わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……

「新たなる教皇よ。王太子であるわたし、ゲスナーとシスター・カスリンとの婚約を認めて頂きたい。そして、真の聖女であるカスリンを虐げ、聖女を騙るその女の処刑を求める!」

 王太子が、真の聖女であるところのシスター・カスリンを抱き寄せ、偽聖女だとしてシスター・ソフィアを指差した。

 豊満な肢体のシスター・カスリンが密着したときに、王太子の顔がニヤけるのが見て取れた。

 そして、わしは・・・

「フハハハハハハハっ!! その娘は、我が教会一の阿婆擦れよ! その阿婆擦れを娶る覚悟があるなれば、其方らの婚姻を承諾しようではないかっ!?」

 シスター・カスリンと王太子ゲスナーの二人を指差して、高笑いを上げた。

 うむ。わし、めっちゃやらかしたっ!!

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