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ヴァンパイア編。
100.相当あのバカ馬が嫌いなのね。
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「実は…病弱でよく寝込んでいる女の子がいて・・・外に遊びに行けない女の子の唯一の楽しみは、絵本を読むことだったわ。それで、いつか身体が丈夫になったら、絵本に載っていたアルプス山脈に咲く、エーデルワイスを見てみたいと・・・けれど、女の子は今…高い熱を出して、エーデルワイスが見たいって譫言を言い続けているの。誰か、その女の子の為にアルプス山脈からエーデルワイスを持って来ることができれば・・・」
という憂いに満ちた金の混ざる紫のアメトリンと、艶やかな声が語った言葉で俺は・・・
アルプス山脈を二日で踏破し、真っ白で可憐に咲くエーデルワイスの花を無事発見した。
そのエーデルワイスの花が萎れないうちに、俺はあの港街へと戻った。
そして、病弱な女の子が住むという家の窓辺にそっとエーデルワイスを置いて来た。
女の子が、元気になることを祈って・・・
その後、アルゥラに逢う為にあの船へ行った俺は今・・・砂漠地方を目指して走っている。
なんでも、ルーさんが言うには、砂漠で採れる鉱物の砂漠の薔薇を必要としている女の子がいるらしい。そのデザート・ローズが無いと、宝石商をしている家が破産してしまうという退っ引きならない事情があるとか・・・
生憎、手持ちの宝石類にデザート・ローズは無かったんだが・・・無論、「任せろ!」と言って、俺はすぐに砂漠へと向かって走っているワケだ。
待っててくれ。身も知らぬ宝石商のお嬢さん。絶対に立派なデザート・ローズを採って、すぐに届けに行くからなっ!
女が幸せだと、俺も嬉しいからなっ!
※※※※※※※※※※※※※※※
「というワケで、アンタが寝てる間に、夢魔があのバカ馬を砂漠へと走らせたらしいわよ?」
アマラが言う。
「・・・へぇ」
よくわからないが、あのクソ野郎が近くにいないというのはいいことだ。
「で、その隙にこの港を出るわ。準備なさい」
オレは二日程寝ていたらしい。
その間に、ルーがいなくなっていた。
そして、出港の準備をするとのお達しだ。
別にいいけど。
「わかった」
と頷くと、
「アンタ・・・」
アイスブルーがなにか言いたげに見下ろす。
「なに? アマラ」
「相当あのバカ馬が嫌いなのね」
「まあ、とりあえず駆除したくなるくらいにはね。アマラも嫌いでしょ? あの変態クズ野郎」
「駆除って・・・まあ、ね」
アンタ程じゃないけど、と言いたげなアマラ。
あのクズ野郎とオレになにがあったのかを聞きたそうではあるが、踏み込んでは来ない。
オレも、絶対に話したくないし。
なんだかんだで、アマラは優しいと思う。
「それで、アンタに調達してほしい物だけど・・・」
と、ズラリと長い調達リストを渡された。
まあ、買い物くらいはパシられてもいいけど。
※※※※※※※※※※※※※※※
アルがまた二日程寝て、起きた。
なんというか、あれらしい。
トールのバカが来るとアルがマジギレして大変だとかで、クラウドが寝かせていたらしい。
まあ、わかる。異様な殺気でトールの首を執拗に狙っていたアルの様子から察するに、あのバカを酷く嫌っていることは明らかなんだが・・・
その、首を狙われていた当の本人は、大の…というかもう、あれは異常なと称するべきか? な、女好きで、アルが自分のことを好きで~云々とバカな妄言を吐き、心の底から楽しそうにアルから逃げ回っていた。あれを会瀬と言うだなんて・・・
あれは・・・アルからすれば、大層馬鹿にされているように感じることだろう。
本人にアルを馬鹿にしている気が全く無くて、本気でアルが自分を好いていると思い込んでいる頭のヤバさがまた、なんとも言えず性質が悪い。
奴は、頭がイカれている。
あんなのに付き纏われて妄想の相手にされるなど、アルも災難というか・・・
けれど、奴のアルに対する『心配』は本物で・・・あの二人になにがあったのか聞いてみたくはあるが、奴の話題を出すだけでアルの目が据わって物騒な気配が滲むので、聞けてない。
まあ、トップスピードが雪路よりも速いアルを止めるのは、相当骨が折れるだろうから、アルとあのバカを会わせないようにしたクラウドは正しかったのかもしれないな。
スピードと手数の多さで撹乱、そして暗器での不意打ちが混ざるアルの攻撃・・・
普通に考えて、アルは絶対弱くない。
そして、あの乱撃を全て躱し続けていたあのバカ…トールも凄いんだが・・・
アイツは色々と残念過ぎる。
クラウドに財布扱いされ、散財。挙げ句、あらぬ理由であちこちを走り回らされて・・・
まあ、それでも本人は異常な女好きだから、それも嬉々としてやっているんだと思う。しかし、それはそれで、本格的に頭が残念過ぎる。
そして、クラウドが出て行った。暫くは戻って来ないと言っていた。雪路がとても喜んでいた。
カイルは、クラウドが出て行って少し寂しそうにしていた。態度には出してないが、多分アルも。
雪路は、久々に清々しい笑顔でとてもご機嫌。
アマラとジンは、少しアルが心配そうだ。
クラウドが、アルの頭痛を止めたのだから・・・クラウドがいなくて、アルは大丈夫なのか? とは、俺も思う。しかし、雪路が言っていた、「クラウドが原因なんじゃねぇのか?」という疑問には、結局奴は答えずに出て行ってしまった。
やはり、アイツは謎過ぎる。
で、アマラは、あのバカ…トールが戻って来ないうちにこの港を出るという。
アマラもあのバカが大嫌いになったようだ。どうやらトールは、男に嫌われる才能があるらしい。本人も男が嫌いだと公言し、男には態度が最悪だった。ちなみに、俺も…そしてジンと雪路も奴が嫌いになった。多分、カイルも奴を嫌うだろう。
・・・なんだか慌ただしい。
みんな、食料や消耗品の調達であちこち走り回っている。ちなみに、アマラは一切動かない。船から一歩も出ないで、あれ買って来い、これ買って来いと命令している。それも毎度のことだが・・・
今回は、カイルとジンではなく、アルがアマラに使われているようだ。
アマラの注文は細かい。なにを言っているのか、全くわからないことがある。
カイルとジンにはわかるものが多いようだが、俺と雪路には割と・・・いや、かなり意味不明だ。
服やら化粧品やら、楽譜やら・・・アマラが言う違いが、俺には全くわからん。
俺も一応、龍笛…横笛は嗜むが、こっちの譜面は読めない。何本もの線の中に、おたまじゃくしのような黒の点や記号がごちゃごちゃした不思議な譜面。そして、中華圏には無い音の表記。つか、そもそも俺は、自分とこの漢字表記の譜面もなんとなくでしか読めねぇんだが・・・音は耳で取るもんじゃないのか?
とりあえず…頑張れ、アル。
という憂いに満ちた金の混ざる紫のアメトリンと、艶やかな声が語った言葉で俺は・・・
アルプス山脈を二日で踏破し、真っ白で可憐に咲くエーデルワイスの花を無事発見した。
そのエーデルワイスの花が萎れないうちに、俺はあの港街へと戻った。
そして、病弱な女の子が住むという家の窓辺にそっとエーデルワイスを置いて来た。
女の子が、元気になることを祈って・・・
その後、アルゥラに逢う為にあの船へ行った俺は今・・・砂漠地方を目指して走っている。
なんでも、ルーさんが言うには、砂漠で採れる鉱物の砂漠の薔薇を必要としている女の子がいるらしい。そのデザート・ローズが無いと、宝石商をしている家が破産してしまうという退っ引きならない事情があるとか・・・
生憎、手持ちの宝石類にデザート・ローズは無かったんだが・・・無論、「任せろ!」と言って、俺はすぐに砂漠へと向かって走っているワケだ。
待っててくれ。身も知らぬ宝石商のお嬢さん。絶対に立派なデザート・ローズを採って、すぐに届けに行くからなっ!
女が幸せだと、俺も嬉しいからなっ!
※※※※※※※※※※※※※※※
「というワケで、アンタが寝てる間に、夢魔があのバカ馬を砂漠へと走らせたらしいわよ?」
アマラが言う。
「・・・へぇ」
よくわからないが、あのクソ野郎が近くにいないというのはいいことだ。
「で、その隙にこの港を出るわ。準備なさい」
オレは二日程寝ていたらしい。
その間に、ルーがいなくなっていた。
そして、出港の準備をするとのお達しだ。
別にいいけど。
「わかった」
と頷くと、
「アンタ・・・」
アイスブルーがなにか言いたげに見下ろす。
「なに? アマラ」
「相当あのバカ馬が嫌いなのね」
「まあ、とりあえず駆除したくなるくらいにはね。アマラも嫌いでしょ? あの変態クズ野郎」
「駆除って・・・まあ、ね」
アンタ程じゃないけど、と言いたげなアマラ。
あのクズ野郎とオレになにがあったのかを聞きたそうではあるが、踏み込んでは来ない。
オレも、絶対に話したくないし。
なんだかんだで、アマラは優しいと思う。
「それで、アンタに調達してほしい物だけど・・・」
と、ズラリと長い調達リストを渡された。
まあ、買い物くらいはパシられてもいいけど。
※※※※※※※※※※※※※※※
アルがまた二日程寝て、起きた。
なんというか、あれらしい。
トールのバカが来るとアルがマジギレして大変だとかで、クラウドが寝かせていたらしい。
まあ、わかる。異様な殺気でトールの首を執拗に狙っていたアルの様子から察するに、あのバカを酷く嫌っていることは明らかなんだが・・・
その、首を狙われていた当の本人は、大の…というかもう、あれは異常なと称するべきか? な、女好きで、アルが自分のことを好きで~云々とバカな妄言を吐き、心の底から楽しそうにアルから逃げ回っていた。あれを会瀬と言うだなんて・・・
あれは・・・アルからすれば、大層馬鹿にされているように感じることだろう。
本人にアルを馬鹿にしている気が全く無くて、本気でアルが自分を好いていると思い込んでいる頭のヤバさがまた、なんとも言えず性質が悪い。
奴は、頭がイカれている。
あんなのに付き纏われて妄想の相手にされるなど、アルも災難というか・・・
けれど、奴のアルに対する『心配』は本物で・・・あの二人になにがあったのか聞いてみたくはあるが、奴の話題を出すだけでアルの目が据わって物騒な気配が滲むので、聞けてない。
まあ、トップスピードが雪路よりも速いアルを止めるのは、相当骨が折れるだろうから、アルとあのバカを会わせないようにしたクラウドは正しかったのかもしれないな。
スピードと手数の多さで撹乱、そして暗器での不意打ちが混ざるアルの攻撃・・・
普通に考えて、アルは絶対弱くない。
そして、あの乱撃を全て躱し続けていたあのバカ…トールも凄いんだが・・・
アイツは色々と残念過ぎる。
クラウドに財布扱いされ、散財。挙げ句、あらぬ理由であちこちを走り回らされて・・・
まあ、それでも本人は異常な女好きだから、それも嬉々としてやっているんだと思う。しかし、それはそれで、本格的に頭が残念過ぎる。
そして、クラウドが出て行った。暫くは戻って来ないと言っていた。雪路がとても喜んでいた。
カイルは、クラウドが出て行って少し寂しそうにしていた。態度には出してないが、多分アルも。
雪路は、久々に清々しい笑顔でとてもご機嫌。
アマラとジンは、少しアルが心配そうだ。
クラウドが、アルの頭痛を止めたのだから・・・クラウドがいなくて、アルは大丈夫なのか? とは、俺も思う。しかし、雪路が言っていた、「クラウドが原因なんじゃねぇのか?」という疑問には、結局奴は答えずに出て行ってしまった。
やはり、アイツは謎過ぎる。
で、アマラは、あのバカ…トールが戻って来ないうちにこの港を出るという。
アマラもあのバカが大嫌いになったようだ。どうやらトールは、男に嫌われる才能があるらしい。本人も男が嫌いだと公言し、男には態度が最悪だった。ちなみに、俺も…そしてジンと雪路も奴が嫌いになった。多分、カイルも奴を嫌うだろう。
・・・なんだか慌ただしい。
みんな、食料や消耗品の調達であちこち走り回っている。ちなみに、アマラは一切動かない。船から一歩も出ないで、あれ買って来い、これ買って来いと命令している。それも毎度のことだが・・・
今回は、カイルとジンではなく、アルがアマラに使われているようだ。
アマラの注文は細かい。なにを言っているのか、全くわからないことがある。
カイルとジンにはわかるものが多いようだが、俺と雪路には割と・・・いや、かなり意味不明だ。
服やら化粧品やら、楽譜やら・・・アマラが言う違いが、俺には全くわからん。
俺も一応、龍笛…横笛は嗜むが、こっちの譜面は読めない。何本もの線の中に、おたまじゃくしのような黒の点や記号がごちゃごちゃした不思議な譜面。そして、中華圏には無い音の表記。つか、そもそも俺は、自分とこの漢字表記の譜面もなんとなくでしか読めねぇんだが・・・音は耳で取るもんじゃないのか?
とりあえず…頑張れ、アル。
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