腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
94 / 158

今度、ネロかシエロのところに侍従見習いの男の子が付くって話があるみたいだけど、知ってる?

しおりを挟む



 ふっふっふ……フハハハハハハハハハっ!!

 わたしは、帰って来たっ!! この、王都へっ! っつっても、クソ外道変態神官を嵌めるときや王都近郊を視察するとき以外はあんまり王都を出歩いたことないけどねー? って、んなこたどうでもいいのよっ!?

 天の御使いの如く麗しい美少年バージョンアーリーたん♡のご尊顔を、舐め回すように拝観したいわっ!! あわよくば、お子様特権をフルに活用して、近くに寄ってハスハスしたり、なんだったらハグしてクンカクンカしたいっ!!

 それになにより、お子様シエロたん(王子バージョン)と美少年アーリーたんの絡みとか絶対絶対最っ高じゃないっ!?

 ハァハァ……想像するだけで、熱いパッションが滾るわっ!! と、内心で興奮しつつ、鼻血や涎が出ていないかをそっとチェック。

 よし、大丈夫。顔から垂れたらマズい液体は垂れてない。涙は兎も角、ネロたんのお顔に鼻血は似合わないものね!

 気合を入れて、アストレイヤ様に諸々の報告とシュアンの顔合わせ。

「今回の視察、ご苦労だったな。ネロ、シエロ」
「ただいま戻りました」
「元気そうでなによりだ。そして、それがお前達の拾ったシュアン・ウェイバーか」
「!」
「此度の件、我が国へは僥倖と言えるが。貴公に取っては災難だったであろう? 暫くは捕虜待遇ではあるが、家族諸共の亡命を許可しよう」
「……感謝致します、アストレイヤ王妃殿下」

 シュアンはめっちゃ緊張しているみたいだけど。感触としては、そう悪くない感じかしら? というか、アストレイヤ様的にはシュアンに同情しているような感じ。

 ま、それも仕方ないわよねー? 置いてかれた経緯が経緯だもの。しかも、シュアンはクラウディオを諫めていたという話だし。その流れで行くと、アレよねぇ……

 口煩いから蜥蜴の尻尾にした、とも取れる。

 それも、あの野郎。ギリギリ未成年に全責任を引っ被せて、自分はさっさか……ぷぷっ、股間押さえながら騎士にお姫様抱っこされながらの撤退だったけど……逃げ出して、だ。

 もう、ホンっト、アレだ。馬鹿というか、間抜けというか……愚かにも程があるわよねー?

 な~んて思いつつ、シュアンをあたしの部下にくれと猛アピールした。責任は取るし、ちゃんとごはんあげるし、適度な休日と仕事に見合ったお給料も出すし、ご家族も亡命させて、面接して実力に見合ったお仕事もさせるから、と。

「……なんだろ? 『うちで犬飼いたい、ねえいいでしょ?』って攻防してるみてぇ」

 ぼそりと呟く蒼。ま、ある種間違っちゃないわね!

「子供扱いから、とうとう犬扱いに・・・」

 と、蒼の呟きを拾っちゃったのか、ず~んと沈んだ顔になるシュアン。

「ククッ……そこまで言うなら、いいだろう。許可する。但し、少しでも叛意ありと周囲に判断されるようであれば、わたしの方で処分を決める。これは譲らん」
「はい、ありがとうございます。アストレイヤ様」
「シュアン・ウェイバー」
「ハッ、なんでしょうか、アストレイヤ王妃殿下」
「ネロは人使いが荒いからな。覚悟しておけ」
「・・・承知致しました」

 と、有能(希望)な部下シュアン、正式にゲットだぜ!

 そんな感じで報告が終わり、執務室を出ると――――

「シエロ、ネロお帰り!」

 パタパタと満面の笑顔で駆け寄って来たのは、久々のぷにショタライカ!

「はい、ただいま帰りました。お久し振りですね、ライカ兄上」
「ただいまー」
「わたし達が留守の間、寂しい思いをしていませんでしたか?」
「それは、その……ちょっとだけ」

 つんと赤くなった顔を逸らすライカ。うむ、久々のツンデレもまた善し!

「そうですか。では、ライカ兄上に寂しい思いをさせないよう、今度の視察のときにはもっと沢山お仕事を用意しておきますね?」
「っ!? いやいやいや、待ってっ!? 僕、大丈夫だったから! 一人お留守番してても全然寂しくなかったから! 本当に大丈夫だったし、無理してたくさんお仕事作らなくていいからね!」

 ライカは必死にぷるぷると首を振る。

「おい、あんまライカ兄上に無茶振りするな」
「シエロ!」

 なぜか、口を挟んだ蒼へ救いを求めるような顔。

「そ、そうだ、ネロ。今度、ネロかシエロのところに侍従見習いの男の子が付くって話があるみたいだけど、知ってる?」

 おお、あからさまに話を逸らしたわね。ま、いいけど。

 今度、あたしか蒼のところに……? って、もしかしてっ!?

「ライカ兄上、それってどんな男の子か知ってますかっ?」
「へ? あ、えっと、なんかすっごく綺麗な顔をしてるらしいよ?」

 こ、これは……この状況ならきっとアーリーたんのことに違いないわよねっ!?

「えっと、どうしたの? ネロ?」
「ぁ~……なんつーか、ネロは……その、実は面食いだからなぁ……」

 と、どこか遠い目をして言う蒼。

「? 面食いって、なに?」

 きょとんと首を傾げての質問。どうやら意味がわからないらしい。

「ぁ~、えっと、美形好き?」
「え? ネロって、美形が好きなの? 今度来る見習いの子は男の子だって話だから、女の子じゃないよ?」
「ふっ、甘いですね! 美形には男女の別などどうでもいいのです! そう、美しいものは眺めているだけで目の保養、眼福、ハッピーな満足感という素晴らしい幸福を振り撒いてくれる非常に貴く、尊い存在なのです!」
「へ? え? あの、なに言ってるの? ネロ?」
「そもそも、美形と一口に言っても、男性には男性の! 女性には女性の! 子供には子供の! 更には幼さから成長過程を経て、完成されたり、老成することでも増して行く、個人個人にそれぞれの! 全然別の! 美しさや愛らしさ、かっこよさと言った魅力があるのです!」
「はいはい、ストップストップ。ちょいヒートアップし過ぎ。ライカ兄上ドン引いてるから。はい、深呼吸深呼吸。さっさとクールダウンして落ち着け」
「ハッ! すみません、ライカ兄上。つまり、要約すると多くの人間は美しいものを見るとそれだけでハッピーになれるということです♪」

 あらヤだ、思わず熱くなるところだったわ。

「え~っと……うん、なんかネロが綺麗な人が好きなのはよくわかった」
「ふふっ、ありがとうございます」
「や、別に礼言うとこでもねーかんな?」

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

ウワサの重来者 どうか、心振るえる一生を。(中辛)

おいなり新九郎
ファンタジー
 最新情報:幼いサヤを背負い少女は炎と化け物の中を潜り抜ける。一途にこの娘を地獄から逃がすために。 ーあらすじー  侍の家に生まれたユウジは16歳の少年。  家族がいろいろあって、家を継ぐことに。  ある日、特別な力を与えてくれるという「宝」を引ける催しに参加する。  そこで、彼が引いてしまったハズレとしか思えない「宝」とは?  宝のせいなのか、問答無用にふりかかる災難。  個性豊かな、お宝美少女達に振り回され、ユウジは冒険を続ける。  そこには思わぬこの世界の因縁と謎があった。    作者より  タイトルにある「重来者」はリターナーと読みます。  途中、主人公交代を検討しております。  お一人でも多くの方が楽しんでくだされば幸いです。  理不尽な世の中で、どうか心振るえるひと時を・・・。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ
恋愛
3話完結です。 大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。 それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。 そこで見たのはまさにゲームの世界。 主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。 そしてゲームは終盤へ。 最後のイベントといえば断罪。 悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。 でもおかしいじゃない? このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。 ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。 納得いかない。 それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?

処理中です...