腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
24 / 158

アストレイヤ様も、なかなかの力技をかまして来たわねー?

しおりを挟む



 アストレイヤ様&ライカと、シエロたんこと蒼、そしてネロたんことあたしの四人でぶちゃけ家族会議! を開催して、なんだかちょっぴりスッキリした気分の翌日。

 朝起きたら、見知らぬ使用人が増えていた。

「どちら様でしょうか? 側妃宮うちの離宮の方ではありませんよね?」

 そう聞くと・・・

「わたくしは、本日よりネロ様にお仕えすることになりました。宜しくお願い致します」

 ナイスミドルなおじ様執事さんがにこやかに、

「そして、ネロ様とネレイシア様のお二方は、本日よりアストレイヤ様の養子となりました」

 なんぞ衝撃的なことを言いよったっ!?

「・・・え?」
「お二方の教育を怠っていた側妃様よりお二方の親権を取り上げ、ご自分が養育するとのことでございます」
「マジかっ!?」
「ええ。本日より、お二方はアストレイヤ様のお子。ライカ殿下の弟君と妹君であらせられます」

 なんてこったいっ!?

 あの女がなにかやらかしたり、これ以上にネロたんの王子としての立場が悪くなったりしたら……もしかしたら、アストレイヤ様に親権が移されることになるかもしれない、という想定はしていたけど。

 昨日の今日でこの展開は早過ぎでしょっ!?

 ・・・一体、どんな裏技を使ったのかしら?

「お母君の処遇に付いてですが……お聞きになられますか?」

 気遣わしげに問う執事さん。

 ふむ……処遇、というくらいなのだから、なんらかの処罰でも科されたと考えるべきか。奴のやらかした諸々の事を考えると、当然のことだけどね!

「はい。お願いします」
「お母君は、ネロ様とネレイシア様が王族として在るための教育を怠りました。しかし、アストレイヤ様は側妃様がご病気・・・であることも加味され、静かな地で静養をとお勧めされたのです」

 にゃるほどねー? ネロたんの秘密……ネロたんとネリーちゃんが同一人物であること。本物のネリーちゃんが既に亡くなっていることを、「お前を病気ということにして罪に問わないでやるから、黙ってネロとネレイシアの親権を手放せ」という風に脅したのかなんなのか……あんまり深くは追及しないでおくけど。

 おそらくはその辺りの事情を盾に、「バラされたくなければ……」と、ネロたんとネリーちゃんの親権を奪取……う~ん? もしくは、保護? という形で取り上げ、ヒス女をどこぞに幽閉するってとこかしら?

 ついでに、あの女の実家に釘を刺しつつ、ネロたんとネリーちゃんをあちら側と距離を置かせる、という感じかな?

 アストレイヤ様も、なかなかの力技をかまして来たわねー?

 少~し動き難くなったとは思うけど。ま、あのクソアマのことで煩わされる時間が、別のこと充てられるのはいいことだわ。

 問題は――――

「ふむ……来たか。思ったより早かったな? それで、お前はどちらだ?」

 アストレイヤ様の私室へ呼び出され、人払いがされるなりその言葉。

「おはようございます、アストレイヤ様」

 にっこりと笑顔で挨拶をしておく。

「ネロと呼べばいいのか? それとも、ネレイシアか?」

 今の格好は、ネロたんだ。

 だってねー? 幾らあたしが腐女子とは言え、ヒラヒラフリフリな女児用のネグリジェをパジャマにするのは居たたまれない。というワケで、寝るときにはシンプルなパジャマで寝てるワケですよ。

 ンで、起き抜けにアストレイヤ様の手配してくれた手先である執事さんに挨拶されちゃったんだもの。さすがにネリーちゃんの格好はできないわ。

「そうですね……基本的には、男の子の格好をしているときにはネロ。女の子の格好をしているときには、ネレイシアと呼んでください」
「それでは、今までと変わらん。わたしは、お前がどちらなのかと聞いている。本当の性別はどちらだ?」

 見定めようとするようなアストレイヤ様の視線が注がれる。

「? 名前という意味でしたら、わたしはネロの方です。乳児の頃に亡くなった、と聞いているのはネレイシアの方ですので。わたしの身体の性別という意味でしたら、男ですよ。ネレイシアのことで、母を幽閉するのでは?」
「幽閉ではない。静養、だ。今のところはな? しかし、君は本当に男か?」

 まじまじとあたしを見やるアストレイヤ様。

「はい。なぜ、今更性別の確認を? わたしが……ネレイシアが、ネロだと知っていたのではありませんか?」
「ああ。ネレイシア王女の遺体は、確認した」

 ネリーちゃんの遺体確認……か。

「だが、そもそもの出生届が改竄かいざんされている可能性も否定できなかったのでな?」

 出生届の改竄……?

「ああ……もしかして、実は双子の女児・・・・・が生まれていて、その片方を男児として偽ったのではないか? とでも、考えましたか?」

 もしも、ネロたんもネリーちゃんも二人して女の子だった場合、シエロたんのお母さんに負けた! なんて思って、どちらかを男児として届ける……的な? まぁ、ヒス女なら如何にもやりそうな手口ではある。

 とは言え、ネロたんはちゃ~んと男の子なんだけどね? 逆を言えば、もし亡くなっていたのがネロたんの方だった場合、ネリーちゃんがネロたんの代わりとされていたことは想像に難くない。

「ああ。もしお前達が一卵性の双子であった場合、どちらがどちらかであったかは、関係者も判別が付き難いだろう」

 ま、乳児で同性。つ、一卵性の双子は……親でも、目印が無ければどちらがどちらだという見分けを付けるのが難しいのだと聞いた。なんとも言えない話だと、本当に区別が付かなくて、呼び掛けてみて反応した方の名前で呼ぶことにした、なんてことも聞いたことがあるし。

「それに、それくらいお前のネレイシアが自然だったということだ。女児にしか見えないくらいに、な?」
「お誉めにあずかり光栄です」

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

ウワサの重来者 どうか、心振るえる一生を。(中辛)

おいなり新九郎
ファンタジー
 最新情報:幼いサヤを背負い少女は炎と化け物の中を潜り抜ける。一途にこの娘を地獄から逃がすために。 ーあらすじー  侍の家に生まれたユウジは16歳の少年。  家族がいろいろあって、家を継ぐことに。  ある日、特別な力を与えてくれるという「宝」を引ける催しに参加する。  そこで、彼が引いてしまったハズレとしか思えない「宝」とは?  宝のせいなのか、問答無用にふりかかる災難。  個性豊かな、お宝美少女達に振り回され、ユウジは冒険を続ける。  そこには思わぬこの世界の因縁と謎があった。    作者より  タイトルにある「重来者」はリターナーと読みます。  途中、主人公交代を検討しております。  お一人でも多くの方が楽しんでくだされば幸いです。  理不尽な世の中で、どうか心振るえるひと時を・・・。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ
恋愛
3話完結です。 大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。 それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。 そこで見たのはまさにゲームの世界。 主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。 そしてゲームは終盤へ。 最後のイベントといえば断罪。 悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。 でもおかしいじゃない? このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。 ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。 納得いかない。 それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?

処理中です...