あたしは男女の仲よりも男同士の仲の方が気になるし! なんだったら、友情どころか無関心同士の男の人達の仲を邪推という邪目線で見捲って、腐妄想するのが大好きな腐女子だものっ!!
まあ、それは一旦おいといて。
「なんかこう、サファイラ嬢のキャッキャウフフした顔が見たい!」
「え?」
「わかるっ! そうだよな、美少女がキャッキャウフフする姿とか、もうそれだけで眼福だよな!」
「ですよね! 可愛い女の子とか関係無く、美形がきらきらした笑顔で楽しく過ごすと、もうそれだけで眼福! 目の保養! 広がるパラダイス!」
「可愛い女の子が可愛い女の子と一緒にキャッキャウフフしてたら最高だよな!」
「……もしやと思いますが、シエロ王子も面食いなのですか? 女性は中身が大事ですよ?」
シュアンが心配そうな顔で蒼を見下ろす。
「そ、そうですよシエロ様! 幾ら見た目が良くても、性格の悪い女性はいますからね! そういう女性に引っ掛かったらどうするんですかっ!?」
と、焦ったように珍しくシュアンに同意するグレン。
「あ? ぁ~……ま、顔だけ良くて性格最悪な女がいることは知ってるぞ? つか、そういう顔だけ女とは別に付き合いたいとか思ってねぇし。そういう顔だけ女や顔だけ男は、普通に観賞用だろ? な、ネロ」
「ふっ、当然です。お近付きになりたくない相手であれば、別にこちらから近付かなければいいだけのこと。近付いて来るなら避けるべし! けれど遠くから、『美形だなー』と思って眺める分にはいいのです。なにせ、『観賞用』ですからね。見るだけで害になる人というのも珍しいでしょうし……」
アーリーたんとか並みの、見てる人を狂わす程の美形はそうそういないわよ。
「まあ、どんなに性格が悪かろうが、クズでゲスい外道だろうが、容姿が優れているという一点のみで惹かれる人はいますけど」
「だよなー。ちなみ、そういう性格ブスに引っ掛かって入れ込む程俺はアホじゃねぇ」
「そうです。それに、そういう性格ブス女に引っ掛かる前に、わたしがその女の本性を暴いて排除するので大丈夫です!」
「やー、排除はさすがにやり過ぎじゃね?」
「え~? だって、話の通じないお馬鹿って、なにするかわからないし……それに、大事な大事なシエロ兄上を騙したり傷付けようとする輩赦すまじ! 地獄を見せてくれるわ!」
「落ち着け。まだ騙されてねぇし。つか、騙される予定もねぇから」
どうどうと、蒼があたしを宥める。
「そうだね。シエロとネロを騙そうとする輩には、お仕置きが必要だよね」
にっこりと頷くライカ。
「ですよね!」
「ライカ兄上が言うと洒落にならない気がしますが? そして、俺はむしろライカ兄上が騙されないか心配なんですけど」
「ふっ、大丈夫です! ライカ兄上と婚約したがるお嬢さんの本性もわたしが暴いてやりますとも!」
そこらの有象無象な輩に、この可愛いツンデレぷにショタはくれてやらん!
「それは安心なような、むしろ不安が増すような……? 最悪、ライカ兄上の縁談全部潰されそうな気もするんだが?」
「え? 僕ってそんなに心配されてる感じなのっ!?」
「ま、当然ですね。なにしろライカ兄上はかっこよくて賢い王子様。これでモテない道理が無いでしょうに? な、ネロ」
「そうです。賢い上に可愛くて優しい、リアル王子様♪」
今のところ、王位継承権第一位の王子だし。母親であるアストレイヤ様の実家も、国一番の軍閥。権力を持ちたい貴族家にとっては垂涎ものの優良物件。そして、ツンデレ美形なぷにショタ♡
「これはもう、普通にモテてモテて困っちゃうくらいにモテるに決まっています。というかモテない方がおかしい!」
「ええ~……そ、そうかな? っていうか、リアル王子なのはシエロもネロも一緒でしょ」
照れたお顔でぷいっと顔を背けながら、ツンデレた言動だこと♡こういうところが可愛いのに、本人はきっとわかってないのよね~♪
「やー、俺もネロもある意味かなり扱いに困る系でしょうに」
「ですねー。面倒にも程がありますよ」
それはもう、なんていうか? 地雷臭がぷんぷんする系の難アリ王子よねー? 自分で言うのもなんだけど、シエロたんもネロたんも国王からの扱いとか? あとは……あたし、中身腐女子だもの!
「殿下方。そろそろ、サファイラ様とのお出掛けの準備をしなくてはいけないのではありませんか?」
スンとしながらも、シュアンが若干眉を寄せて話を変える。
「ハッ! そうですよ、ライカ兄上はどんな変装にします? ちなみに、今日のわたしはレイシーちゃんと呼んでくださいね♪」
「ぁ~、前のやつか。なら、俺はシェンで」
「え? 前? レイシーちゃんとシェンって?」
「変装したときの偽名です」
「あの、それじゃあ、俺はグレインですか?」
満面のワクテカ顔で聞くグレン。
「あ、今日はグレンさんは普通にシエロ兄上の護衛見習いで結構です」
「ぁ、そうですか……」
一気にしょぼ~んと落ち込むグレンに、
「ほら、今日は男性が苦手なサファイラ嬢とのお出掛けですから。サファイラ嬢とは適切な距離を保ってくれないと困ります」
フィーラちゃんにあまり近寄るなと言っておく。ほら、グレンってシエロたんが絡むとすぐにガルガルするから。男が苦手になりつつある女の子とは相性良くなさそうだし。
「そうでしたね。わかりました」
「というワケで、ライラさん。お着替えしましょうね?」
「へ? ライラ? って、僕のことっ!? 昨日のあれ、冗談じゃなかったのっ!?」
「ライカ兄上が不用意に行きたいって言うからですよ。女装が嫌なら、大人しく待っていた方がいいと思います。きっと、ネロがライカ兄上を可愛い可愛い言い捲って、絵姿を描かせたりするでしょうし」
「ええっ!? 本当にそんなことするのっ!?」
「ふっ、無論です! 絵の得意な人にじっくりとライラちゃんを観察してもらって、沢山描いてもらうに決まっているでしょう! 恥じらうお顔とか、最高に可愛いじゃないですか!」
初めての女装に恥じらうぷにショタとか最高! 垂涎もの! ごはん何杯でも、ガンガンイケちゃうわ!
「そして、額に入れて飾って永久保存します! なんなら、ライラちゃんコレクションを作ります! 任せてください!」
「あ、僕やっぱりお留守番したいな」
すっと視線を逸らしたライカが気まずそうに言う。
「え~? ライカ兄上も一緒に可愛い格好して行きましょうよ♪」
「こら、嫌がってるライカ兄上に無理強いすんな。あと、その目やめろ。ちょっと怖いし……」
「ちぇー……残念……ライラちゃん、絶対可愛いのにー」
「はいはい、ライラちゃんはお前の心の中に存在する幻の女の子ってことで。ほら、お前女装すんだろ? さっさと準備して来い」
「仕方ないなぁ……」
と、蒼に宥められて着替えに向かった。
♩*。♫.°♪*。♬꙳♩*。♫
ライカ「えっと、ネロを止めてくれてありがとうねシエロ」(*゜∀゜)=3
シエロ(蒼)「まあ、アイツは可愛いものや綺麗なものが大好き過ぎるだけで、悪気があるワケじゃないんで。許してやってください」(ヾノ・∀・`)
ライカ「ふふっ、わかってるよ」(*´∇`*)
シエロ「まぁ、その分余計に性質が悪かったりもするんだが……」(lll-ω-)
ライカ「ん? なにか言った?」(੭ ᐕ))?
シエロ「いえ、なんでもありません」( ・`д・´)
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