117 / 158
ネロ様……また女装ですか。そのようなお姿で、本日は一体なにをされるおつもりで?
しおりを挟む執事さんと侍女長に相談すると・・・
実物のアーリーたんを見ているだけに、二人共あたしの懸念をよ~くわかってくれましたよ! なんでも、アーリーたんのご尊顔にぽーっとなっちゃって使いものにならなくなる人がいたそうな。
わかるわかるー。麗し過ぎるあのお顔は、最早ある種の凶器と言っても過言じゃないくらい美しいものねっ!!
そして、どうせならアーリーたんが自分で自衛ができるように鍛えてあげようという話になった。そしたらなぜか、シュアンは身体が弱いので一緒に護身術を教えがてらに鍛えようということが決定。
二人への護身術講座は、ミリーシャにさせるそうです。
なんでも、下手な男に任せるとアーリーたんが襲われちゃう(多分貞操的な意味で!)可能性があるから! だそうです。シュアンも襲われちゃうかも(こっちはネロ様のお気に入りで気に食わん奴を物理的に甚振れるぜ! 的な?)らしいけど。
もう、虐めちゃ駄目だって釘刺したのにー。まあ? そういう輩というのは、どこでも湧いて出るものよね。仕方ないわ。
その点、ミリーシャは偶~にシュアンを物凄い目付きで睨んでいることはあるらしいけど、ネロ様の命令に逆らうことが無いので安心ですと言われたんだけど……それって、大丈夫なのかしら?
それとも、シュアンがミリーシャになんかした……? ってのは、考え難いか。もしかしたら、ミレンナんとこに連れてったことに怒ってたりするのかしら?
ミレンナの他人には見せられないアレな姿に、なにげにシュアンはダメージを負ってたっぽいんだけどねー。
体調を崩したのは、いろんな要因重なったからだと思うけど。でもやっぱ、ちょっと悪いことしたわね。
とは言え、アーリーたんやシュアンが自衛できるようになるのは歓迎すべきこと!
とりあえず、薬師家系の出身で毒薬……じゃなかった、調薬を得意としている侍女長お手製の麻痺毒を、用法容量、使用方法のレクチャー付きで持たせることにも異議は無いわ。
以前、どこぞのド変態外道神官にお代わり付きでプシュっと振り掛けてやった麻痺毒は、侍女長お手製だし。香水瓶風の麻痺毒の他にも、クロロホルム系もあるし。針や扇子など護身用に仕込んだりしてるし。
あ、そっか。もしかして、だから騎士達プラスミリーシャは侍女長を恐れてるのかしら?
侍女長は伊達に侍女長をしてない。薬学の知識に長けた侍女長は長年ミレンナの、そしてネロたんの身の安全に気を配って来た人だ。場合によっては騎士達に危険を教えたり、命令を下して指示に従わせたり、解毒薬を配ったりすることもあるものね。そして、なんでかしら? にこにこと笑顔で、プスリと怪しい針を誰ぞに刺す姿が容易に想像できちゃうわねー。
まあ、治ったらガンバ♪という労いの意を籠めて、シュアンのお見舞いに向かうとしますか。
お見舞いの定番は果物やお菓子にお花よねー? プリンは外せないわね♪
というワケで、お菓子やお花を用意してシュアンの部屋(仮)に突撃! ちなみに、なぜ(仮)なのかというと、側近就任ということで、もっといいお部屋へ引っ越しする予定だからなのだそうだ。その前に倒れちゃったから、今はまだ客間にいるのよねー。
ノックをするとどうぞと返事があった。どうやら起きているらしい。失礼します、と部屋に入るなり……
「ネロ様……また女装ですか。そのようなお姿で、本日は一体なにをされるおつもりで?」
パジャマ姿のシュアンに微妙に嫌そうな、呆れたようなしら~っとした顔をされた。
んもうっ、ネロたんのかわゆい女装姿になんて失礼な視線を向けるのかしら! でもでも、起きて座っていられるくらいには回復したようね。よかったよかった♪
「ネリー様に失礼ですよ!」
ぷんすか声を上げるのはミリーシャ。
「っ!? ね、ネレイシア姫様でしたか、これは大変失礼を致しました。わたしは、この度ネロ様の側近に加えて頂きましたシュアン・ウェイバーと申します」
慌てて謝るシュアン。まあ、ネリーちゃんもあたしなんだけどねー?
「ふふっ、お静かに。ネレイシアと申します。初めまして、ウェイバー様」
しーっと唇に人差し指を当てて、にこりと微笑む。
「シュアンで結構ですよ、ネレイシア姫様。それにしても……姫様は本当に、ネロ様とよく似ていらっしゃいますね」
ネロたんのときと比べると、柔らかめな口調と表情。それとは別に、まじまじと観察するような視線。実はまだネロたんじゃないかと疑ってんのかしら?
さあ、存分に見詰めるがいいわ!
「双子ですからね、よく言われます。お見舞いをどうぞ。こちらへ置いておきますね」
と、お菓子を詰めた籠をテーブルに置く。
「ありがとうございます」
「今日は、ネロお兄様には内緒で来たのです。もうネロお兄様ったら、側近の方をお決めになったというのに。わたくしがご挨拶をしたいと言ったらダメだって仰るんですよ? なので、こっそりお顔を見に来ちゃいました」
「それは……後でネロ様にお叱りを受けてしまったりはしませんか?」
「あら、ネロお兄様に内緒にしてはくれませんの?」
「申し訳ございませんが、わたしはネロ様へお仕えしておりますので。今度からは内緒で来るのではなく、ちゃんとネロ様の許可をお取りください」
ある意味、シュアンらしい返答ね。
「そう、ですか……」
しょんぼりした顔をすれば、
「ですが、今回はわたしの方からネロ様へネレイシア姫様をあまりお叱りになられないようにと、お伝えしておきます」
キリッとした顔で即行デレた! ナイスツンデレ!
「ありがとうございます、シュアンさん。ネロお兄様のお傍にいるのは大変かもしれませんが、兄を宜しくお願いしますね」
「承知致しました」
「では、わたくしも失礼します。籠にプリンが入っているので、食べられるようでしたら早めに食べてくださいね?」
と、手を振ってシュアンの部屋(仮)から出る。
ふぅ……とりあえず、お見舞いにかこつけたネロたんとネリーちゃんは別人なのよ? という姑息な時間稼ぎ作戦は無事終了。
いつ気付くかしら? ライカではできなかった、自分から気付くまで楽しみに待つということをシュアンでやってみよう! な感じね。
後で気付かれたときに怒られそうだけど、それもそれで面白いわよね♪
さてさて、シュアンはアーリーたんと一緒に護身術講座を受ける予定だから、シュアンが回復してもその間はフィーラちゃんのことでこっそり動く時間は確保できるわね!
✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰
シュアン「ネロ様……また女装ですか。そのようなお姿で、本日は一体なにをされるおつもりで?」(꒪꒫꒪)
戦闘侍女「ネリー様に失礼ですよ!」(*`Д´)ノ
シュアン「っ!?」( ̄□ ̄;)!!
40
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い
月白ヤトヒコ
恋愛
毒親に愛されなくても、幸せになります!
「わたしの家はね、兄上を中心に回っているんだ。ああ、いや。正確に言うと、兄上を中心にしたい母が回している、という感じかな?」
虚弱な兄上と健康なわたし。
明確になにが、誰が悪かったからこうなったというワケでもないと思うけど……様々な要因が積み重なって行った結果、気付けば我が家でのわたしの優先順位というのは、そこそこ低かった。
そんなある日、家族で出掛けたピクニックで忘れられたわたしは置き去りにされてしまう。
そして留学という体で隣国の親戚に預けられたわたしに、なんやかんや紆余曲折あって、勘違いされていた大切な女の子と幸せになるまでの話。
『愛しいねえ様がいなくなったと思ったら、勝手に婚約者が決められてたんですけどっ!?』の婚約者サイドの話。彼の家庭環境の問題で、『愛しいねえ様がいなくなったと思ったら、勝手に婚約者が決められてたんですけどっ!?』よりもシリアス多め。一応そっちを読んでなくても大丈夫にする予定です。
設定はふわっと。
※兄弟格差、毒親など、人に拠っては地雷有り。
※ほのぼのは6話目から。シリアスはちょっと……という方は、6話目から読むのもあり。
※勘違いとラブコメは後からやって来る。
※タイトルは変更するかもしれません。
表紙はキャラメーカーで作成。



【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる