35 / 158
「前世のバリキャリ銀行員時代とオタク智識諸々ですっ☆」とは言えないものねー?
しおりを挟む「できるのか?」
「一応ですが、牧場には既に羊がいるので換毛期には羊毛が収穫できます。更に、綿花栽培に着手すれば、数年以内には綿が作れるようになると思います。農場や牧場の休耕期や放牧の移動サイクルに紅花を加えれば、染料が。そして、あわよくば植物油も採れるようになるでしょう」
「油だとっ!? それは本当かっ?」
おお、この反応だと、やっぱり油は貴重なのねー。料理で揚げ物があんまり出て来ないから、そうかもなぁ? とはうっすら思ってたけど。
ま、夜の灯りは蝋燭やランプだし。海の近くだと、灯り取りに魚の油を使うらしいわね。内陸部だと、獣脂から作られる蠟燭が多いと聞いたことがある。動物系油脂の蝋燭やランプは生臭かったり、獣臭いらしい。お城だと見たことないから匂いはわからないけど。
裕福な家の私室で使用されるような蜜蝋はほんのり甘くていい匂いがするけど、普通にお高い。それより少し劣る植物油も匂いが少ないけど、生産の関係でおそらくこちらも高価なのだろう。蜜蝋を使用するのは、女性が多いイメージかな? 甘い匂いが苦手な人や男性は、塩析して臭みを抜いた蠟燭や植物油を使用することが多い。
蝋燭が作れるような、ワックスの採れる植物があった筈。ああでも・・・いっそのこと、お米を探した方が早いかしら? 米糠からワックスが採れるし、米油も採れる。藁は飼料にしても肥料にしても善し。大豆があれば、納豆が作れちゃうわね? あと、普通にごはんとしても食べられる。探して出て来たのが日本人お馴染みのジャポニカ米じゃなくてインディカ米だとしても、糠は採れるし。もちもちごはんじゃなくても、パエリヤ的なごはんで美味しく食べられる。
いずれは、炭作りも提唱した方がいいかもしれない。燃料の薪も、どっかの領地から買ってそうだし。最初は作るのに、場所と手間と多少のコストは掛かるけど。木炭の方が薪よりも長時間燃えて、高温を維持できる。長期間放置しても、製造過程で燻煙されてるから虫が湧かないし、水の濾過にも使えて衛生的。石炭や、ただの薪を燃やすより断然、自然環境や人体にも優しい。他にも色々使えて、いいこと尽くめだ。
まずは、炭に適した木が群生している森林か山を探しましょう。登山や森林探検、バードウォッチングなどが好きな人が近くにいたりしないかしら?
「ええ。上手く行けば、となりますけどね? 綿花や紅花栽培、新しく着手する産業については、専門家を招聘した方が宜しいかと」
「わかった」
「なんでしたら、空いた土地や農場の隙間にハーブを栽培するのもいいかもしれませんね」
農作物によって相性の良いハーブがあって、一緒に植えると味が良くなったり、虫が付き難くなったりという利点がある、共生栽培というのができた筈。
「ハーブは生で使用しても乾燥させてもいいし。お茶にしたり、精油を作ってもいい。精油を作る過程のハーブウォーターも売れますし。香水や化粧品を作ってもいい。最悪、売り物にならなくても、虫除けに使ったり、家畜の餌にもできますから」
まぁ、ハーブや花で精油を作って売ろうと思うと、数百キロ単位の量が必要になるけど。でもでも、化粧品で荒稼ぎできそうな予感♡
「おー、さっすがネロ。次々とよく出て来るもんだぜ」
「まあね! どうせ、失敗しても子供のお遊びで済ませられます。ちなみに、失敗したら全部わたしの我儘ということにして、ライカ兄上に傷は付けさせません。なので、どんどん試しちゃいましょう♪」
なにせお姉ちゃん、前世はバリキャリな銀行ウーマンだもの! 起業や融資の相談説明なんて日常茶飯事。いろんな職種の人の話を聞く機会があったんだから! アイディアを話すだけ話して、企業しない人も結構いたし。お仕事始めたら、やり方次第で上手く行きそうだったのになぁ。勿体無い。
にゅふふ、智識とお金とコネと人手があって、時間を掛ければ、大抵のことができちゃうのよっ!! ま、それも、不運や自然災害に見舞われたりしなければ、ではあるけど。
国家という後ろ盾を手に入れた今、色々好き放題できるチャンスだぜ☆な~んてね?
「……お前は、どこでそんな知識を仕入れて来るんだ?」
驚いたように、そして若干苦い顔であたしを見下ろすアストレイヤ様。
「図書室です!」
と、言っておく。さすがに、「前世のバリキャリ銀行員時代とオタク智識諸々ですっ☆」とは言えないものねー? 多分、こういう感じの内容の本は探せば図書室にある筈だし。無いなら無いで、「いろんな本を読んで思い付きました☆」で済ませればいい。
「……ネロは、どれだけ本を読んだの?」
――――――――――――
蒼「さっすがねーちゃん、物知りー」(*'ω'ノノ゙
茜「ふふん! もっと誉めてもいいのよ♪」(`・ω´・+o)✧
10
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説

かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました
お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。

お城で愛玩動物を飼う方法
月白ヤトヒコ
恋愛
婚約を解消してほしい、ですか?
まあ! まあ! ああ、いえ、驚いただけですわ。申し訳ありません。理由をお伺いしても宜しいでしょうか?
まあ! 愛する方が? いえいえ、とても素晴らしいことだと思いますわ。
それで、わたくしへ婚約解消ですのね。
ええ。宜しいですわ。わたくしは。
ですが……少しだけ、わたくしの雑談に付き合ってくださると嬉しく思いますわ。
いいえ? 説得などするつもりはなど、ございませんわ。……もう、無駄なことですので。
では、そうですね。殿下は、『ペット』を飼ったことがお有りでしょうか?
『生き物を飼う』のですから。『命を預かる』のですよ? 適当なことは、赦されません。
設定はふわっと。
※読む人に拠っては胸くそ。

逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!

婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話
Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」
「よっしゃー!! ありがとうございます!!」
婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。
果たして国王との賭けの内容とは――


嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる