腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

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ぐだぐだ言ってねーでさっさと探検行こうぜっ☆

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 むふふっ……シエロたんと同じ部屋っ!! きゃっふー♪

 な~んて、ちょっと浮かれながら部屋へ向かうと・・・

 さすが、お高いホテル。ファミリールームは、中に部屋や寝室が幾つもあった! 家族向けと言えど、裕福な家や王侯貴族は、お子様にも一人部屋を与えるのが普通だった! しかも、使用人の泊まれる部屋まで付いているって、どんだけ広いのよ? このファミリールーム、日本の平屋一軒家よりも部屋数多いわ。

「俺とグレンは一緒でいい。ネロは、一人部屋でいいだろ」
「ええ~っ、一緒の部屋で寝ましょうよ♪」
「断固拒否する! 俺らは、人がいっぱいいると落ち着かねぇ。それに、自分のことは自分でできるからな」

 チラリとネロたんの使用人に目を向け、

「そうですね。では、俺とシエロ様はあちらの部屋で過ごすことにします」

 さっさと自分達が過ごす部屋を決めるシエロたんとグレン。

 くぅ~! 至極残念っ!! でもでも、こればっかりはしょうがない・・・

 なにせ、何度もクソアマこと側妃であるネロたんの母親に暗殺され掛かっている。現ネロリン信者になったとは言え、元側妃の使用人達が側にいては安心できないだろう。

 仕方ない。ここは、お姉ちゃんが大人として(見た目幼児だけど)譲ってあげるとしよう。だが、しか~しっ!

「待って。探検はしないの?」
「探検、ですか……ネロ様も案外子供らしいところがあるのですね」

 クスリと笑うグレンに、相好を崩す周囲の使用人達&護衛のおじさま達。

「ふっ、わたしも子供ですからね。初見の場所や広い場所に来たら、まずは探検をしてみたくなるのです。というワケで、シエロ兄上とグレンさんも一緒にホテル内をあちこち探検しましょう!」
「え~……探検って、どこになにしに行くんだよ? それに、あんまりうろちょろすると迷惑だろ。大人しくしてろよ」

 あからさまにめんどくさそうな顔をする蒼。

「ふっ、シエロ兄上もまだまだですね! 迷惑を掛けるなんてとんでもない。いざというときの避難経路と非常口の場所確認と把握に決まっているでしょ。むしろ地形や脱出経路を把握していないと、なにかあったときにスムーズに逃げられないし。逃げ遅れると護衛のおじさま達にも迷惑を掛けちゃいますからね。そして、お互いに別経路で逃げたときの合流地点なんかも、あらかじめ決めておくと便利ですよ」
「うっわ、なんか思ってたより全く子供らしくねぇ理由」
「それに、子供しか入り込めない隠れ場所なども把握しておくと、危険人物から逃げるときに役立ちます。子供なら、女子トイレに逃げ込んでも許されますし」
「女子トイレはさすがにまずいだろ!」
「グレンさんはちょっとアウトかもしれませんが、シエロ兄上なら行けますって」

 なんせ、普通に男の子の格好してても女の子に間違えられる程のキュートでラブリーなシエロたんだもの! 言うと怒りそうだから黙っとくけど。

「まあでも、最悪のときの避難場所の候補の一つとして覚えておくといいですよ。というワケで、レッツ探検! あ、護衛の方々は不審じゃない程度にこっそり付いて来てくださいね? それか、探検ごっこを見守るていや迷子の子供を探す体で見回りや客層の確認なんかをするといいですよ?」

 ここはお高い高級ホテル。もしかしたら、護衛の必要な誰か・・(推定隣国のお偉いさんなど)が泊まっている可能性もあるし。

「了解しました」

 と、イイ顔で応えたのはネロリン信者な護衛。

「ね、ネロ様はやっぱりあんまり子供らしくないみたいですね……」

 そして、グレンの言葉にちょっぴり畏怖するような視線を向けるのはアストレイヤ様の部下のおじさま達。

「ふっ、甘いですね! 色々言いましたが、これであちこっち好き勝手探検できるという大義名分を手に入れたのです! 故に……ぐだぐだ言ってねーでさっさと探検行こうぜっ☆」

 と、蒼の腕をぐいぐい引っ張って部屋の外に出た。

「ええっ!? あ、待ってくださいよ!」

 慌てて付いて来るグレン。

「ふっふ~ん♪まずは、非常口の場所チェーック!」

 と、まずは自分達の泊まるフロアから見回り。そして、非常口&非常階段のチェックがてらにあちこちをぶらぶら。

「次はあっち行こうぜ!」

 最初は面倒そうにしていたのに、やっぱり蒼も男の子ね! 楽しそうに行先を指定して気紛れに廊下を進んで行く。すると――――

「ん? な、な、あれって……」

 ロイヤルスイートの部屋界隈をうろちょろしていたときだった。蒼が指差したのは……見覚えのある、というかさっき外で見掛けたような眩く輝く金髪の後ろ姿!

「あの灰色の髪の方は、具合でも悪いんでしょうかね?」

 グレンが、少し心配そうに眩い金髪の人物に支えられるようにして歩いている灰色の髪の男性を見やる。

「そう、ね……グレインお兄様」
「え? あ、はい。なんでしょうか? れ、レイシー」
「ダッシュでホテルの人を呼んで来て? 多分、お医者さんが必要かもしれない」
「はっ、わかりました!」

 と、グレンにホテルの従業員を呼びに行かせる。

『さ、行くわよ蒼!』


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