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とても酷い、裏切りだと思った。
しおりを挟むわたしの子供はとても可愛いの。
わたしと、あの人との子供。
わたしが生んだ、あの人との子供。
可愛い可愛い女の子。
将来はきっと、美人になるだろう可愛い子供。
愛しい子供。可愛い子供。
大人に、なることができなかったあの子。
けれど、あの子は優しいから。
また、わたしのところに戻って来てくれたの。
ああ、また会えて、本当に嬉しいわ――――
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可愛いわたしの娘は小さな頃から少し心臓が弱くて、入院するようなことが何度もあって……とても心配で、大事に大事に育てたの。
病院以外では、怖い思いをすることのないように。注射や点滴以外で、痛いことのないように。
繊細な娘の心臓はあまり丈夫ではないけれど、娘が成長するにつれて、入院するようなことは段々減って行ったわ。
けれど、そんなある日のことだった。
「お兄ちゃんに呼び出されたから行って来るね、お母さん」
「ふふっ、デートかしら? 行ってらっしゃい」
「もうっ、からかわないでよ!」
と、頬を染めて出掛けたあの日――――
娘は、発作を起こして帰って来た。幼馴染みの、お兄ちゃんと呼び慕う『好きな人』に、タクシーで連れられて。
娘が外で心臓の発作を起こすのは久々で。わたしも動揺しながら慌てて常備していた薬を与えて、娘が少し落ち着いて後。『彼』に感謝した。
そしてふと、もう一人の連れがいたことに気が付いた。わたしは最初、その人を『彼』のお友達かと思った。
だけどっ……それは違っていた。
『その女』は、『彼』の婚約者だったっ!?
だから娘は、ショックで発作を起こしてしまったのよっ!!
とても酷い、裏切りだと思った。
娘は、小さな頃から『彼』のことがずっと好きだったのにっ……子供の頃とは言え、
「大きくなったら結婚してね?」
と言った娘に、『彼』は頷いたのにっ!?
それなのにっ……『彼』はよりによって、娘に婚約者を紹介した!
娘は、あの子はきっと酷く傷付いたんだわ……なんて、なんて残酷なことをするのっ?
それからの娘はストレスからか、小さい頃のように度々心臓の発作をよく起こすようになって……段々と痩せて、細く小さくなってどんどん窶れて弱って行ってしまった。
少しずつだけど、病院とは縁遠くなって、子供の頃より元気で過ごすことができていたのに……
久々に入院した娘の腕には、点滴が打たれている。針の痕で所々青黒くなった細い腕に繋がる透明な管は、食事が摂れなくなってしまった娘へと、栄養を送るための物。
ああ、どうしてこうなってしまったの?
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