腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
114 / 158

怖い怖い怖いっ! そして闇が深いっ!? ……でも、うん。まともな女の子がそんな環境に置かれたら普通に病むかもなぁ。

しおりを挟む



『? 壊れてなくて、ってどういう意味だ?』
『ん? ほら、前に話したと思うけど。婚約者ちゃんは、未来の隣国王妃サマなワケよ』
『ああ、それで?』
『クラウディオルートだと、クラウディオと一緒になってシエロたんをペット扱いして甚振る感じの王妃様なワケですよ』
『忘れてたっ!? って、ちょっと待てっ!? なんでそんなヤバい女を助けるんだよっ!?』
『ん~……なんて言えばいいかしら? 例えばの話よ? いいとこの箱入りのお嬢さんがある日突然、男と遊び歩いているクラウディオの婚約者になるワケよ』
『お、おう……』
『もしくは、幼い頃から婚約していた王子サマがある日突然、男遊びを始めちゃいました。しかも、男同士の愁嘆場が繰り広げられちゃう程、遊んでいるワケ』
『ぅっわ……』

 蒼の表情が嫌悪に満ちる。

『これが、普通の女の子じゃなくてあたしみたいな腐女子なら……鼻血出さないよう、はたから愉しく男同士の愁嘆場を眺めていられるけど。そうじゃなかったら? 男に負けた! と、女のプライドずたずたになるんじゃないかしら?』
『……なんだろ、めっちゃ可哀想ンなって来た』
『まあ、クラウディオが上手く遊んでて、婚約者ちゃんに一切悟らせてない可能性もあるっちゃあるんだけどねー? でもさ、男同士の愁嘆場が繰り広げられちゃうくらいにモテモテなクラウディオの婚約者ちゃんは、果たしてクラウディオの愛人達(男)に嫉妬されずに済むでしょうか? 護衛騎士や使用人、文官達などなど。手近なとこで遊んでいたクラウディオ。婚約者ちゃんが、お城に用事があるときに、嫉妬や嫌がらせを受けていないということがあるのかしら? って、思っちゃって』

 クラウディオの男遊びに気付いても、気付かなくても……ある意味地獄でしょ。気付いていれば、女としてのプライドはずたずた。気付いてなくても、城の、若い男に意味不明で嫌われている。地獄の種類が変わるだけ。そして、いずれは絶対に気付く。 

『なんかもっと悲惨さが漂って来たっ!?』
『んで、更に言うと、王太子の婚約者って立場でその地位を狙うおおよその貴族令嬢を敵に回してるようなもんでしょ? 結婚するまで、ある意味そんな針のむしろ状態で、結婚してからもそれが続くとしたら? 城に味方がいない状態で、気が休まることがなくて。いつかどこかの時点で婚約者ちゃんがぶっ壊れちゃったり思いっ切り歪んじゃったりして・・・それで将来、シエロたんをペット扱いするようになっちゃうんじゃないかしら? と、お姉ちゃんは思い至ったワケなのです。今ならまだ、間に合うんじゃないかな~? って』

 クラウディオのせいで、周囲が敵だらけの四面楚歌状態になると言っても過言じゃないわよねー。なんだろ? 現婚約者ちゃんが将来王妃になると、クラウディオの愛人(男)を甚振るのが趣味になっちゃう感じ? クラウディオの部下という名の愛人に妬まれて、やっかまれて、やたら敵視されたり、蔑ろにされたり、マウント取られたりされることに対する鬱憤を晴らすって言うか……人間不信まっしぐらになっちゃう状況で、そういう憂さ晴らしがなきゃ多分やってられなかったのよねー。

 そして、その分の付けが全てシュアンにし掛かって行くことになる、と。

 う~ん……こっちはおおよそレーゲンのせいで不幸になる人が多いけど、あっちはおおよそクラウディオのせいで不幸になる人が多いって感じかしら?

 本っ当、ろくなもんじゃないわね! 浮気三昧の両刀リア充クソ野郎は大爆発しろっ!! 弄んだ人達に死ぬ気で詫びろっ!!

『怖い怖い怖いっ! そして闇が深いっ!? ……でも、うん。まともな女の子がそんな環境に置かれたら普通に病むかもなぁ。ねーちゃんがクラウディオの結婚予定相手を気にする理由は納得したわ』

 首を振り、恐怖に引き攣った顔をする蒼。

『というワケで、婚約者ちゃんが手遅れじゃなかったらどうにかしてそういう場所から助けてあげたいなぁって思ったの。ほら? 一応、クラウディオの自業自得だと言え? 追い詰めたっていうか、王太子から引き摺り下ろした責任みたいな?』
『わかった。で、なんでシュアンが寝てる間に? その婚約者さんとは、多分知り合いだろ? 直接聞いた方が早くね?』
『え? だって、婚約者ちゃんが既にぶっ壊れちゃってたら手を差し伸べようとは思わないもの。その前段階としての調査よ? シュアンに知らせる必要ある? 確実に助ける、って決定してからなら教えてもいいけど……状況次第では婚約者ちゃんを見捨てるのに?』
『……わかった。現時点では、シュアンには知らせない。但し、確実に助けることが決定したら、シュアンにも教えてやれよ?』
『勿論♪』
『で、どうやって調べんの?』
『そこは、ネロリン信者の調査力に期待ってとこかしら?』
『そうかよ。んで、もし助けるってなったら、どうやって助けるんだ? そこを考えてないじゃ話にならないぜ?』
『そこはほら? 婚約者ちゃんのお父さんを唆す感じ? まともに娘を可愛がってる親なら、話に乗る筈よ? まあ、娘を駒としか思っていないというタイプだとしても、やりようは幾らかあるでしょ。娘さんを留学させた方がいいですよ、とか? 他国の修道院に預けては如何ですか、とか? 行儀見習いに出してはどうか、とか? 兎に角、向こうの国を離れちゃえばこっちのもんよ!』
『仮にも、王太子の婚約者だった子だろ? そう簡単に行くかよ?』
『国際的に犯罪者かもしれないと疑われ、王太子から下ろされた王子の婚約者よ? 扱いに困るご令嬢だとは思わない?』
『・・・まあ、うん。なんだろ? 今更ながらに罪悪感がめっちゃ凄いんだけどっ!?』
『でしょ? というワケで、クラウディオの婚約者ちゃん救出作戦! 開始よ♪シュアンが寝てる間にね?』
『・・・もしかしたら、見捨てるかもしれねぇから?』
『うん。ほら? さすがに、クラウディオと同系統の嗜虐趣味全開のお嬢様なら、そういう状況から自分でどうにかできちゃいそうなバイタリティーありそうじゃない』

 あと、蒼やアーリーたんに加えて、シュアンを害する可能性がある人物を近付けるワケには行かないし?

『まあ、確かになぁ……そっか。クラウディオとバリバリ趣味が合うやべぇ感じのイっちゃってるお嬢様って線も、あるのか……怖っ!』
『万が一、婚約者ちゃんが腐女子で、クラウディオの美男子だらけのハーレムにキャッキャウフフしてる可能性も無きにしも非ず、だけどねー?』
『や、それは無いだろ。つか、腐女子って概念が存在するのかよ?』
『そう言えばそうねぇ……ってことはBLを拝観するのが好きな人、つまり腐女子や腐男子、貴腐人きふじん腐兄ふけいという概念をこの世界に布教するのがこのあたしの使命ということねっ!! 俄然やる気出て来たわっ!!』
『マジやめろ』

✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰



 茜「城に味方がいない状態で、気が休まることがなくて。いつかどこかの時点で婚約者ちゃんがぶっ壊れちゃったり思いっ切り歪んじゃったりして・・・それで将来、シエロたんをペット扱いするようになっちゃうんじゃないかしら?」σ(´・ε・`*)

 蒼「怖い怖い怖いっ! そして闇が深いっ!?」ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

『奇跡の王女』と呼ばないで

ルーシャオ
恋愛
サンレイ伯爵嫡子セレネは、婚約の話が持ち上がっている相手のジャンが他の伯爵令嬢と一緒にいるところを目撃して鬱々していた。そこで、気持ちを晴らすべく古馴染みのいる大兵営へと向かう。実家のような安心感、知人たちとおしゃべりしてリフレッシュできる……はずだったのだが、どうにもジャンは婚約の話を断るつもりだと耳にしてしまう。すると、古馴染みたちは自分たちにとっては『奇跡の王女』であるセレネのためにと怒り狂いはじめた。 元王女セレネが伯爵家に養子に出されたのは訳があって——。

老舗カフェ「R」〜モノクロの料理が色づくまで〜

yolu
ファンタジー
café Rの『if』ストーリー─── 現代は、エルフが治める『フィールヴ』という異世界と繋がって40年になる。 今はエルフと人が、少なからず行き来をし、お互いの世界で会社を立ち上げ、共存共栄している。 莉子が一人で切り盛りする、老舗カフェ「R」にも、エルフの来店が増えてきたこの頃。 なんと、 エルフの製薬会社・ラハ製薬によって立退き勧告! 4週間後には店を畳んで出ていかなくてはならない状況に……! そこで立ち上がったのは、常連になると決めたイリオ製薬に勤めるエルフ4人。 イリオ製薬社長のトゥーマ、通訳である人間とエルフのハーフ・アキラ、彼の上司に当たるトップ営業マンのケレヴ、そしてケレヴの同僚の調剤師・イウォールだ。 カフェの料理によって、古典的エルフと言われるほどのイウォールが、莉子に一目惚れ! イウォールの猛烈アタックに振り回されながらも、『異文化コミュニケーション』を重ねながら、美味しい料理はもちろん、恋愛も挟みつつ、この危機を乗り越えていきます!

処理中です...