55 / 158
アーリーたんのご尊顔鑑賞時間が終了なのは至極残念だけど……アーリーの保護が無事成功!
しおりを挟むお待ちかねのアーリーたんとティータイム♪
「お待たせしました♪」
「本当にな」
ブスっとした顔で応えたのは蒼。ふふっ、そんな顔してもシエロたんのお顔は可愛らしいわ♪
「いえいえ。女の子は支度に時間が掛かるものですからね」
にこりと神々しい笑顔を見せてくれるアーリーたん。
くっ、その美貌が眩しいぜ!
「侍女と一緒に、今日見付けた美味しいお菓子を選んでました。あ、でも……アーリーお兄ちゃんが食べ慣れているものばかりだったら、ごめんなさい」
アーリーはこの辺りの商家の子だし。
「いいえ。普段は食べられないものばかりです。俺のために選んでくれてありがとうございます。レイシーお嬢様」
なにこの爽やか対応! こやつ、なかなかやりおるな!
くぅ~! ただそこにいるだけで、絵になる中性的な美少年アーリーたん、マジ天使! というのも、間違いじゃないわね!
なんかこう・・・ちょ~っとばかり、あたしの理性やらなにやらが試されている気がするわっ!? 涎とか鼻血は出てないかしら?
恥じらう素振りでそっと顔を触って確認。よし大丈夫そうね。
「嬉しいです、遠慮せずに食べてくださいね♪」
「はい。では、頂きます」
「シェンお兄ちゃんも、グレインお兄ちゃんも食べて♪」
「えっと、夕食前なので、食べ過ぎには注意ですよ?」
「は~い♪」
と、うきうきワクテカなあたしがアーリーたんに話し掛け、それに苦笑するグレン。微妙に面白くなさそうな蒼の四人でティータイム。
「このお菓子美味しい♪」
「これは王室御用達にも選ばれていて、この地方では有名なお菓子なんですよ」
アーリーたんが説明してくれる。
「わぁ! すごいお菓子なんですね♪」
でも、実は知ってるの。味見する為に買ったもの。ちなみに、お皿に開けて並べる前に毒見済み。毒物は確認できなかったから安心よ。
そして、おじさま執事曰く、このお菓子もアストレイヤ様の離宮に来るものとは品質が多少違っているとのこと。しかし、輸送段階で味が落ちたと言い逃れできるレベルだそうだ。
実際、この世界は食品添加物や防腐剤、保冷技術などがまだそんなに発達していなさそうだから、長期保存をするのが難しいというのも事実ではある。
ただ、できたてほやほやの新しいものじゃなくて、少し古い……数日から一週間くらいかしら? のお菓子を運んでいた、という可能性もなくはないのよねー? 制作日からの保管日数プラス、輸送に掛かる日数という感じだし。
もしかしたら・・・というか下手したら、店舗で売れ残った商品をアストレイヤ様の離宮に卸していた可能性もあるわねー? お店の方も要観察決定。ま、商人の方で売れ残り商品を安く買い叩いて、それを王城へ転売ということも考えられるけど。
それはそれで逞し過ぎるわよね。正規価格との差分でがっぽり! とか? 王族への献上品になにかあったら、一族郎党の首が飛ぶって覚悟をしてのことなら別にいいけどさ。
なん~て考え事をしつつ、アーリーの美貌を鑑賞しながらキャッキャウフフ♡な気分でティータイムを満喫していると――――
コンコンコン、と部屋のドアがノックされた。
「失礼致します」
そう言って入って来たのは、真面目そうな男性。
「え? 父さん? どうしてここに?」
どうやらアーリーのお父さんのようだ。
う~ん……あんまり顔は似てないかも。アーリーはお母さん似なのかしら? それとも、隔世遺伝か……はたまた、神様(おそらく貴腐神様♪)の生み出した、奇跡の造形美! だったりとか?
「そちらのご子息とご令嬢の保護者の方から商談を持ち掛けられてな。至急、王都へ向かうことにした。アーリーと母さんも一緒に連れて行く。今すぐ準備をしなさい」
「え? 今すぐ?」
「ああ。準備が済み次第、出発する」
「え? 今から? もう夕方だし、暗くなるよ?」
「大丈夫だ。ありがたいことに、そちらの商会のキャラバンがわたし達を王都まで連れて行ってくれるとのことだ」
「ええ。坊ちゃんとお嬢様達が大量に買い物をしたので、それを王都へ送るついでに同行して頂くことになりました」
と、おじさま執事が答える。
「旦那様と奥様が仲良くなってくれるよう、坊ちゃんとお嬢様達が一生懸命選んだ物で。至急お届けしたいとお願いされまして」
ぺらぺらと、アストレイヤ様が聞いたら顔を顰めそうな噓八百。ま、嘘も方便。これくらいで、アーリーたんの未来が守られるなら安いものだわ!
「そうだったんですか……それなら、急いで届けないといけませんね」
にこりとあたし達へ微笑む神々しいご尊顔!
「アーリーお兄ちゃんが届けてくれるなら安心だわ」
と、あたしもにっこり微笑んでおく。
「はい。レイシーお嬢様方のご両親にお会いできるかはわかりませんが、荷物はしっかりお届けしますね」
「ふふっ、それじゃあ、アーリーお兄ちゃん。王都で会おうね♪」
「? お嬢様達が帰って来るまで王都にいるかはわかりませんが、またお会いできるといいですね」
「では、わたし達はこれで失礼致します」
こうして、アーリー一家は王都へ向かうこととなった。
アーリーたんのご尊顔鑑賞時間が終了なのは至極残念だけど……アーリーの保護が無事成功! したのはいいことよね♪
よ~し、この勢いのままアーリーの囲い込みも実現したいところだわ♪
「あの、ネロ様?」
10
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

『奇跡の王女』と呼ばないで
ルーシャオ
恋愛
サンレイ伯爵嫡子セレネは、婚約の話が持ち上がっている相手のジャンが他の伯爵令嬢と一緒にいるところを目撃して鬱々していた。そこで、気持ちを晴らすべく古馴染みのいる大兵営へと向かう。実家のような安心感、知人たちとおしゃべりしてリフレッシュできる……はずだったのだが、どうにもジャンは婚約の話を断るつもりだと耳にしてしまう。すると、古馴染みたちは自分たちにとっては『奇跡の王女』であるセレネのためにと怒り狂いはじめた。
元王女セレネが伯爵家に養子に出されたのは訳があって——。

帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる