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あの子は、戻って来てくれたの。
しおりを挟む『あの女』を絶対に赦さない! 一生恨むんだって。そう、思っていたの。
『彼』の母親が、姉が教えてくれるまでは……
「孫はね、あの子……あなたの娘に似ているのよ」
『あの女』と『彼』の子供の話なんか聞きたくないと思っていたわたしに、姉さんが優しく教えてくれたの。
そして、その子を一目見て、わたしは気付いたのよ? ちゃあんとわかったんだから♪
ああ……この子は、『わたしの娘』なんだって。
そう。あの子は、戻って来てくれたの。
なぜか、前よりも小さくなっているけれど……
でも、一目で直ぐに判ったの。
だって、この子は『わたしの娘』なんだから。
けど、なぜか『わたしの娘』は『あの女』と『彼』の子供ということになっていて、違う名前で呼ばれていたの。
変だわ。おかしい。どうしてかしら?
でも、ずっとずっと会えなくて、何年もずっと、顔すら全然見せてくれなくて……寂しかった。だから、『あの子』に会えただけで、一目顔を見られただけで、とても嬉しくなったの。
そして、ああ……そういうことだったのね。と、納得したわ。きっと、わたしが体調を崩していたから、あの二人が少しの間、『わたしの娘』を預かっていたのね。
姉か夫がお願いしたのかもしれないわ。
そう、ね。きっとそうに違いないわ。あの子は昔から身体が弱いのだから。
わたしが体調を崩して、あの子に変な病気でも移してしまったら大変だものね。
身体が弱いと、些細な風邪でも肺炎にまでなってしまうこともあるもの。
でも、もう大丈夫なのよ?
あの子が帰って来たんだもの。
わたしはもう、元気になったわ。
ちゃんと元気になったのだから。
『あの女』のことは変わらず嫌いではあるけど、『あの子』を預かってもらっていることには感謝しなきゃ。
でも、わたしも元気になったことだし、そろそろ『あの子』も家に戻って来てもいいと思うの。
そう思って、『彼』と『あの女』の家に『あの子』を迎えに行こうと思ったのだけど……
なぜか止められてしまったわ。
わたしはまだ、元気じゃないんですって。
夫と姉が、そう言うの。
病院のお医者様も、わたしがまだ元気じゃないって言ってる、って。
「『あの子』になにかあったら困るでしょう?」
そんな風に言われたら、
「そう、ね」
頷かざるを得なくて……
でも、『あの子』のことが心配だったから。
あの子は『あの女』のせいで可哀想な想いをしたのに、『あの女』と一緒にいるだなんて……
すごく心配だわ。
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