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「フハハハハハ! 姑息な愚か者めが!」と、心の中で罵っておこう。
しおりを挟むおおう、目を離すと危ないことするお子様認定されてる感じっ!?
「お前が望むなら、ネレイシアかネロを選ばせてやる。少々手が回らなかったとは言え、いい加減あの女を自由にさせ過ぎた。ここらで、監査を入れてみるも一興」
これは……ネロたんでいるかネリーちゃんでいるかをあたしに選ばせてやる、ということ? 側妃の離宮に……あのクソ女へと国の監査を入れて、幽閉措置にでもするということかしら?
おそらく、ネロたん……王子を生んでいるあの女を処刑などして殺すのは、少々まずい。ネロたんの王子としての立場が揺らぐことになる。
ネロたんの他にも王子がいれば、また違っただろうけど。アストレイヤ様としてはきっと、ネロたんをライカ王子の予備として考えている筈。
現在、シエロたんが第二王子として扱われているとは言え、愛妾の子には実質の王位継承権を与えない方が望ましい。
ネロたんの足場確保の為、あの女は、ネレイシア殺害……は、罪が重過ぎるわね。内々で、王女の死亡を偽っていたという罪に問うことになるのかしら? そして、数年間は幽閉措置が妥当。ほとぼりが冷めた頃に、病死……という感じか。
う~ん……あの女が厄介であると同時に、あの女がクソだから、ネロたんorネリーちゃんとしてあたしがまだ幼児なのに好き勝手できていたという側面もある。
あの女……側妃自体の権力が削がれることは望ましい。けれど、あの女の実家の権力まで削がれるのは、あたしが動き難くなる……かもしれない。国の監査が入ると、洩れなく実家方の権力やら威光諸々に翳りが差すことは確実だし。
ちょ~っと悩みどころよねー?
ネロたんかネリーちゃんのどちらかを選ぶってのもなぁ・・・
「ああ、ネロとネリーの方が、わたしよりもきっと役に立つと思います」
と、ここで蒼がなんぞ言いよった!
「計算などは、二人の方が得意としていますからね」
「ほう……では、そうだな。試験だ。問題集を持って来い」
ニヤリと笑ったアストレイヤ様に、
「制限時間は十五分。解けるだけ解いてみろ。では、始め」
小三のお子様問題レベルのプリントとペンを用意されましたよ。
サラサラと解き始める蒼。まぁ、大学生だった蒼には簡単な問題ばかりだろう。
う~ん……どうする、か。自由に動ける時間と、アストレイヤ様との親交。
どちらを取るべきかしら?
「どうした? 難しくて解けないか? それともまさかっ・・・あの女はお前に家庭教師を付けていないのかっ!?」
血相を変えるアストレイヤ様。
言われてみれば。あたしに家庭教師は……いなかったわね?
ふむ……通常、家庭教師などの手配は親や保護者がするものと相場が決まっている。
けど、ネロたんの母親はあのクソヒス女。そして、父親はネロたん母子に寄り付かない無関心不干渉を貫くクソ親父レーゲン。
現在、実質的にクソ女の離宮の管理をしているのは、ネロたんことあたしだ。ということは・・・あたしは、自分で家庭教師の手配をしなきゃいけなかったということだ。
全く気付かなかったぜっ☆
一応、最低限のマナーや読み書きなどは周囲の使用人達から習ってはいたけどね? 王族として、王子や王女としての教育というのであれば、かなり不足しているかもしれない。今、気付いたわ。
「えっと、全部解けます」
パッと問題を全部解くと、先に始めた蒼より早く終わって、ちょっと驚かれた。無論、全問正解だ。なにせお姉ちゃん、天才ですから!
あ、でも、あれだわ。王室の歴史とかになるとあんまり習ってない。
仕方ないなぁ。
「その……アストレイヤ様さえ宜しければ、ネロお兄様とわたくしに家庭教師をご紹介して頂けないでしょうか? 読み書き計算はできるのですが、歴史や地理などを教えられる方がいなくて……」
「・・・家庭教師は、お前達にいないということだな?」
いやん、アストレイヤ様ったら険しいお顔……とはさすがに言えず、
「えっと……はい」
頷く。
「あの、でも……うちの離宮は母が、その……」
うちの離宮では、家庭教師さんの生命の保障が全くできないデンジャラスゾーン! だ。
「ああ、わかっている。あの女の癇癪の酷さは有名だからな。だが、王子に家庭教師を付けていないなど前代未聞だ。やはり、監査を入れるべきだな。シエロ。一応聞くが、お前に家庭教師は付いているか?」
「はい。父……いえ、陛下の付けてくれた教師にグレンと一緒に師事しています」
なんと! シエロたんの方には確り教育がなされていたとは・・・ふむ、これはあれか。純粋に、クソ女とネロたん、ネリーちゃんの側妃母子に一切興味が無いだけでなく、第三王子は教育を全くされていない、駄目な王子だとしてシエロたんを第二王子にした横車に正当性を持たせようという画策だろうか?
あの女が酷い癇癪持ちで有名だとして、だ。それでその子供も、酷い性格をしていて……的なことを狙っているのかもしれない。が、ぶっちゃけ、あたしを思い出す前のネロたんも天才だったみたいだし?
仮定、クソ親父の画策は失敗してんじゃね? 「フハハハハハ! 姑息な愚か者めが!」と、心の中で罵っておこう。
「チッ……レーゲンの奴め!」
__________
蒼「よし、巻き込み成功! これでねーちゃんの危険な行動を、ある程度は制限することができるはず。そしたら、俺もちょっと安心できる」(*゚∀゚)=3
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