腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
上 下
19 / 158

では、これより家族会議を始める!

しおりを挟む



 それから――――蒼と、ネロたんだったりネリーちゃんだったりするあたしと、若干不貞腐れ気味なライカとの交流が始まった。

 ネリーちゃん姿で、ライカにちょっぴり馴れ馴れしい態度を取ったら……やっぱり妹は可愛いらしく、ネロたんでいるときよりも可愛がられている。さっすが美幼女ネリーちゃんの魔性の魅力♪

 まぁ、蒼曰く、『ネリーは王女で、継承権で揉める可能性低いからじゃね?』な~んて言ってたけど。もう、余計な水は差さないでほしいわっ。

 でもでも、妹として扱われるのは悪くない。蒼とは六つ離れてるから、あたしず~っと蒼のお姉ちゃんしてたし。お父さんとお母さんが亡くなってからは、『あたしが蒼の保護者なんだから!』って頑張ってもんなぁ。

 それに……ネロたんは兎も角として。中身のあたしよりも年下なのに、一生懸命お兄さん振るキラキラぷにショタ……ああんもうっ、なんて可愛いのかしら♡

 そんなこんなでしばらくして――――

「では、これより家族会議を始める!」

 部屋から使用人達を全て追い出したアストレイヤ様が宣言した。

 パチパチパチと、蒼と一緒に拍手を送る。

「家族……? いきなりなんです? 母上」
「国王であるレーゲン……お前達の父親のせいで、シエロ王子とネロ王子の立場が微妙だからな。今のうち、腹を割って話しておけ。その方が、後々面倒が少なくて済む」
「はい?」
「シエロ、話してやれ」

 おおう、シエロたんこと蒼に丸投げた!

「え~っと……その、俺……じゃなくて、わたしは」
「話し難いなら、いつもの口調で構わん。言ったろ? 腹を割って話せ、と」
「では、失礼して。ライカ様、俺は第二王子であることを辞退したいと思っている」
「え?」

 ぽかんとした顔で瞬くライカ。

「そもそも、国王……つか、死んだ母親に対するクソ親父の未練だかなんだか知らねーけどさ? 無理矢理第二王子の身分を与えられて、俺は至極迷惑してんだよ」
「……シエロ兄上。そのように地を出して宜しいのですか?」
「いやー、だってアストレイヤ様が構わないって言うから。それに、こんな俺が王子に相応しくないのは事実だろ?」
「ほう、可愛らしい顔をしてなかなか言う。それが君の地か」
「すみません。お聞き苦しいでしょうか?」
「いや、構わん。ネロも、地で話して構わんぞ?」

 あたしは……地で喋るとちょ~っとまずいのよねー?

「では、失礼して。わたしも少々崩して話しますね」

 にこりと微笑んでおく。

「シエロ兄上には、母が多大なる迷惑を掛けています。元々は、寵姫であったシエロ兄上のお母様が気に食わなかったようでしたが……第二王子という身分をクソ親父に与えられたせいで、側妃である母にガッツリと命を狙われる羽目になっていますからね。大変心苦しく思っています」

 本当、厄介なことしかしない連中だ。実は、あのクソアマがクソ親父に嫌われているのって、もしかして同族嫌悪だったりするのかしら?

「ククッ……君も、だったか」
「く、くそおやじ……?」

 あら? なにやら衝撃を受けたような顔のライカ。スラングの意味がわからないのかしら?

「クソ、というのは排泄物のことで、親父というのは父親のことです。つまり、排泄物程に疎ましく思う、もしくはそれ程に厭わしい、煩わしい、苛付くような父親、と。そう言ったニュアンスでしょうか。ライカ様」
「や、あのな、ネロ? そういう意味じゃねーと思うんだが?」
「そう? ライカ様はスラングを知らないかと思いまして。説明してみました」
「あ~、確かにな? その可能性もあるが……おそらく、お前の顔からそういう言葉が出たこと自体にショックを受けてんだろ」
「ふふっ、それはシエロ兄上も同様では?」

 なにげに、天使のように麗しい美ショタの汚い言葉は大ショーックっ!! というか、破壊力抜群のインパクツっ!! ということだろうか?

「ぁ~……ま、王宮じゃこんな言葉使う奴のが少ないだろうから仕方ないんじゃないか?」
「成る程、そういうことでしたか。では、慣れてくださいね? ライカ様」

 確かにねー? リアルな、しかも第一王子様なライカにこんな言葉を使う人はいないか。普段接するであろう周りの世話役も、貴族出身の人達が多いだろうし。

 にゅふふ……育ちの宜しい優等生に悪~い言葉を教えるような微妙な背・徳・感♡

「え?」
「ククッ……二人共、わたし達の前では猫を被っていたということか」
「正妃様であらせられるアストレイヤ様に、乱雑な口を利くワケには参りませんからね。やはり、お聞き苦しいのでしたら、戻しますが?」

 と、チラリとライカを見てそう言う蒼は……シエロたんだったときよりも、前世の記憶を思い出して蒼になってから、こんなにお口が悪くなったとお姉ちゃんは思うのよねー。ま、あたしも人のこととやかく言えやしないけど。それに、猫はあったかいもんね!

「いや、わたしは構わん。面白いからな? 二人共、プライベートな場ではそのままでいい」
「は、母上っ!?」

 慌てるライカを放って口を開く。

「では、話を進めます。わたしとネリーの方も、おそらくはシエロ兄上を第二王子にするため……とされる、クソ親父からの実害が出ていますからね。まぁ、確認のしようもないので、本人にその意図があるかは不明ですが。限りなく黒に近いと思われます」
「え? ネロとネレイシアに実害? 父上が? なにを……?」
「端的に言うと、わたしとネリーは王族として必要な教育を全く受けていませんでした」
「はっ?」
「ついこの間、アストレイヤ様が家庭教師を手配してくださるまで。そして、ライカ様に教えて頂けるまで。使用人達に読み書き計算を教わるくらいしかしていません。わたし達は王族としての教育どころか、一般教養すら学んでいませんので」
「ちょっと待って! なんで、そんなことっ……」


__________



 アストレイヤ「では、これより家族会議を始める!」( ・`д・´)


 茜&蒼「「おー」」(*≧▽≦ノノ゛☆.+゜&(*・ω・ノノ゛☆パチパチ


 ライカ「家族……いきなりなんです? 母上」( ̄□ ̄;)?

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ウワサの重来者 どうか、心振るえる一生を。(中辛)

おいなり新九郎
ファンタジー
 最新情報:幼いサヤを背負い少女は炎と化け物の中を潜り抜ける。一途にこの娘を地獄から逃がすために。 ーあらすじー  侍の家に生まれたユウジは16歳の少年。  家族がいろいろあって、家を継ぐことに。  ある日、特別な力を与えてくれるという「宝」を引ける催しに参加する。  そこで、彼が引いてしまったハズレとしか思えない「宝」とは?  宝のせいなのか、問答無用にふりかかる災難。  個性豊かな、お宝美少女達に振り回され、ユウジは冒険を続ける。  そこには思わぬこの世界の因縁と謎があった。    作者より  タイトルにある「重来者」はリターナーと読みます。  途中、主人公交代を検討しております。  お一人でも多くの方が楽しんでくだされば幸いです。  理不尽な世の中で、どうか心振るえるひと時を・・・。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

処理中です...