腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

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アーリーたんのご尊顔鑑賞時間が終了なのは至極残念だけど……アーリーの保護が無事成功!

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 お待ちかねのアーリーたんとティータイム♪

「お待たせしました♪」
「本当にな」

 ブスっとした顔で応えたのは蒼。ふふっ、そんな顔してもシエロたんのお顔は可愛らしいわ♪

「いえいえ。女の子は支度に時間が掛かるものですからね」

 にこりと神々しい笑顔を見せてくれるアーリーたん。

 くっ、その美貌が眩しいぜ!

「侍女と一緒に、今日見付けた美味しいお菓子を選んでました。あ、でも……アーリーお兄ちゃんが食べ慣れているものばかりだったら、ごめんなさい」

 アーリーはこの辺りの商家の子だし。

「いいえ。普段は食べられないものばかりです。俺のために選んでくれてありがとうございます。レイシーお嬢様」

 なにこの爽やか対応! こやつ、なかなかやりおるな!

 くぅ~! ただそこにいるだけで、絵になる中性的な美少年アーリーたん、マジ天使! というのも、間違いじゃないわね!

 なんかこう・・・ちょ~っとばかり、あたしの理性やらなにやらが試されている気がするわっ!? 涎とか鼻血は出てないかしら?

 恥じらう素振りでそっと顔を触って確認。よし大丈夫そうね。

「嬉しいです、遠慮せずに食べてくださいね♪」
「はい。では、頂きます」
「シェンお兄ちゃんも、グレインお兄ちゃんも食べて♪」
「えっと、夕食前なので、食べ過ぎには注意ですよ?」
「は~い♪」

 と、うきうきワクテカなあたしがアーリーたんに話し掛け、それに苦笑するグレン。微妙に面白くなさそうな蒼の四人でティータイム。

「このお菓子美味しい♪」
「これは王室御用達にも選ばれていて、この地方では有名なお菓子なんですよ」

 アーリーたんが説明してくれる。

「わぁ! すごいお菓子なんですね♪」

 でも、実は知ってるの。味見する為に買ったもの。ちなみに、お皿に開けて並べる前に毒見済み。毒物は確認できなかったから安心よ。

 そして、おじさま執事曰く、このお菓子もアストレイヤ様の離宮に来るものとは品質が多少違っているとのこと。しかし、輸送段階で味が落ちたと言い逃れできるレベルだそうだ。

 実際、この世界は食品添加物や防腐剤、保冷技術などがまだそんなに発達していなさそうだから、長期保存をするのが難しいというのも事実ではある。

 ただ、できたてほやほやの新しいものじゃなくて、少し古い……数日から一週間くらいかしら? のお菓子を運んでいた、という可能性もなくはないのよねー? 制作日からの保管日数プラス、輸送に掛かる日数という感じだし。

 もしかしたら・・・というか下手したら、店舗で売れ残った商品をアストレイヤ様の離宮に卸していた可能性もあるわねー? お店の方も要観察決定。ま、商人の方で売れ残り商品を安く買い叩いて、それを王城へ転売ということも考えられるけど。

 それはそれで逞し過ぎるわよね。正規価格との差分でがっぽり! とか? 王族への献上品になにかあったら、一族郎党の首が飛ぶって覚悟をしてのことなら別にいいけどさ。

 なん~て考え事をしつつ、アーリーの美貌を鑑賞しながらキャッキャウフフ♡な気分でティータイムを満喫していると――――

 コンコンコン、と部屋のドアがノックされた。

「失礼致します」

 そう言って入って来たのは、真面目そうな男性。

「え? 父さん? どうしてここに?」

 どうやらアーリーのお父さんのようだ。

 う~ん……あんまり顔は似てないかも。アーリーはお母さん似なのかしら? それとも、隔世遺伝か……はたまた、神様(おそらく貴腐神様♪)の生み出した、奇跡の造形美! だったりとか?

「そちらのご子息とご令嬢の保護者の方から商談を持ち掛けられてな。至急、王都へ向かうことにした。アーリーと母さんも一緒に連れて行く。今すぐ準備をしなさい」
「え? 今すぐ?」
「ああ。準備が済み次第、出発する」
「え? 今から? もう夕方だし、暗くなるよ?」
「大丈夫だ。ありがたいことに、そちらの商会のキャラバンがわたし達を王都まで連れて行ってくれるとのことだ」
「ええ。坊ちゃんとお嬢様達が大量に買い物をしたので、それを王都へ送るついでに同行して頂くことになりました」

 と、おじさま執事が答える。

「旦那様と奥様が仲良くなってくれるよう、坊ちゃんとお嬢様達が一生懸命選んだ物で。至急お届けしたいとお願いされまして」

 ぺらぺらと、アストレイヤ様が聞いたら顔を顰めそうな噓八百。ま、嘘も方便。これくらいで、アーリーたんの未来が守られるなら安いものだわ!

「そうだったんですか……それなら、急いで届けないといけませんね」

 にこりとあたし達へ微笑む神々しいご尊顔!

「アーリーお兄ちゃんが届けてくれるなら安心だわ」

 と、あたしもにっこり微笑んでおく。

「はい。レイシーお嬢様方のご両親にお会いできるかはわかりませんが、荷物はしっかりお届けしますね」
「ふふっ、それじゃあ、アーリーお兄ちゃん。王都で会おうね♪」
「? お嬢様達が帰って来るまで王都にいるかはわかりませんが、またお会いできるといいですね」
「では、わたし達はこれで失礼致します」

 こうして、アーリー一家は王都へ向かうこととなった。

 アーリーたんのご尊顔鑑賞時間が終了なのは至極残念だけど……アーリーの保護が無事成功! したのはいいことよね♪

 よ~し、この勢いのままアーリーの囲い込みも実現したいところだわ♪

「あの、ネロ様?」

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