106 / 161
邪竜研究ノート。①~どらごんの日記より~
2
しおりを挟む
――――邪竜伝承――――
――――その昔、邪竜が人間の集落を襲っていたときのことだった。
聖なる竜が空から舞い降り、人間を襲う邪竜へ戦いを挑んだ。
その戦いはとても激しく、二体の竜が三日三晩に渡って縦横無尽に空を飛び回り、咆哮を轟かせた。
やがて、聖なる竜には勝てぬと悟ったのか、邪竜は最後に一際大きな咆哮を上げ、逃げ去った。
激しい戦いに聖なる竜は傷を負ったのか、よろよろと空を飛んで去って行った。
こうして邪竜は、聖なる竜に退治され、二度と人里には近付かなくなったという――――
『半月。ハレ。
アイツ まじムカつく!
われが にんげん共を おどかしてたら、いきなり来て 七十じかんも せっきょう とか!
あたまクる! 一方てきな せっきょう!
だから、「この のうみそ ハチミツづけの 甘とう やろうが! オマエなんか、とうぶん かたで デブって とべなくなっちまえ!」と、アイツへ のろいを かけてやった。
それでも きが おさまらん!
とりあえず、こんど アイツの かってる ようほうの ハチを、ぜんぶ にがしてやる。
いーびる・どらごん』
どうやら、邪竜は聖竜と知り合いだったようだ。それも、お互いの棲み処を行き来する程に仲が良いと思われる。
というか、誰もが知っている有名な話。聖竜の邪竜退治に、このような真相があったとは驚きだ。
七十時間にも渡るお説教とは、する方もされる方も大変だろう。
そして、報復がなんだか微笑ましく思える。
やはり、この邪竜にはお茶目さを感じる。
『十二や。出さきは ハレ。
ちょっとばかり、にんげんどもと 仲よく してるからって、ほーりー・どらごん とか よばれて ちょうし こきやがって!
はら立たしさが おさまらん ので、あの のうみそ ハチミツづけの 甘とう やろうが いない すきに、ヤツの かっている ハチを 一ぴき のこらず ぜんぶ にがして やった!
ハチの ひっこしと いしゅがえし 大せいこう♪
いーびる・どらごん』
『■■■■■が―― ←本名キンシ!
飼育している養蜂の蜂が全て逃げたと、私に嘆いていたのだが・・・
そういうこと、か。
まあ、あの程度の意趣返しなれば、よかろう。
片方の意見を鵜呑みにし、一方的に悪を決め付けることはよくないと、私も思う。
しかし、奴からの蜂蜜酒が手に入らなくなってしまったではないか。
代わりの酒を所望する。
■■■■―― ←だから、本名キンシなの!
のんだくれ どらごん』
飲んだくれドラゴンは、筆蹟…爪蹟? の文字からすると、先の古代竜と同一竜だと思われる。
『まあ、いいけどね!
かじつしゅ なら、つくってもいいよ。
ぶどうで ワイン とか?
りんごで シードル とか?』
『では、シードルを所望する。
しかし、誰が飲んだくれだ。』
『じゃあ、りんごの木 ひろって くる。
みが じゅく したら しこむ。
だって、さけ すきでしょ?』
『酒好きを否定はせぬがな。
まあ、待つのも一興。
良い酒を期待しているぞ。』
伝言板のようなやり取りが交わされている。
そして・・・飲んだくれドラゴンこと古代竜、そして、聖竜と邪竜。この三体は、互いに交流を持ち、仲が良かったのではないと見受けられる。
――――その昔、邪竜が人間の集落を襲っていたときのことだった。
聖なる竜が空から舞い降り、人間を襲う邪竜へ戦いを挑んだ。
その戦いはとても激しく、二体の竜が三日三晩に渡って縦横無尽に空を飛び回り、咆哮を轟かせた。
やがて、聖なる竜には勝てぬと悟ったのか、邪竜は最後に一際大きな咆哮を上げ、逃げ去った。
激しい戦いに聖なる竜は傷を負ったのか、よろよろと空を飛んで去って行った。
こうして邪竜は、聖なる竜に退治され、二度と人里には近付かなくなったという――――
『半月。ハレ。
アイツ まじムカつく!
われが にんげん共を おどかしてたら、いきなり来て 七十じかんも せっきょう とか!
あたまクる! 一方てきな せっきょう!
だから、「この のうみそ ハチミツづけの 甘とう やろうが! オマエなんか、とうぶん かたで デブって とべなくなっちまえ!」と、アイツへ のろいを かけてやった。
それでも きが おさまらん!
とりあえず、こんど アイツの かってる ようほうの ハチを、ぜんぶ にがしてやる。
いーびる・どらごん』
どうやら、邪竜は聖竜と知り合いだったようだ。それも、お互いの棲み処を行き来する程に仲が良いと思われる。
というか、誰もが知っている有名な話。聖竜の邪竜退治に、このような真相があったとは驚きだ。
七十時間にも渡るお説教とは、する方もされる方も大変だろう。
そして、報復がなんだか微笑ましく思える。
やはり、この邪竜にはお茶目さを感じる。
『十二や。出さきは ハレ。
ちょっとばかり、にんげんどもと 仲よく してるからって、ほーりー・どらごん とか よばれて ちょうし こきやがって!
はら立たしさが おさまらん ので、あの のうみそ ハチミツづけの 甘とう やろうが いない すきに、ヤツの かっている ハチを 一ぴき のこらず ぜんぶ にがして やった!
ハチの ひっこしと いしゅがえし 大せいこう♪
いーびる・どらごん』
『■■■■■が―― ←本名キンシ!
飼育している養蜂の蜂が全て逃げたと、私に嘆いていたのだが・・・
そういうこと、か。
まあ、あの程度の意趣返しなれば、よかろう。
片方の意見を鵜呑みにし、一方的に悪を決め付けることはよくないと、私も思う。
しかし、奴からの蜂蜜酒が手に入らなくなってしまったではないか。
代わりの酒を所望する。
■■■■―― ←だから、本名キンシなの!
のんだくれ どらごん』
飲んだくれドラゴンは、筆蹟…爪蹟? の文字からすると、先の古代竜と同一竜だと思われる。
『まあ、いいけどね!
かじつしゅ なら、つくってもいいよ。
ぶどうで ワイン とか?
りんごで シードル とか?』
『では、シードルを所望する。
しかし、誰が飲んだくれだ。』
『じゃあ、りんごの木 ひろって くる。
みが じゅく したら しこむ。
だって、さけ すきでしょ?』
『酒好きを否定はせぬがな。
まあ、待つのも一興。
良い酒を期待しているぞ。』
伝言板のようなやり取りが交わされている。
そして・・・飲んだくれドラゴンこと古代竜、そして、聖竜と邪竜。この三体は、互いに交流を持ち、仲が良かったのではないと見受けられる。
0
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完結】「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」
月白ヤトヒコ
ファンタジー
よその部署のヘルプという一仕事を終えて帰ろうとしたら、突然魔法陣が現れてどこぞの城へと『女神の化身』として召喚されたわたし。
すると、いきなり「お前が女神の化身か。まあまあの顔だな。お前をわたしの妻にしてやる。子を産ませてやることを光栄に思うがいい。今夜は初夜だ。この娘を磨き上げろ」とか傲慢な国王(顔は美形)に言われたので、城に火を付けて逃亡……したけど捕まった。
なにが不満だと聞かれたので、「まずは……手前ぇよりも上位の存在に犯されて来い。話はそれからだ」と言ってやりました。
誘拐召喚に怒ってないワケねぇだろっ!?
さあ、手前ぇが体験してみろ!
※タイトルがアレでBLタグは一応付けていますが、ギャグみたいなものです。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】淘汰案件。~薬屋さんは、冤罪だけど真っ黒です~
月白ヤトヒコ
ファンタジー
とある酒場で、酒を飲んでいた冒険者のうち、約十名が体調不良を訴えた。そのうち、数名が意識不明の重体。そして、二人が死亡。
調査の結果、冒険者の体調不良や死因は、工業用アルコールの混ぜ物がされた酒と、粗悪なポーションが原因であると判明。
工業用アルコールが人体に有害なのは勿論だが。その上、粗悪なポーションは酒との飲み合わせが悪く、体外へ排出される前にアルコールを摂取すると、肝臓や腎臓へとダメージを与えるという代物。
酒屋の主人は、混ぜ物アルコールの提供を否定。また、他の客からの証言もあり、冒険者のうちの誰かが持ち込んだ物とされている。
そして、粗悪なポーションの製作者として、とある薬屋が犯人として浮上した。
その薬屋は、過去に幾度も似たような死亡事故への関与が疑われているが、証拠不十分として釈放されているということを繰り返している、曰く付きの怪しい薬屋だった。
今回もまた、容疑者として浮上した薬屋へと、任意で事情聴取をすることになったのだが――――
薬屋は、ひひひひっと嬉しげに笑いながら・・・自らを冤罪だと主張した。
密やかで、けれど致命的な報復。
ざまぁと言えばざまぁですが、あんまりすっきりはしない類のざまぁだと思います。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
婚約者の姉から誰も守ってくれないなら、自分の身は自分で守るまでですが……
もるだ
恋愛
婚約者の姉から酷い暴言暴力を受けたのに「大目に見てやってよ」と笑って流されたので、自分の身は自分で守ることにします。公爵家の名に傷がついても知りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる