腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

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冗談や余興はさておき、だ。諸々の懸念はありつつ、視察旅行に出~発っ!

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「♪~」

 ふっふ~ん、シエロたんと旅行、キャッフー♪

 テンション上がるわーっ!!

 と、ルンルン気分で旅行の準備をして

 さぁて、第三王子の肩書きを引っ提げたネロたんで行くことは決定。でも、あたしがいない間はネリーちゃんもお留守になっちゃうのよねー?

 多少の不在は数少ない、ネロリンの事情を知っている使用人が誤魔化してくれるとは思うけど。その他の使用人達にはネリーちゃんも一緒に行く……ということにして。視察同行メンバーにはネリーちゃんはお留守番だということにしておくのが無難と言ったところかしら?

 ま、念の為、ネリーちゃんの格好もできるように。正式なドレスと動き易いお忍び用のワンピースも用意して持って行きますか。

 ちなみに、ネロリン信者な使用人達は――――旅行の同行権と誰があたしのお付きをするかで大揉めに揉めたらしい。

 そして、ネロリンの事情を一番知っているという古参侍女二名(侍女技能試験で高得点を出して、若い侍女達に文句を言わせなかったって聞いた)と、急遽側妃宮(もう側妃いないけど)内だけで開催されたバトルロワイヤルで、他の護衛達を薙ぎ倒して勝ち抜いた四名が同行権を捥ぎ取ったそうだ。

 や、大怪我はしてなくても、軽くない怪我してるし。顔腫れたり、包帯巻いてたりして、見るからに怪我人よ? 大丈夫なの?

 ・・・ハッ! これぞ、リアル『あたしの為に争わないでっ!?』案件か! な~んて、チラッと思ったけど、これ事後報告だしなぁ。その場にいなきゃ、全く意味ないわ。

 ん~……でもでも、騎士同士の決闘? は、ちょっと見たかった。残念。けどさ、侍女が護衛騎士枠で行こうとするのはさすがに誰か止めろ。暗器使いの侍女は、表出ちゃ駄目なやつだから。戦闘訓練受けた侍女だって、みんなにバレちゃってるじゃん。いいところまで行って、侍女長にガチキレされて泣く泣く諦めたとか……どうなの?

 一応、遠方に帰省中(絶賛ネガティブキャンペーン中)の使用人達がまだ帰っていなくて参加人数が少なかった為、争奪戦はそんなには過酷にはならなかったそうです。

 いやん、ネロリンあたしってば人気者♪

 でもあたしはちょいイジワルなので、

「怪我をした方の同行は許可できません。ですので、ゆっくり療養してください」

 と、争奪戦を勝ち抜いたものの、軽くない怪我を負っていた二人をお留守番にして、別の人を護衛に選んだ。めっちゃ悔しそうな顔をされた。

 何故だっ!? 納得いかんっ!! という顔をされたので、

「わたしが、怪我をした人を見るのが嫌いなことは知っていますよね? 駄目ですよ。怪我をしていては、肝心なときに動けなくなりますからね。たわむれも程々に。今度からは、怪我人のあまり出ない方法を選んでください。傷病人は、治るまで療養を命じます。なので皆さん、なるべく健康を維持して、元気に過ごしてくださいね?」

 にっこりと笑顔で圧力を掛けておいたら・・・さっきまで悔しそうだったのに、なぜか恍惚の表情を浮かべて素直に頷くお留守番騎士。

 ふっ、さすがはネロたんのエンジェリックスマイルと言ったところね!

 戦闘侍女は、「メイド枠でいいので連れて行ってください! 下働きでもなんでもします! 絶対お役に立ちますから!」と懇願されたので同行を許した。

 ちなみに、侍女が主人やその家族を直接お世話する役職。メイドは、主人の近くに侍るのではなく、家の仕事をする役職という感じ。女官は、宮中行事の予定を決めたり式典などの儀礼やマナー全般に関わる役職。なので、序列的には女官、侍女、メイドという上下関係があるっぽい。物語の中で、女官の立場が強いワケよねー?

 侍女や女官は自分の仕事にプライドを持って、主人に侍ってお世話する権利、主人と話してスケジュールを決める(場合によってはマナーや式典の教師役も務める)権利を誇っているから、メイドでもいいというのは相当な覚悟を持った言葉と言える。

 だから、実際は下働きと言っても過言じゃないメイドさんが主人に侍るってのは、割とフィクションなのよねー? アニメやら創作界隈の改造メイド服とか、夢や希望がい~っぱい詰まってるけど。あんなヒラヒラやフリフリ、短い丈でちょっとでも動くとアハ~ン♡な事態になりそうなメイド服は、残念ながら存在しない。ま、この世界は元々BLゲームだから、ギャルゲーみたいなメイドさんが存在しないのは当然かもしれないけど。

 な~んて、冗談や余興はさておき、だ。諸々の懸念はありつつ、視察旅行に出~発っ!

♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘

 王都を出るまでは、シンプルな旅装姿(レア!)でもその麗しさと愛らしさを失わないシエロたんにハグしたりスリスリしたりして蒼にウザがられたり、それストーカー予備軍ショタに微笑ましそうに見守られ――――

『な、な、ねーちゃん。聞いてくれ。視察行く前に少し話したんだけどさ? グレンがクソ親父から俺の方に寝返った』
『あら、よかったわねー』

 なんて、ぼそぼそ話す。

『ンで、なんかネロとネリーは乳兄弟である俺の弟妹だから、自分の弟妹みたいなもんだって言って、俺とネロとネリーを守るっつって、吹っ切れた顔してた』
『ふ~ん……』

 ふむ……どうやら、蒼が説得かなにかをしてグレンをこちら側に寝返らせることに成功。そしてなぜか、シエロたん同様の庇護対象? としてネロリンが認識されたということだろうか?

 ま、元々グレンは清楚で可憐、儚げで守ってあげたくなるようなシエロたん……を、ガチで守ってた粘着ストーカー近衛騎士だったし。

 そこに、神秘的且つ妖艶な美ショタ&美ロリなネロたんとネリーちゃんが加わったというところかしら? それとも、見た目の庇護欲で義理? の兄妹的なブラコンとシスコン属性でも目覚めちゃったり?

『ま、ある意味結果オーライかしら?』
『結果オーライ? なにが?』
『ん~……ほら? ストーカー予備軍ショタの庇護対象が増えたってことでしょ?』
『ねーちゃん、相変わらずだな? 言い方な、言い方』
『ふっ、そんなの一々気にしないわ。というか、それより……庇護対象が増えたってことは、シエロたんに対する執着も分散して薄まるかもしれないじゃない』
『マジでっ!?』
『あくまでも、希望的観測ではあるけどね?』

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